高倍率ズームの威力!! Nikkor Z 24-200mm f/4-6.3 VRについて。
前回の、「僕の散歩カメラ機材の紹介」で、散歩写真には単焦点レンズが絶対オススメ!広角と標準の単焦点レンズ二本は欲しいよネ!的な記事を書いたのに、今回の記事のテーマは「高倍率ズームレンズについて」です(笑)
我ながら調子のいい事言ってるなぁって思いますが、高倍率のズームレンズが、散歩写真にも新しい視点をもたらしてくれるという事があると思うんです。そこで、今回は愛機のNikon Z5にキットレンズとしてセットで購入した、Nikkor Z 24-200 f/4-6.3 VR のレンズの作例を交えつつ、高倍率ズームレンズが散歩写真にもたらす影響的な事を書いてみたいと思います。
まずは、軽くレンズの紹介をしてみたいと思います。
寸法が最大径76.5mm、レンズ先端までが114mmとなっています。こう書くと、メーカーの謳い文句通りコンパクトなズームレンズという感じがしますが、ニコンZマウントは、マウント径が大きいので、あんまりコンパクトには思わないかなぁ・・・というのが僕が最初に感じた大きさの感想でした。ズーミングしていない状態のこのレンズのサイズ感は、100mm〜135mmくらいのAF中望遠レンズと同じくらいです。
重さについては、570g となっていて、オートフォーカスでこのズーム比率のレンズとしては十分に軽量だとは思うんですが、フィルムカメラを使っていた時に、ライカの様なレンジファインダーカメラのレンズのコンパクトさを知っている身としては、テクノロジーの結晶の様なこのレンズに対しても「やっぱり重いなぁ」と感じてしまったのが正直なところです。
次に、ズーミングして望遠側まで伸ばしてみた時のサイズを見てみましょう。測ってみた所178mmでした。実際に持った感じとしても「おお、結構伸びるな!」という印象ですが、保持している時の重さのバランスは良好で、ズーミングもしやすいです。
撮影時には、望遠側200mmまで伸ばした状態でカメラを持ち歩く事はほぼ無い訳で、ズームする際の適度なトルク感と、伸縮した際の重さのバランスの良さは、このレンズの良い所だと思います。
さて、それでは実際の写りはどうなのよ?!という事で、拙作ながら、僕の写真を見て頂きながらレンズの描写を見ていこうと思います。Z5とこのレンズを購入したのが昨年の12月頃で、今年に入ってから仕事の事情などで散歩カメラにあまり出かけられていないので、作例写真の季節が今と大分ずれてしまってすみません。では、行ってみましょう!!
最初にこのレンズを付けたZ5を持ち出したのは、東京の荒川区〜豊島区の区間の都電荒川線沿線のエリアです。僕は鉄道ファンではないのですが、幼い頃から都電荒川線や湘南の江ノ島電鉄といった小さい電車が好きで、荒川線は、沿線の東京の下町の情景とともに好きな電車です。
荒川線の東の始発駅、三ノ輪橋の駅近くにある高架下の壁画。ここを訪れるとつい撮ってしまいます。この日は、プログラムオートでの撮影で、露出補正だけ気にして、撮影感度もだいぶ高い感度設定で行ってます。
カメラ側の設定としては、Z5のピクチャーコントロールを「風景」に設定していて、掲載している写真はRAWデータのシャープネスとコントラスト、多少カラーバランスをいじって現像したjpgですが、同時記録したjpg画像のイメージとあまりかけ離れない程度の補正となっています。
冬の良く晴れた日で、カメラの設定もあってコントラストの高いビビッドな色の写真が撮れています。壁面の絵の色が鮮やかに撮れていますが、コンクリートの質感もよく捉えていて、一昔前の高倍率ズームとは次元が変わっていると感じました。
「都電のある町三ノ輪橋」のイメージを活かしたアーケード商店街、ジョイフル三ノ輪。結構大きいアーケードですけど、シャッター街ではなくて、営業しているお店が多いので、地元に根付いた買い物の場所なんでしょうね。
撮影データのレンズの焦点距離が、33.5mmとなっていますが、僕は大体このぐらいの画角で街の情景をスナップするのが好きです。
年末近くだった事もあり、商店街の中にお正月用のしめ縄を売っている所がありました。季節の草花だけでなく、こういった日々の生活の中にある季節感を写真に記録するのも好きです。
アーケード街の中で、白熱灯で照らされたしめ縄のカバーのビニールの質感や、しめ縄の飾りの細部の感じが良く写し取られていると思います。
思わず「渋い!」と言いたくなる、昭和感あふれる刃物屋さんです。お店の全景をとらえたくて、ワイド側の24mmを使っています。ちょっと前までは、高倍率ズームというと、ワイド側が28mmという印象的でしたが、僕個人的としては、望遠側が長いよりも、24mmスタートのレンズの方が有難いですね。
荒川区役所前駅で下車して、スカイツリーと電車のカップリングを狙ったところ、自転車が入って来ましたが、これはこれでスナップ感があって良し!
