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-35℃ってどんな寒さ!?凍傷リスクがすぐそこ、サスカトゥーン!

-35℃って人間が過ごせる気温じゃないよな?冷凍庫の中と同じようなもんじゃないの?

チュニジア編の投稿にて、45℃もしくはそれ以上の気温レポートを書いてきました。暑さの極致をです。

今回はその逆で、寒さの極致をレポートしていきたいと思います。


管理人による寒さの検証

検証をより正確なものにするため外出時の服装を統一します。上半身は半袖のTシャツ1枚、厚手の長袖1枚、その上にダウンジャケット1枚。下半身は下着の上にジーンズ1枚です。ちなみに気温はiPhoneに最初からインストールされている天気予報アプリの表示によるものです。

当然この上にダウンジャケットは着ます


0℃以上

東京でいうと12月くらいにはこれくらいの気温になるでしょうか。ここカナダでは、一歩家の外に出たときに「あっ、今日は暖かいな」と感じます。歩いていても凍えることはほとんどありません。歩いていると少し暑いような気がして、ダウンジャケットを脱ぎたいなと思うこともあります。天気予報が雨であれば、0℃以上ということです。氷点下であれば雪が降ってきますから。


-10℃~0℃

正直言って、ここカナダ・サスカトゥーンでこの気温は暖かく感じる気温です。11月中旬には平均してこれくらいの気温になります。 暖かいといっても、しばらく外にいると鼻水は垂れてきます。体の芯まで冷え切ります。日本人の管理人だけではなく、サスカチュワン州で生まれ育った管理人の元彼女も同様です。寒さに慣れている人でも鼻水がひとりでに垂れてくる気温です。


-20℃~-10℃

この辺りの気温になってくると、もう暖かく感じることはありません。ここカナダ・サスカトゥーンでは、12月上旬にはこの気温になります。屋外のスケートリンクは溶けることがなくなって調子がいいのですが、人間の体はそうはいきません。

-20℃に近い気温だと、突き刺すような痛さです。ネックウォーマーが自分の吐いた息の水分で凍ります。毛糸の手袋では手の指先が凍傷になるくらいの寒さです。しばらく中指、薬指、小指の感覚がありませんでした。耳も凍りそうでした。たった20分ほどの外出でこの危険レベルです。

一瞬でカチコチに凍ります

人間だけでなく、機械にも相当なダメージが残ります。この気温の中、5分くらい外でスマホをいじっていました。外出前には78%あった電池残量が、なんと16%まで減っていました。おまけにスマホは汗をかいたようになっています。帰宅して暖かい室内に入ると、結露したであろう部分が解凍され始めます。この調子ではスマホはあっという間にダメになるでしょう。スマホに寒冷地仕様等の差別化製品はないと思うので、サスカトゥーン市民は一体どうやってスマホを使っているのでしょうか?

数回この気温を体験した後、命を守るため即席のカイロを作りました。500mlの空のペットボトルに沸かしたての熱湯を入れて、ダウンジャケットのポケットに入れます。手がかじかんだらそのペットボトルを握りしめ、手を温めます。ペットボトルの温度はみるみる下がっていきますが、即席カイロのおかげで30分ほど外にいられました。人間極限に追い詰められると知恵がわいてくるものですね。


-25℃~-20℃

カナダ・サスカトゥーンでは、12月中旬にはこの気温になります。すでに毛糸の手袋単体では役に立たないので、スキー用の完全防水仕様の手袋も装備します。手袋を二重にして臨みます。一歩外に出た感覚は-10℃台と変わりません。スキー用手袋の防御力は高く、毛糸のものに比べると冷えの速度は緩やかです。ですが30分も外にいると体は限界です。初めてまつ毛が凍るという体験もしました。

サスカトゥーンで調達した手袋です

45分以上外にいると、防御力の高いスキー用手袋といえど指先は冷えてきました。その頃には熱湯を入れたペットボトルもすっかり冷え切っていて役には立ちません。この気温になると、30分が活動限界です。


-30℃~-25℃

カナダ・サスカトゥーンでは、12月下旬にはこの気温になります。上記の装備をしても、30分外出していられません。

雪が降っていると体感温度は-40℃近くになります。15分で指先の感覚はなくなります。


-35℃~-30℃

カナダ・サスカトゥーンでは、12月下旬にはこの気温になります。この気温では最終手段を使わざるを得ません。ジーンズの下にタイツを履くのです。10分で手の指先の感覚はなくなります。念のため即席カイロは2本作っておいたので、それがなければ凍傷になっていたかもしれません。30分も外にいられたのは奇跡としかいいようがありません。

スマホはわずか数分で電池がなくなります。70%の残量で使い始め、35%になったらいきなり電源が落ちました。即席カイロで温めると10%までは回復しましたが、これ以上外で使用するのは止めた方がいいと判断しました。-30℃以下の気温は、人間の体よりも機械にダメージを与えます。

ちなみにですが冬のサスカトゥーン市内を歩いていると、家から車にケーブルがつながっている光景をよく見かけます。これはグローランプにつないでいるケーブルで、どの家からも出ています。グローランプとはエンジン点火前に余熱を加える部品のことで、エンジンをかかりやすくするために必須の機構です。このグローランプ自体の凍結を防ぐため、ケーブルをつなぎっぱなしにしておきます。管理人の元彼女も、車で家に帰宅するとすぐにケーブルをつないでいました。もしかしたら日本でも極寒冷地では当たり前にしている行動なのかもしれませんね。車が凍ってしまっては何もできませんから、このケーブルはまさに命綱といえましょう。

2021年12月30日に、管理人は-35℃を体感しました。この日の体感気温は-45℃だそうです。ここまで来ると数度の差は誤差の範囲内なので、-30℃とさほど変わりはありませんでした。慣れというのはすごいものです。

ちなみに年が明ける瞬間の歓声はまったく聞こえませんでした。当然です、-30℃以下なのですから。そんな気温で屋外にいたら、凍傷から1年が始まってしまいます。日本のように屋外で年越しの瞬間を迎えるような文化はここ、サスカトゥーンにはありません。毎年屋外で年越しをしているあなた、サスカトゥーンの屋外で年越しをしてみたいですか?


-36℃


ここまでくるともうわけがわかりません

2022年1月6日の気温です。この-36℃が、管理人がカナダ・サスカトゥーンで体験した最も低い気温です。体感は-30℃くらいから正直変わりません。外出して30秒でまつ毛は凍るし、ネックウォーマーも吐息に含まれる水分のせいでカチコチです。

ここまで寒いと、暖かい店で食事をした後、車に戻ることすら苦行です。車に戻っても車内が冷え切っているため、数分間は震えが止まりません。食事で取った暖は一瞬で消し飛びます。

ですが一度この気温を体験しておくと、-10℃以上は春のように感じられます。当然です、20℃以上暖かいのですから。季節が2つ進んだといっても過言ではありません。それでも手の指先はかじかんでくるので、決して油断をしてはいけませんが。


まとめ

いかがでしたでしょうか?管理人の主観によるものなので、寒さの感じ方は人によってさまざまだと思います。管理人自身は、自分は寒さにも耐性がある方の人間だと思っておりますので、同じ気温でも読者のみなさんは管理人以上に寒く感じるかもしれません。外気温の-35℃は、冷凍庫の中とはまるで状況が違います。「倉庫の冷凍庫みたいなもんでしょ?」と甘く見ている人がいるならば、この言葉を送ります。

「地球を…舐めるなよ…!」


以上、寒さの検証結果報告でした。次回はその寒さの中で定住する市民の声をお届けしたいと思います。


それではまた!

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