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ニューヨーク - Love & Hate な街 -(2)

ニューヨークに住み始めた最初の数年は、この街のエネルギッシュさが他のどの街よりも面白くて魅了されていたあたし。

好きで住み始めた訳じゃなかったけれど、抽選でNYCマラソンに3回も走ることができたし、不法滞在者なのに仕事があり、バカ騒ぎに付き合ってくれる友達もいて。

そりゃ不満や不安もあったけれど、それでも日々の出来事やニューヨークで起きる事件(同時多発テロや真夏の大停電など)に対応していくニューヨーカーのタフさといったら、かっこよかった。自分もその一員みたいな気分になれて、気持ちよかった。

それでも、だんだんとニューヨーク生活にも慣れ、そして不法滞在生活にも疲れ始めた頃から、ゆっくりと、あたしとニューヨークの波動がズレ始めてきたように、今なら思える。

結婚して合法者になって、子供が生まれて2008年にリーマンショックがあって、そしてシングルマザーになって……

気がついたら、目に見えない『負の連鎖』に取り憑かれていた感じ。
今だったら、そういう選択を自分でしていたんだってわかるけれど、当時は生きることに一生懸命だったから、そうなのかなーとどこかで思いながら、どうしたらいいのかわからなかった状態。

そして何よりも、ハーレムという『ブラック・コミュニティー』に住んで、彼らのコミュニティーに入り込んだのも大きかったように思う。

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とは言え、好きで住み始めたハーレム。

ニューヨークに来たら『ハーレム・ルネッサンス』の地、ハーレムに行って、1920年代に流行った場所跡地巡りをするのが夢だったから、そう! 何も期待していなかったニューヨーク生活の中で、唯一この街に住みたかったからこの他に住んだことには後悔はない。

でもハーレム生まれ育ちの旦那と別居して、彼の家族と会わなくなって、仕事もハーレムから離れて、買い物も他の地区でして、ハーレムにはただ住んでいる状態にしたら、少しだけ浮上できた。

というのも、やはり彼らの歴史的なこともあって、基本、ネガティブなエネルギーが強い。正直言って渦巻いている。住んでみて、コミュニティーに入り込んでみて初めてわかる、このエネルギー。

ハーレムについてはまたの機会に書ければ良いな。

ではいっちょ、『ニューヨークの我がままさ』みたいなものを、放出してみましょう。

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1)常にアグレッシヴ

それはニューヨークだけでなく都会が人をそうさせるのか、それとも、もともとその人が持っていた資質なのか、とにかくニューヨーカーはアグレッシヴ。
全体的に「前へ」「前へ!」突き進むエネルギーが強い人が多い。

そうなの!
みんなエネルギー強すぎ!
折れない!
自分が正しいと思いすぎ!

ってね、これは街自体が本当に元気というのか何というのか……自分が元気じゃないと、ニューヨークのエネルギーに巻き込まれちゃうのだ。

のんびり、のほほほ〜んとは生きていけないというのかな。

いえ、もちろん、そういう人もたくさんいるんだろうけれど、常に自己主張が強くってガンガン前に出て行く人達の集まりで、とにかくせっかちで早歩きで……常に緊張している感じかしら?

氣を一瞬でも抜いたら殺される感じ。

って、大げさ?

なので、自分が20代でギラギラしていたら楽しいと思う。
この街のエネルギーに負けないなら、そりゃ楽しい。本当に楽しい。ニューヨークのエネルギーさえも自分に取り込んで、前へ前へとガンガン突き進むことができるから。

でもね、子どもが生まれると、それはまた別の話。
こんなに複雑怪奇でお金のかかる街はそうそうないよ。
教育しかり。ありゃみんな白髪が増えるか禿げますョ。

↑ では高校お受験に関して書いたけれど、幼稚園お受験だって狂っていた。いずれ発表したいです。

2)人の話を聞かない。自分が常に正しいと主張する。

なんか、もう、これに尽きるかも(笑)。

これは多分、アメリカ人全員に言えるのかもしれないけれど、とにかく人の話を聞かないし、正しい、正しくないに関係なく自己主張しまくる(偉大なる大統領を見て下さいよ。あ、彼もニューヨーカーだ)。
とにかく「自分が正しい」と思っている部分がある。

そういえばニューヨークに来て間もないときにテレビで学生のディベートをやっていたのを観た。
相手の意見を最後まで聞かないで、大きな声で自分の意見を覆いかぶせるように話始めて、むりやりねじ伏せいていた。

あたしはこれを観て、「ディベート」って「意見交換」じゃなくて、「言葉の喧嘩」なんだ、と思った。

昔、日本食レストランのフロント(席案内)していたとき、予約も取らないといけなかったけれど、希望通りの時間に取れないときの引き下がらないパワーは本当にすごかった。

ダメなものはダメ!

と伝えても「そこをなんとか。とっても重要な用事でどーーーーーしても予約を取らないといけないの。なんとかして」と食い下がる。そんなに重要な案件だったらもっと早くに予約しろよ! と思いながら、断るのもエネルギー使って、本当にぐったりする。

なんだろう、言ったもん勝ちなところがある。

例えば日本だったら「そんなこと言ったら失礼に当たるかな。だってせっかく作ったんだから……」と遠慮しちゃうような所でも「違う、変えて」ってさらっと言うし。お金払っているんだから、と言われてしまえばそれまでなんだけれど。

今は知らないけれど、例えば自分が頼んだドリンクを1/3ほど呑んで「この味好きじゃ無いからキャンセル」できると聞いたがあって、実際にそういうことをやるお客が多くて辟易したこともあった。

そんなの一口呑んだらわかるだろー! 

