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バスケットボールのゲーム構造

リバウンドを制する者はゲームを制す

バスケ漫画の金字塔「スラムダンク」の有名なセリフです。主人公でバスケ素人の桜木花道が自分のやれることをやるという意味で、陵南戦の前に、赤木キャプテンから言われたセリフです。リバウンドとは、シュートが打たれて、外れたボールを奪い合うプレーです。守る側の時のリバウンドをディンフェンス・リバウンドと呼び、攻める側の時はオフェンス・リバウンドと呼びます。

リバウンド

漫画での説明では「ディフェンスをリバウンドを取れば、2点守れて、その後に味方がシュートすれば2点取れるので、君のお陰で4点取れる。」と説明されています。もう少し、バスケというスポーツのゲーム構造として整理したいと思います。

バスケのゲーム構造

バスケは、時間内の「得点」を競い合うゲームです。1点や3点のシュートもありますが、基本的には1ゴール2点として、シンプルに言うと、時間内にたくさんの「ゴール数」を決めた方が勝ちというゲームです。
また、相手にゴールを決められると、攻撃権が代わって自分達の攻撃になり、自分達がゴールを決めると相手ボールから再スタートします。これを試合時間中に何度も繰り返すというのがバスケの特徴です。
仮に、全てのシュートが成功率100%で決まる前提で、交互に攻撃を交代するので、同じ数だけシュート本数を打てるとすると、論理的には同点となります。とはいえ、シュートそんなに成功しないので「シュート本数」「シュート成功率」の掛け算によって差が付きます。シュート本数もシュートまで行けずに、相手に奪われてしまうしまうケースがあります。それが差になって勝敗が付くゲームです。いずれにしろ、バスケをシンプルな構造で考えると、自チームのシュート数を多くして、成功率を高め、相手チームのシュート数を減らして、成功率を下げることで勝つことができるスポーツといえます。

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シュート成功率

シュート成功率は、ミニバスで、チーム全体で見ると20%ぐらいだと思います。もちろん、様々な要因で変わります。ゴールから離れて打つシュートは成功率が低く、ゴール下からダンクできれば成功率が高くなります。誰からも邪魔されないフリースローは成功率が高いです。
参考として、近年でNBA最高のスター選手であるステフィン・カリーは、フィールドゴール成功率51.3%、3ポイント成功率50.0%、フリースロー成功率93.8%だそうです。キャリア平均すると、フリースローで90%程度、3ポイント成功率は40%程度のようです。フールド・ゴール成功率は、ゴール下のシュートが多いでデアンドレ・ジョーダンで67%で歴代最高のようです。

また、個人のスキルやシュート種別だけではなくて、相手のディフェンス力によって、シュート成功率は大きく変わります。更に、ゲームの勝敗を考えるにはチーム全体の成功率を考える必要があります。
相手チームに凄くシュート成功率が高い選手がいたら、まず、その選手を止めないと行けないのでチームで一番ディフェンスが上手な子に担当させます。できれば、シュートどころかボールを持たせないほどのディフェンスをさせます。そうすると、相手チームとしては、シュート成功確率の低い選手にボールが渡るので、チーム全体としてのシュート成功率は下がります。
また、シュート成功率は、体調やその日の気分、その試合の盛り上がりなど、微妙なことでシュート成功率が変わります。ちょっとした怪我や、シューズの違和感や、直前にコーチや親に言われた一言、チーム内での一言で変わってしまいます。

シュート本数

もう1つの「シュート本数」も大きく変化します。
1つ目は、相手のディフェンスが巧いと自チームのシュート本数が減ってしまいます。相手にシュートを決められたら、自分達の攻撃に変わって再スタートするのは上述の通りです。しかし、直後に相手が厳しいディフェンスをされて、スティールされてしまったり、パスカットされてしまったりすると、すぐに相手ボールになってしまいます。2つ目は、自分達のミスでシュート本数が減ってしまうこともあります。トラベリングやダブルドリブル、ボールがコートの外に出てしまうなどの自分達の失敗(バイオレーション)もあります。5秒以内にパスを出せないケースもあります。中学生以上では8秒ルールもあります。フロントコートに運んだとしても、バスケは24秒以内にシュートを打ってリングに当てないと相手ボールになってしまう時間制限によって相手ボールになってしまうことがあります。自分達の失敗と言っても、相手のディフェンスによってシュート本数を減らされてしまうとも言えます。オフェンス側は、シュート本数を減らされないようなスキルやチームワークをつける必要があります。
そんな中で、シュート本数を増やす方法が1つあります。それがオフェンス・リバウンドです。下のフローチャートを見てください。自チームでボールを持ってから、味方がシュートを打ちます。ゴールが決まらなかった場合でも、オフェンス・リバウンドを取れれば、再度、自チームでボールを維持して、再度シュートを打つことができます。リングに当たれば、攻撃時間の制限である24秒タイマーはリセットしますから、オフェンス・リバウンドが取れる限りは、ゴールが決まるまで、永遠に攻撃が続けることができます。

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違って角度で理解するために、状態遷移図も描いてみました。バスケには、3つの状態があります。試合中は、基本的に自分達が攻撃するためにボールを維持している「自ボール」状態。逆に相手チームが維持している「敵ボール」状態。そして、どちらも維持していない「ニュートラル」状態です。
これらの状態を行ったり来たりしながら、自得点を増やしていき、相手の得点よりも多く獲得するゲームです。自得点を取るには、シュートを打たなければなりません。シュートを打つために、自ボールの状態が長い方が優位になります。
逆に、シュートを打って得点を取るためには、自ボール状態からニュートラル状態になってしまうリスクを取る必要があります。。成功すれば得点ですが、シュートがハズレれば、空中で取り合いになります。これは、どちらのボールでもない「ニュートラル」状態です。このニュートラルな状態でオフェンス・リバウンドが取れれば、再度「自ボール」状態となります。この様に、勝つために優位な自ボール状態をできるだけ長くする目的と、シュート本数を最大化して得点を増やす目的に対して、オフェンス・リバウンドは非常に重要な役割をしていることが分かります。

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ということで、リバウンドの重要性をバスケットのゲームの構造を示しながら説明しました。簡単なことを難しく説明しているだけだなぁと思った方も多いと思うのですが、この構造を知ることが、戦術を考える上で、非常に重要なので説明しました。

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