見出し画像

ギフテッドの学校を辞めた理由ー14歳で反抗期が終わった息子とオカンの物語(3)

前回、息子が繊細過ぎてギフテッドの学校のテストを受けた時の様子を書きましたが、今回は1ヵ月でその学校を辞めてしまったお話です。


❖ ❖ ❖


2011年4月末、NYの教育委員会からメールが来ました。
1月と2月に開催されたGTのテスト結果が出た、その結果によって申請できる公立学校が決まるから、その手続きをしてくれという内容です。

結論から言うと、息子は99パーセンタイルが取れて、ギフテッドの学校に通えることになりました。
でも行かせたかった学校ではなくて、行かせたくなかった学校に行くこととなり、息子とは合わず、辞めてしまいました、ほぼ1ヶ月で。

GTの結果が出る前に、その後転校させた学校(CPと呼びましょう)に通うことが決まっていて、正直最初からここに通わせておけば良かったと思ったくらいです。

でもGTプログラムにすごーーーーく興味があったし、実際に入るのは大変なんだから、やっぱり行かせるでしょう!

とはいえ、入学手続きのためにギフテッドの学校に踏み入れたとき、息子がこれから通う学校というイメージが湧かず。
それよりもCP学校は、この9月から新しく入ってくるファミリーに対して不安を無くすために4月頭に先生と顔合わせとかしてくれていて、とてもアットホームな雰囲気でした。

そういえばCPの学校も面接があったんだけれど、やっぱり上手く遊べなくて「ああ、ここでもちょー繊細さ発動か」と思っていたんですが、相手をしてくれた先生(後のクラスメイトの祖母)がほんっとうにいい人で「あなたの息子は良い子よ、素晴らしいわ」と褒めてくれました。
あんな話をした、こんな話をしてくれた、こんなことに興味を持っていて……などなど、それは詳しく。

そして他の学校では言うタイミングが全くなかったけれど、この先生とアシスタントの先生だけには、わたしはシングルマザーなんですって伝えることができたんだった。
あ、私立幼稚園の面接でも言ったかな? でも華麗にスルーされたような。
CPの学校の先生は「ああ、だから彼はああいうことを言ったのね」とますます息子に興味をもってもらえたような気がします。

その後、このCP学校に受かって、さらにGTも受かって、どちらに行かせるかすごーーーーく、すごーーーーーーーく葛藤した。

だって高校までストレートで行けるって楽ちんなんだもん。

本当にこの幼稚園お受験のストレスが半端なかったから。
中学と高校で同じ事を繰り返すなんて考えたくもなかったから。

などとまあ、いろんな打算が働いてGTの学校に行かせたんですが……

そんな気持ちが伝わったのかな。
幼稚園初日、指定された制服と来て学校へ行った息子は学校を見て

「お母さん、ここはボクの学校じゃないよ」

と一言。

え……

そんなことを言う息子におののきながら、カフェテリアに行って、クラスを確認して。

わたしもどこかで「この学校でいいのかな……息子に合っているのかな」という気持ちはあったので、息子の一言に「やっぱりそうなのか」と思いつつ、でも今さら仕方がないとも思いつつ。

画像3

ニューヨークでは一つの建物に2つ3つ違う学校が入っていることは珍しくありません。カフェテリアや体育館、講堂などは共同で使います。

そこの建物にも他の学校が入っていて、まあ生徒の皆さん、元気だこと。
先生も生徒を抑えるために、大声で叫んだり、笛を吹いたりして。

あ……いくらギフテッドの学校とはいえ、ハーレムにあるから人の話が聞けない子供が多いってやつ? いや、でも授業になったら違うよねえ……と、ふとわたしがボランティアをしたハーレムの学校を思い出し。

もう、この瞬間から後悔と違和感。

いやまて、この学校のアフタースクールの様子を見てから考えよう。

そう、わたしは仕事をしているからアフタースクールは必須。
この学校は授業が終わったらYMCAの人達がやって来て、そのまま校舎を使ってアフタースクールをしてくれているんです! 移動なしです! ラッキー♪