と。せめて二口呑んだらわかるよね?

さらにそのお店にはバーテンさんがいたから、もー、キャンセルって伝えるのが怖かったなあ。ほら、バーテンさんもプライドもって作っているから。実際美味しかったし。

似たようなことは、食事でも言えて、半分近くまで食べて「味がおかしい」とか言い出す人もいたよね、確か。

とにかく、街も人も常にアグレッシヴで、競争心ありまくり!

3)競争してばかりいる

なんかね〜、常に誰かと競っている感じが否めません!
学校にしても住んでいる場所にしてもお稽古事にしても仕事にしても。とにかく何にでも!

見栄っ張りなのか、なんなのか。

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そう言えば、日本からニューヨークに戻ってくるときのテーマがロッキーのテーマだ、という友達もいたね。

つまり、常に戦わないといけない街に戻ってきたので、自分を盛り上げるためにって言っていて。

そうです、ある意味ニューヨークで生活するのは、常に戦いなんです。競争社会なんです。

4)学校問題がとにかく疲れる

子どもが産まれたら「ようこそ、クレイジーな世界へ」と両手を広げて歓迎してあげますわ。

共働きだと託児所をさがすことになるんですが、これがまた大変。
あたしは映画は観ていないけれど、映画にもなったクレイジーなお話として、某お金持ちエリアに住んでいると「良い」と言われる託児所に入れるには、妊娠が発覚したらすぐお申し込み。だってウェイティングが18ヵ月なんですもの。

18ヵ月!

幼稚園にしても似たり寄ったり。

息子を幼稚園に入れるときに公立受験(2011年冬)させましたが、その学校に入るのにも狭き門で、今では300人くらいのスポットに、合格者が900人とかで、どうやって振り分けるのかが謎な状況らしいです、ニューヨーク市。
機械でランダムに選んでいるようだから、落ちた600人の親はたまったもんじゃありません。

それに私立に入れますとね、幼稚園から年間450万円とか、どうやって払うの? という学費。もちろん奨学金もあります。でも、その奨学金を取るのがまた大変でして。手伝ってくれる専門の非営利団体もあって、確か息子が4歳だか5歳担った頃に、大学の奨学金を助けてくれる非営利団体に連絡しろって誰かに言われて、目眩がしたのを覚えていますわ。

高校だって私立、年間550万円とかだし、100%奨学金がもらえないし(最高でも75%)、そういう話を聞くと、最初っから私立は選択権に入れられないわけです。

私立の中学校に入れたい場合は、だいたいの学校が幼稚園からエスカレーターなので、空きが3人もあれば良い方。そこに100人以上の人の応募があるわけだから、東京芸大に入るよりも狭き門になるわけでして。

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とにかくニューヨークの学校問題は多くの親を巻き込んでいます。

日本のように均一な授業が受けられるってありがたいことだと思うな。賛否両論あるけれど、アメリカのように公立なのに行く学校で学べることが違うって困るもの、親にしてみれば。

なので、学校に行かせないでホームスクールをする人達が多いんだけれど、これは親も大変、そしてお金もかかるので、やっぱりある程度お金のある人達じゃないとできないという部分もあるわけです。

5)とにかく「お金」に振り回される

あたしがニューヨークに来て間もない頃は、物価が東京よりも安かったか同じくらいだったように思えたんだけれど、今ではすっかり高いです。

年収1000万円あっても「たいしたことない」と振り分けられてしまうから、それ以下の人達は本当に大変でして。

何をするにも「お金」がかかって。子どもの教育しかり。お金がないと何もできない……訳じゃ無いけれど、常にお金問題がある感じですかね。

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つまりまとめると、この街に疲れた……ということです(笑)。

あるアメリカ人も「ニューヨークには12ヵ月も住めないよ。毎年ちゃんとバケーションとって鋭気を養ってから、また戻ってくるんだよ」と言っていましたからね。某地方都市出身の方でしたが。

ニューヨーク、というか、マンハッタンは世界各地にあるパワースポットの一つらしいけれど、確かにとんでもないパワーは感じる。

この曲を聴くと、後ろ髪を思いっきり引かれて……困ったもんです。

まさにニューヨーカーなお二人のコラボ。
それも会場がタイムズスクエア。
コメントに「この曲を聴くとホームシックになる」とあったけれど、あたしもそういうことなのかしらん。

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ニューヨークのパワーに押されて、かれこれ5年近く前から「いつまでニューヨークに住もうか」ということをずっと考えていたけれど、ニューヨークに対してポジティブなイメージが読み取れないとハッキリ言われて、なんかスッキリ。

息子が18歳になったら一人暮らしはできるので、そうしたらニューヨークから出よう。

あと4年。
どこへ出ようか、それをこれからゆっくり楽しく探していく予定。

さあ、ニューヨーク生活、最終フェーズに入ります。


2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。