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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年6月の記事一覧

「窓をたたく手で」(詩)

月に会いたい くもり空を手の平で洗って 星をそっと 吹き流す そうして 月を両手で掬い取り…

とし総子
1年前
8

「髪」(詩)

銀髪にしたい ボウズにしたい 真紅にしたい そうして好き勝手に彩りを塗りたくって しまいには…

とし総子
1年前
11

「暗い顔」(詩)

立っていられない 暗い顔 うすい唇が 土を噛んで 鳴り出す奥歯に 煤けた空気が溜まり出す

とし総子
1年前
7

「雨の手」(詩)

消えてしまった手を 落ちてくる雨粒で繋いだ トンボの羽よりうすい影に 見ていた 生まれてい…

とし総子
1年前
7

「嵐の足首」(詩)

わたしの凪が通り過ぎ 嵐の足首が見える 少し遠い まだ あと少し それでもたしかにやってく…

とし総子
1年前
9

「あしを浸して」

ノックは 私の心臓の音 あなたは降りてくる階段を知っている 許可は あなたが出してください …

とし総子
1年前
5

「土がやわらかだといい」(詩)

最果てに咲いた 笑顔のおわりに 誰が唇を寄せたのか 泡のようで 膜のようで 恋のようで 捩じれのようで 誰の手にも 整えられない雲 光はあきあきしても照らし 先へ 本当に鮮やかなものが 背中側にしかないのだとしたら このありかたは暗がりへの坂道で 冷たさが手を引いているとしても 急ぐこともないね  ちっとも 私たち ゆっくりと 首に重くなる思い出に 最果ての土はやわらかだといい 風が打つ 私はまた 明るい身の足を差し挟む

「あこがれ」(詩)

ありがとうの代わりにはなれない さようならをけして割くことは やさしさを打ち砕いても あ…

とし総子
1年前
7

「雨と音」(詩)

静かに 静かに 沈んでいく ピアノの音 一音ずつ 切れ込みは深いのに 頬に浮かぶ 涙のあとく…

とし総子
1年前
9

「息が巣食う」(詩)

うまく休むことができなかった 休みたいと思うことが 恥ずかしかった いけないことだとも感じ…

とし総子
1年前
13

「おなじことば」(詩)

ありがとうを あいしているの代わりにつかった いつでも だれにでも おだやかに ごかいなく …

とし総子
1年前
10

「繊細なお茶会」(詩)

さよならも 瞬き おはようは 抱擁 またねは歌って はじめましてとダンスを たったひとつの…

とし総子
1年前
12

「悪夢をかたわらに」(詩)

爪を研いでやってくる 悪夢にも 名前はあるの? あったらいいと思うけれど 教えて欲しいとも…

とし総子
1年前
7

「詩を知らない」(詩)

ほんとうの詩なんか 知らないんだ 白んだ朝の その底の白さを うとましく思って 鵜呑みにしてた 幼い満ち欠け 弛んだ立て札 垂らした鳩尾に 足し算が淡々と 企みの通りに 立ち振る舞う 大した役者に 色粉を吹いて 芯からしとやかな 静かの湿り気を帯びさせましょう 知識の城より 真意の報せを 知りたがったしみったれ 雫の打つ音 調べで死のドアを沈めて 指揮を振り合う同じ染みの信頼に 飛び立つ合いの手 お任せします 信じあった仕組みの支柱に まだ 閉まらない新芽の しなや