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【人口減少】秋田-島根の共通点と相違点

5月23日の『秋田魁新報』に興味深い記事が載っていました。


秋田魁新報が2010〜20年秋田県の人口減少率を算出したところ、現25市町村と平成の合併前の旧69市町村では、減少率に大きな差が出ることが分かりました。
地図に落とし込んで比べてみると、減少率は25市町村の方が濃淡が小さく、のっぺりした印象になります。
これは合併自治体内でも人口減の程度に差があり、人口が多く減少が比較的緩やかな旧市部の存在により、旧町村部の減少率が中和されるためです。
合併で人口減の詳細が「不可視化」され、地域の実態が見えにくくなっている、という内容です。


現在の25市町村で減少率が最も大きいのは藤里町の24.7%ですが、旧69市町村で見ると、それを上回る地域が4カ所ありました。
減少率が藤里町を上回った4カ所は、旧雄和町29.4%、旧阿仁町27.7%、旧若美町25.9%、旧鳥海町25.8%です。

旧雄和町は現在秋田市になっています。
4月末に話題になった「消滅可能性自治体」で、秋田県では唯一秋田市が指定を免れましたが、旧69市町村で見ると、実は秋田市の中にもっとも減少率の大きい自治体が入っているということになります。

秋田県の人口減少を25市町村単位で考えてしまうと、実態を見誤りそうですね。

減少率が藤里町を上回った4カ所は、いずれも「山間」か「中間」に該当するそうです。


農林水産省の農業地域類型で、人口の集中度や林野率、農業的特性を基にした4分類のうち、これら4地域はいずれも「山間」か「中間」に該当。旧69市町村全体で見ても、中山間地帯は「都市的」や「平地」に比べ人口減が著しい傾向が見られた。

『合併で人口減「不可視化」』秋田魁新報 令和6年5月23日


山がすごくて自然が厳しいところから人がどんどんいなくなっていると。
まあ、そりゃそうだろうなぁという結果に。
これは秋田県だけでなく、島根県でも同様の結果が出ているそうです。

島根の高齢化率は1975年以降、秋田と交代する前の2005年まで、7回連続で全国トップだった。
秋田魁新報と山陰中央新報は今回、平成合併前の秋田県旧69市町村と島根県旧59市町村について、2000〜20年の人口増減率を算出。その結果、秋田県は69市町村全てがマイナスだったのに対し、島根では59市町村のうち5市町がプラス、54市町村がマイナスだった。(中略)
中国山地にあり「過疎発祥の地」として知られる旧匹見町は、総人口の減少率が48%に上る。秋田で最も人口減少率が大きいのは旧阿仁町の46%。この2地域では20年間で人口が半分近く減った格好。山間部の人口減の激しさは、両県に共通している。

「若年女性減少率で大差」秋田魁新報 令和6年5月23日


山間部で激しい人口減少が見られるという点は、両県に共通しています。
しかし異なる点もあります。
大きく異なるのは若年女性の人口動態です。

2000〜20年の増減率は、秋田がマイナス43.2%で全国最下位なのに対し、島根はマイナス29.5%で15番目。」だそうです。

記事では、海士町の「島留学」や地域外から受け入れた人材に一定期間地場産業で働いてもらう事業などに触れています。
「滞在人口」という移住・定住を最終目的にしない概念を打ち出し、人口の流動性を重視する姿勢が、結果的に島根県の若者や女性の増加につながっているそうです。

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