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【朗読】シンデレラは眠らない

朗  読:むう様
作品掲載:ショートショートガーデン
    『シンデレラは眠らない』
    『続・シンデレラは眠らない』
*動画案内の下に原作(ショートショートガーデン『縁コンテスト』応募作品)を掲載しております。

シンデレラは眠らない

「お婆さん、お願い。私もキラキラしたいの。舞踏会に行かせて!」

ぐいぐい迫るシンデレラに魔法使いは怯んだ。

「でも王子の目に留まるには、出会いの縁を結ぶ魔法のドレスと靴がいるんだよ」
「じゃあ貸してよ。魔法使いなんでしょ?」
「あ、ああ……ほんと最近の子ときたら……でもあんた、覚悟はあるのかい」
「もちろんよ!」

魔法使いを急かし、シンデレラは美しいドレスとガラスの靴を身につけた。

「馬車……やだ、これサツマイモじゃない!」
「ハロウィンでカボチャがなくてね。文句言いなさんな。そのかわり魔法は12時過ぎても有効さ」

縁結びの魔法は強力だ。これぞ運命の相手とばかりに二人は踊り始めた。
やがて12時の鐘が鳴り響いたが、魔法が解けないガラスの靴は一向にステップを止めない。ついに王子は疲れ果てて床に倒れた。

「おい、王子が倒れたぞ!」
シンデレラは踊りながら怒鳴り返した。
「だって縁ドレスなのよ、これ!」
         *     *     *
「お婆さーんっ!何とかしてーっ!」

朝日の輝く道を踊り狂いながらシンデレラは大声で叫んだ。

「あ、忘れてた」

魔法使いが杖を振ると、ガラスの靴はようやく静かになった。
「もう……何よこれ……」
「だから覚悟はあるかって聞いただろ?」
シンデレラは息絶え絶えに魔法使いを睨んだ。
「ここまで聞いてないわ。インフォームド・コンセント徹底してよね」
「魔法なんてそんなもんさ。それでこれからどうするね」
シンデレラは肩をすくめた。

「私、ここを出て行くわ。お城にも行かない。街に出てダンサーとして生きていきたいの」

何事かと継母たちが外に出てきたその瞬間――

ヒュッ!ヒュンッ!
「ひいっ!」「ああっ!」

甲高い悲鳴が上がる。シンデレラが履いていたガラスの靴を継母たちめがけて投げつけたのだ。

「ありがと、お婆さん。じゃあね!」
魔法使いに明るく手を振ると、シンデレラは新たな夢を追っかけて、裸足で駆けていった。


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