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今さらですが、読書の秋(田柴子)⑯ 田丸雅智さん

「勝手に誰かのお話または記事を読む月間」16本めです。
本日はちょっと気分を変えまして、動画のご紹介です。
皆さまよくご存じの、この方!!!

ショートショート作家の田丸雅智先生です!
なんかもう今さら紹介するまでもないのですが、田丸先生は現代ショートショート作家の旗手として、数多くの作品を生み出すのみならず「ショートショートの書き方」をあらゆる世代の方に広く伝える活動をしておいでです。

2018年から300字小説を数本、細々と書き始めた私は、2019年9月に初めて『坊っちゃん文学賞』に応募しました。この坊っちゃん文学賞こそ、田丸先生が審査委員長となって開催されている公募だったのです。
その関係で、田丸先生主催の400字小説投稿サイト『ショートショートガーデン』に登録。そこで「日常的に物語を書く」という習慣を会得しました。
今でこそ中・長編が中心の秋しばですが、その源流は田丸先生が裾野を広げてくださったショートショートにあると言えます。

ところがですね。
書き続けるうちに、私はある悩みを持つようになります。

「私はアイデアを生みだす力が弱い」

簡単に言えば発想に乏しい、ということです。
ちょうど先日も、本シリーズ⑭ 石原三日月さんの回で書いたと思いますが、田丸先生はショートショートを以下のように定義されています。

①短くて不思議な物語で ②アイデアとそれを活かした印象的な結末のある物語

ところが私は、どうもありきたりな設定しか思いつきません。
石原さんやたらはさんのような「そ、そ、そう来たか!!!」みたいなものは、逆さになっても出てきません。

そのかわり、さほど不思議じゃなくてもじんわりくる、みたいな物語は結構すんなりと書けます。公募に出すと「人情噺」と評されることも多いです。なので最近は、どうも自分の書くモノは、ショートショートというより掌編小説なのではないか、と思っていました。

掌編小説の定義もまた様々ですが、私は勝手に「短編よりも更に短い物語」と考えています。ある意味、ショートショートもそのひとつなのかもしれません。ただショートショートは、既述のような「アイデアや奇抜な発想、設定」がモノを言います。だから掌編小説の中でも特殊なジャンルだと捉えていました。大国(=掌編小説)の中の独立自治国みたいな(笑)

でもどうやら自分は、そっち側の人間ではないらしい。だとすると、このままショートショートの公募に力を入れ続けていると、無理が出てくるのではないか。
それは2022年から参戦し始めた、光文社文庫Yomeba!の公募を続けるなかで感じたことでした。こちらは6000字のショートショートですが、結構いい線まではいくんです。嬉しいことに編集部からも褒めていただきました。
でも、それ以上にはいかない。
そこで常勝される方々の作品と自分の書くモノは、何かが決定的に違う。

2022~2023年にかけて他にも多くの公募に挑戦しましたが、明らかに掌編系のモノの方が、純然たるショートショートの公募よりも成績がいい。
加えて中・長編もだんだん純文寄りになりつつある。

結論、私という書き手はショートショート向きではないようです。
くどいようですが、私はやっぱり、石原さんやたらはさんみたいにはなれない。コンビニが海辺に流れ着くこともなければ、亡くなった親父さんが「文字化」することもない(もはや常人の発想ではない 笑)。

でも、ショートショートから「書く世界」に入ったことは、私にとってはとても幸運なことでした。
何故なら、とかく私の書く文章は重い。言い換えれば、余計な表現や言葉が多すぎる。長編だとあまり文字数制限を気にすることもないのですが、掌編やショートショートではそうはいきません。
なので必死に余分な描写を削るうちに、文章がスリムになってきます。
講評でよく「読みやすい」と言っていただけるのは、恐らくこのショートショートでの「徹底的な文章の贅肉落とし訓練の賜物」なのだと考えています。

公募全般に言えることですが、やはり相性というものはあります。
苦手なジャンルに敢えて挑戦するのも時に有用ですが、力の入れどころを間違えるとせっかくの努力が徒労と化すこともあるし、最悪、書くことが嫌になってしまいかねません。
もっとも、公募の当落だけがすべてではありませんし、基本的には「書きたいものを書きたいように」書けばいいと思います。

ただ、日頃から「ショートショートとは、はて?」と思う方、あるいは一生懸命応募・投稿するのに、なかなか思うような成果の出ない方は、ぜひ田丸先生のこの動画を見てみてください。やはり自分自身の作品の傾向を知ることは、とても重要だと思います。
ある程度モノを書いたことがある方なら、必ず「おおお、そうかあああ!」と机を叩くことでしょう(痛い)。

最後に、僭越ながら私の作品をひとつ紹介させていただきます。
自分の中ではかなりお気に入りのモノなんですが、これを読んでいただくと「あ、やっぱコイツ、ショートショートより掌編派だわ」というのが、よくお判りいただけると思います(笑)

もっともそう言っときながら、結局今年の『坊っちゃん文学賞』も出してます。やっぱりショートショート界隈では年に1回のお祭りですしね。
そのかわり今年は1本に絞って書きました。仲間の皆さん共々、いい結果が出るといいなと、ぼんやり期待しております。

本日は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

*この記事は、以下の自主企画のもとに執筆しております。

#10月これやる宣言
#クリエイターフェス

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