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長めのショートショート・短編小説

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1000字以上のショートショートや短編小説を集めています。 どこかの文学賞に出してあえなく撃沈した作品の供養も兼ねております😅
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2022年7月の記事一覧

(旧作)桃の花咲くころに 〈5744字〉 光文社文庫Yomeba優秀作

(旧作)桃の花咲くころに 〈5744字〉 光文社文庫Yomeba優秀作

「――おまえ、また山に来たのか」

不意に後ろで声がした。
木の陰に座り込んでしゃくり上げていた佐助は、泣き腫らした目をこすりながら振り返るや思わず声を上げた。手を伸ばせば触れられそうなすぐ近くに、一匹の狐が座ってじっと佐助を見つめている。

「き、狐がしゃべった……!」

腰が抜けたようにへたり込んだまま、手だけでずりずりと後ろに下がる佐助を見て、狐はおかしそうに笑った。

「驚くことはない。我

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7月23日(土)#かとうひろみ真似まつり

7月23日(土)#かとうひろみ真似まつり

この記事は「かとうひろみ真似まつり」の参加日記です。

・きのうの夢。今は働いてないのに、見る夢はだいたい仕事の夢だ。すごく損した気分。
・夢に出てくるのは、なぜか昔苦手だった人たちばかりだ。ついてくんな。
・朝はいつもトースト半分と味噌汁(卵入り)。朝食の珈琲は夫しか飲まない。私はあとから小菓子と一緒にゆっくり飲む。
・朝のストレッチ&筋トレは結構過酷。でも数年前に体を壊してしまった私には必須の

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ハンバーガー回想記〈1730字〉

ハンバーガー回想記〈1730字〉

――突然、ハンバーガーが食べたくなった。

この前ハンバーガーを食べたのはいつだっただろう。
1か月?3か月?いや半年以上も前か。
若い頃はあんなに好きだったのに、今は滅多に食べなくなってしまった。
別に嫌いになったわけじゃない。でもあの頃の美味しさは、もう取り戻せない気がするのだ。
もっともそれは、ハンバーガーに限ったことじゃないんだけれど。

若い頃は部活が終わったあと、よくみんなで近くのハン

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