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#2000字のホラー
おとしもの【#2000字のホラー応募作品②】
「今日はお会いできて本当に嬉しいです。桜木さんのプロフィールを拝見してぜひにと思ったけど、競争率が高そうで半ば諦めてたので……」
桜木美緒は信じられない思いで目の前の男性、榊優一を見つめた。
三十六歳だというが、実際には三十過ぎぐらいにしか見えない。仕立てのいいスーツをきちんと着こなし、落ち着いた物腰と穏やかな笑顔はなかなかの好印象だ。
お決まりのホテルの喫茶店で、榊は手際よく自己紹介をした。
棘 【#2000字のホラー応募作品】
老婦人は飾り棚の上にぽつりと置かれたサボテンの鉢に、深く皺の刻まれた手を伸ばすと、そっと語りかけた。
「もう生きていても仕方がない。おまえを置いていくのを許しておくれ」
――事の起こりは昨今、巷に蔓延る高齢者を狙った詐欺だった。
老婦人は決して不注意な人間ではなかったが、その生来の人の好さが災いしてか、まんまと詐欺グループの企みに引っ掛かり、多くはないが自身の生活を支えるにはまずまずの蓄えを根