レンズの絞りがf16まで絞られていますので、ほぼパンフォーカスです。普段使っている単焦点レンズでは、こういう都市の圧縮された景色というのは撮れませんから、こういう絵が撮れるのは高倍率ズームを散歩写真に使う意義の大きさの一つだと思います。
荒川車庫前で下車して、車庫のすぐ隣にある「都電おもいで広場」に行ってみました。この日も電車好きな小さな子を連れたお父さんの姿などがあって、こういうミニ博物館みたいな場所が沿線にあるのも都電荒川線の魅力だと思います。
展示されている都電の車両の中が博物館になっています。24mmの画角は、僕の感覚としては結構な広角なんですが、こういう屋内で後ろに引けない時に役立ってくれますから、標準ズームレンズが24mmスタートになっている現在は有難いなぁと思います。
都電が走っていた頃の時代の鉄道員が使用していた物品の数々が展示されています。こういった品々があると写真に残したくなります。
このレンズは、撮影の最短距離が、ワイド側50cmから望遠側70cmの間で変化します。ここまで、このレンズの取り回しの良さと、画質の良さを書いてきましたが、最短撮影距離のワイド側50cmについては「あと10cm寄りたい!」という気持ちです。求めすぎですけども(笑)
飛鳥山公園にやってきました。公園のランドマーク的な、お城型の大きい滑り台です。休日の飛鳥山公園は、親子連れですごく賑わっていて、ちょっとしたレジャーランドです。東京の良いところは、いくつかの恩賜公園や飛鳥山公園の様に大きな公園があちこちにある所だと思います。散歩カメラ的にも公園は外せません。
この日の飛鳥山公園には奇妙な楽団?の様なミュージシャン達が公園内をねり歩きながら演奏をしていて、その時の一コマです。今までの掲載写真は、広角側が多かったですが、ここでは望遠200mmを使っています。ミュージシャンのグループの周りは結構な人だかりで、その中に混じって楽団の様子をスナップするのは難しかったのですが、こういう時200mmが使えるというのは、やはり高倍率ズームの強みです。
陽が傾いてきた時間に、とげぬき地蔵で有名な庚申塚にやって来ました。庚申塚駅からとげぬき地蔵のある高岩寺までは、結構長い商店街になっているんですが、その中で目についたアンティークなウインドウです。
焦点距離が115mmとなっていますが、人が物を注視する時の焦点距離が100mmくらいと言われていて、僕としても、中望遠で好きな画角は105mmです。少し遠くから目に付いた物をサッと構図をトリミングして撮れるのもズームレンズの強みですね。
最後の一枚です。この時は、もうかなり陽も暮れていて、そろそろ今日の散歩カメラも終了かという頃合いだった時に、高岩寺に出ていたお正月の飾り物や鏡餅を扱っている出店が目に留まりました。
焦点距離、86mm f6.3となっていますが、絞り開放の状態です。先ほども書きましたが、柔らかいボケを期待するレンズではない代わりに、かなり暗い状況でも、夕暮れの出店の情景が良く写っていると思います。
散歩写真でも、単焦点レンズを使って、絞りと撮影対象との距離の取り方でボケを活かした写真というのも全然アリと思いますが、多くの写真は、情景を丹念に描写するという方向になると思います。
このレンズでも、望遠側を使って、絞り開放で、撮影対象との距離の取り方でボケを活かした撮り方もできなくはないですが、やはり得意では無いです。絞り値の暗い代わりに、作例で見られたディティールの写し取りと、ダイナミックな視覚変化が得意なレンズという訳ですね。
標準ズームを選ぶ際に、王道なのは、24-120mm f4 というスペックのレンズになると思いますが、この24-200mmズームも魅力的なレンズだと思います。
高倍率ズームの使い方として、僕なりの想定は、散歩カメラに出かける際にカメラに装着するレンズは、お気に入りの焦点距離の単焦点レンズで、カメラバッグにこのレンズを入れておくと、「なんか写真に変化が欲しいなぁ・・・」とか思った時にこのレンズに変えると、マンネリ感が無くなって良いかも!というのが一つの答えです。
また、お子さんがいる家庭で、普段は子供の柔らかい表情を大口径の単焦点レンズで撮っておきながら、お出かけイベント等の際には、高倍率ズームに変えると、動き回る子供にも対応しやすいでしょうし、画角の変化で写真の絵作りが楽しめるといった具合に、かなり使えるレンズだと思います。
僕は、ニコンのカメラを使っていますが、今はカメラメーカー各社、レンズメーカーともに、優秀な高倍率ズームを販売していますから、自分の必殺技的なレンズとの合わせ技で高倍率ズームを使うと写真がさらに楽しくなるのではないかな?と思い、単焦点レンズ派だった僕にも変化があったという事を書いてみたかったのでした。
この記事が、読んで下さった方のカメラライフの一助になれば幸いです。
ではまた、次の記事で!
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