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見立てる。仕立てる。動かす。

スキルを整理するフレームワーク

リクルートでは、ロクヨンというスキルとスタンスのフレームワークがある。ロクヨンとは、6つのスキル 4つのスタンスの略であり、6つのスキルは、それぞれ2つずつで3つの「見立てる力」「仕立てる力」「動かす力」に分けられる。
社員をスキルの長所短所を評価するフレームワークで使われたり、社内の研修も基本的に「見立てる」「仕立てる」「動かす」に整理されて提供されているので、社員は自分の弱みを認識して、その弱みに合わせた研修を選択しやすくなっている。
もう少し説明すると、「見立てる」とは、取り巻く状況を把握する力で、「構造で捉え俯瞰して見る力」「分析的に捉え問題を特定する力」の2つを含んでいる。「仕立てる」とは、状況に合わせて解決策を設計する力で、「筋のいい仮説を立てる力」「プロセスを作り込む力」の2つを意味している。最後の「動かす力」は、組織や他人に影響を当たえられる力で、「ビジョンを打ち出す力」「人を理解し統率する力」で構成されれている。職種別で重視される力が違うこともあるが、商品を売る営業職であっても、お客さんの状況を把握する「見立てる力」、適切な提案を考えられる「仕立てる力」と、関係性を構築する「(心を)動かす力」が必要と言える。
6つのスキルに分解されると会社員として組織の中で必要とされるスキルを整理したフレームワークだが、3つの「見立てる力」「仕立てる力」「動かす力」という抽象度で捉えると、より適用範囲が広がると考える。

バスケのプレーのスキル

バスケのプレーのスキルを整理すると
 見立てる力|認知力|正しく状況を把握している力(時間・場所・ポジション・点差の把握と理解)
 仕立てる力|判断力|状況に合った選択肢を選ぶ力(シュート・ドリブル・パス、それぞれの種別の筋の良い選択)
 動かす力| 実行力|正確に身体を動かして実行する力(手・足・重心・目など利用したプレーの実行)
というよな整理になる。

実は、スキルを分けて把握することは非常に重要と言える。例えば、バスケの練習でユーロステップを練習して、ステップはできるようになったが、試合では全く使わない選手がいる。この場合は、動かす力が不十分ではなく、状況を把握する「見立てる力」「仕立てる力」が足りないということになるので、ユーロステップをどんなに練習しても、試合で使うという狙いとしては不十分な指導と言える。利用シーンが分かってない選択する力の不足ならば、シチュエーションの説明したり、ディフェンスを置いて練習するのが良い。状況把握の「見立てる力」が足りなければ、ディフェンスのがこの位置ならばユーロステップ、この位置ならばギャロップステップと指導して、ディフェンスの位置を変えて状況判断させる練習が効果的と言える。

状況に応じたプレーとしては、パスが最も顕著かもしれない。敵の場所を把握していないのでパスカットされるし、チェストパス、バウンドパス、オーバーヘッドパス、ロブパスの選択肢を間違えることもある。そして、パスが弱くて届かないとか、スピンが掛かっていないと、届かない場所に出すとかの実行スキルがある。パスが下手だからと言って、対面パスをやったとしても「見立てる力」「仕立てる力」の不足が問題だとしたら、どれだけ練習しても試合中に有効なパスが通らないということになる。

もう1つ例を出すと、セットプレーで、スクリーンが掛かっていないのに、動き出すボールマンがいる。これは、単に動作だけを覚えているだけで、何をきっかけに、どの状況で使うべきか?を理解してない。動きは理解しているので「動かす力」はあるのだが、状況を全く見ていないので「見立てる力」「仕立てる力」が足りないだと思う。

認知力。判断力。実行力。

プレイヤーにスキルがないと思うときは、
 見立てる力|認知力
 仕立てる力|判断力
 動かす力 |実行力
のどれが足りないのか?を意識する必要がある。

それぞれの子供の課題を整理する必要がある。そして、その課題にフィットした練習を設計し、その練習を一生懸命やらせる必要がある。書いてみて、このコーチの作業自体が
 見立てる力|課題発見力(観察力)
 仕立てる力|練習設計力
 動かす力 |指導力
3つのスキルで整理されることに気づく。意識しておくとバスケの指導でも、仕事でも有効に使えるフレームワークだと思う。

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