なんですがーーーーーー。

アフタースクールもね……文句を言っちゃーいけないんですがー、いけないんですがっ

やっぱりカウンセラーが子供たちの前でカースワード(FとかBとか)使うのはダメだと思うんだよね〜。

息子もつまらないと言っていて。
そこから日が経つにつれて


アフタースクールはつまらない

学校もつまらない

もう学校に行きたくない


とついに息子が叫び始めたのです。


うーん、うーん、ちょっと待って。

入りたくても入れない学校だよ?
(息子がそこの学校に入りたいって言った?)
もうちょっと様子を見ようよ。まだ1ヶ月だよ?
(身体全体で拒否反応を起こしているのにまだ行かせるの?)
今は辛いけれど、もうちょっとしたら慣れて楽しくなるかもしれないよ?
(好きな事が一つもないのに?)
全米テストでいいスコアが取れるかもしれないじゃん?
(取れないかもしれないよね? そんな先の話を今する?)

と、自問自答。
親のエゴがぐるぐるぐるぐる渦巻いて。

でも、そんなわたしの見栄やエゴを打ち砕く出来事があったのです。


画像1

学校を辞めさせるか続けるか悩んでいたときに、ちょっと前までハーレムに住んでいて、他州へ引っ越してしまった友達が遊びに来ました。

彼女には息子より2歳年上の男の子がいます。

彼女の息子くんは幼稚園からチャータースクールに入れていたのですが、2年生の時に規則が厳しくて制服もあって宿題の多い学校から、モンテッソーリの学校へ転校させたのでした。

子供なんてその場所に慣れるし、それなりに楽しそうにはするのよ。でもね、学校が変わったら息子が「今日はこの靴を履いて行ってもいいの? この服を着て行ってもいいの?」って、嬉しそうに言うのよ。
毎日楽しそうに、ニコニコしてね。
あんな笑顔、前の学校では見たことがなかったのよ。
前の学校も楽しそうに通っていたけれど、全く違うんだなって思ったよ、息子の笑顔を見て。

これを聞いて、ますます悩むわたし。
というのも、だんだん制服を着るのを嫌がってきていて。


どうして好きな服を着ちゃいけないの?
どうして好きな靴を履いちゃいけないの?


えー、だって校則だから?
というか、そんなことに疑問持つの???
純日本人のあたしにはまったく理解ができない息子の疑問。

新学期が始まって3週間過ぎた辺りから、息子は学校に行きたくない、制服を着たくない、制服を捨ててと言い始めました。

どうしようかなーと思っていたら、その事件が起きたのです。

画像2

いつものように朝ごはんを食べて、さあ、制服を着て学校に行くよ、と言ったら


「お母さん、ぼく、制服着たくないって言ってるでしょ? 捨ててよって言っているでしょ? どうして制服捨ててくれないの?」


と、泣き叫びながら、わたしを叩いてきたのです。


涙が出てきました。


いったい何のために、誰のために、あの学校へ行かせているんだろう?

息子の知的好奇心を満たしてくれると思ったからこそ、多少の違和感を感じたとはいえ、ギフテッドの学校へ入れたのに。

知的好奇心ではなくて、精神的苦痛を与えて、いったい何をしているんだろう?


その日、学校を休ませ息子は1年前まで通っていた保育園(プリK)に連れて行き、わたしはその足で今通っている学校CPへ行き転校できないか訊ねました。

幸い空きがあったので1週間以内に転校することができたけれど、あのまま残っていたらどうなっていたのかな。
力技で転校させていたのかもしれない……。

それにしても、息子があそこまで否定するってことは、何かあったのかしら。
この事件が起きる数日前には学校が見えてきたらわたしの足に量でを絡めて歩けないようにしていたから。

きっと彼は何かを感じていました。
いや、初日からちゃんと「ぼくの学校じゃない」ってサインを出していた。でもわたしは無視をしていて。
上手く伝えられないから「制服がイヤだ」という形で息子はずっとサインを出していた


この体験があったから、息子からのサインは見落とさないようにしよう……と強く、強く思ったのです。
でもそれが「サイン」なのか、ただの「甘え」なのか、その見極めが難しく、結局中学校でも同じようなことをやってしまいました……。


「見る」って難しい。
「聞く」って難しい。


だけど大切なのは、子供にとってどうなのか、ということ。
親にとって、ではなくて。

そんなこと分かっているよ!

という声が聞こえてきそうですが、本当に、わかっていますか?

ちょっと難しいかも、と思った方は、いつでもご連絡ください
わたしがお話を聞きますよ。
もちろん、感想なぞ教えてくださったらとても嬉しいです!


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。