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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2022年12月の記事一覧

「するすると」(詩)

わたしは するすると流れて あなたの手の平や指と指のあいだを滑り落ちていく 透明であって…

とし総子
1年前
9

「きみの目」(詩)

すべてに近いものたちに 本当? と、鈴をつけていかなくていいんだよ 好きなかおりのハンドク…

とし総子
1年前
7

「貴方に世界を残す」(詩)

私は 貴方の とりとめのなさを愛した 一定でいられないところや いくつでも色を生み出してし…

とし総子
1年前
7

「限りのない」(詩)

限りのあるものを愛するのと同じように 限りのないものを愛する 私たちは 短く 小さな愛を…

とし総子
1年前
5

「愛を飾る」(詩)

わたしは 尋ねたい あなたに愛を覚えさせた出来事を ひとつ ひとつ 形のちがう硝子を並べる…

とし総子
1年前
4

「映画」(詩)

あの二人は 恋をしていた 映画の中で それは楽しそうに うららかに頬は染まり 水を弾く光り …

とし総子
1年前
8

「星の盾」(詩)

わたしは 暗闇にいたから 光にはなれなかった あなたを呼べば あなたは応えたでしょう 光のように 現れて 内側を光らせる 実をくれた だから けして 声にしなかった 星を眺めて いただけだった

「緑の瞳」(詩)

ただ 泣きたい 感情は揺さぶられたくない この目から 緑の瞳が失われたこと を 謝りたくて …

とし総子
1年前
6

「呼吸」(詩)

静かに 息を吸えば 両手の先が伸びていき 深く息を吐くことで 先と 後ろに広がっていく わ…

とし総子
1年前
10

「くつろぎ」(詩)

灯し火は 必要ですか いいえ 地平は赤く 金を帯びて 震えます ほとばしる 走る 勢いのま…

とし総子
1年前
5

「指先」(詩)

わたしは私をしばるものが嫌い わたしをとどめるものも わたしの選択を あたかも与えてやると…

とし総子
1年前
8

「結び合った手は溶けて」(詩)

時は行くから こちらは手を引かれて 時折 前のめる 転ばないようにと 振り向いてはくれるけ…

とし総子
1年前
7

「鈴」(詩)

必ず、と貴方は言った 雨は降る、とか 月は満ちる、とか 妖しく、うつくしく、流れていく何も…

とし総子
1年前
7

「足場」(詩)

物語りが そばに在れば どんな現場でも 受け入れられる そうでしょう? この魂が器であってくれたら それで全ては十全だと 信じることに意味があった 貴方の切れ端だけを便りだと言い張るように 心に何が吹き荒れても 私という大地が残るなら 物語が足を着ける 私が残っているのなら それは全て 十全の結末だ 私は そう物語ることにした