秋田県民による映画『ルックバック』感想
本日、映画『ルックバック』を観ました。
もちろん、秋田のイオンシネマで。
わたしは原作のファンなのですが、一言でいうと、すっっごく良かったです!!
たぶんネタバレにはならない範囲で感想を書いていますが、作品を視聴する前にどんな情報も入れたくない方は、これ以上お読みにならないことをオススメします。
冒頭の藤野ちゃんの顔が良すぎます。
みんなに学級新聞の漫画を褒められて得意になってるのに、その素振りも見せまいとする、あの顔。
不登校の京本に学校新聞の枠を少し譲ってやれと言われて、「学校にも来られない奴に、漫画が描けるんですかねえ?」と言い放つ、あのこまっしゃくれた顔。
この映画はとにかく絵が良かったです!!
京本に、「藤野先生は漫画の天才です‥!」と言われたときの、あの目。
全く目に光のない、いわゆるレ◯プ目というやつです。
アニメではとびきり嬉しい心理状態を、虹彩に光をたくさん入れたキラキラした目で表すことがありますが、レイ◯目で表現したアニメは、おそらく初めてなのではないでしょうか。
他にも髪の毛の表現や、顔面に細かく描かれた神経質な感じの斜線など、原作そのままの雰囲気がすごかったです。
原作ファンとしては嬉しい限りでした。
ただ、最初の教室のシーンであまりにも空が綺麗で「嘘だろ」と思いました。
秋田の空はあんなに明るくないし、青くもありません。
卒業式のシーンでは、ちゃんとどよんとした色になっていて、安心しました。
卒業式に桜が満開なんてのは関東の"当たり前"です。
秋田で桜が見頃になるのはだいたいゴールデンウィーク頃ですから、卒業式が行われる時期は、かろうじて雪がなくなったかな? くらいです。
まだ新緑もなく、空は曇りでどんよりグレー、全体的に鬱々としています。
おまけに雨も降ってきちゃってナンテコッタ、って感じですが、その中で踊る藤野ちゃんがすごい!!
雨の田んぼ道で踊るように走る、このシーン。
かわいいともかっこいいとも違うのですが、とにかく魅力的でした。
卒業式でいつもよりおめかししてるのに、ざあざあ雨が降ってきて、田んぼのあぜ道はすぐぬかるんできちゃって。
状況としては結構最悪なのに、主人公の浮き立つような気持ちがビンビンに伝わってくる、前半の見せ場でした。
もしかするとこれ、田舎の小学生の間で流行るかもしれません。
今まで田んぼ道というのは、ダサい田舎の象徴だと思っていたのですが(『翔んで埼玉』とか『下妻物語』とかだとそうですよね)、あんなにかっこよく描けるものなんですね。
アニメーターの人はすごいなって思いましたよ。
水を張った田んぼは、上空から見るとものすごい青緑色の四角に見えます。
わたしは小学生の時に、地元の航空写真を見て「なんか全然綺麗じゃない‥」と絶望した思い出があります。
このアニメ映画では、田んぼが主人公を彩る超クールな舞台セットのようでした。
秋田県民という視点で言わせてもらえば、方言についても面白かったです。
京本が一般の方がイメージするような東北訛り、いわゆるズーズー弁になっていました。
正直、秋田弁ネイティブとしては「こういうしゃべり方はしないよね」と思うところもあります。
https://m.youtube.com/watch?v=IB9hMidDiHA&pp=ygUS44Or44OD44Kv44OQ44OD44Kv
別れる際に秋田では「またね」とは言いません。
「せば」
「まず」
これが秋田弁の別れの挨拶なんです。
これだとやっぱり全国の方に伝わらないので、「た」が「だ」気味の「またね」で良かったのかもしれません。
その分、藤野の絵を褒めるおばあちゃんが、見事なネイティブ発音になっていて良かったです!
ちゃんと格助詞が「さ」になっていました。
そういう意味でも、秋田県民はなかなか楽しめる映画になっていると思いますよ。
原作ファンの人も、楽しめること間違いなしです。
まさか藤野ちゃんの漫画がアニメであんなことになるなんて、と驚くはずです。
いやあ、本当に映画化して良かったです!
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