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AI英語教材アプリ『abceed』、ユーザー数100万人突破を振り返る

皆さんこんにちは、Globeeの代表を務めております、幾嶋です!

先日2020年1月10日に、AI英語教材アプリ「abceed」がリリースから約3年半でユーザー数100万人を突破しました🎉

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また、同時期にAppStore / Google Playのトップセールスランキング(教育アプリ)にて1位を獲得しました🎉

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同じタイミングに大変喜ばしいことが続きました。思いを込めて作ったサービスだけに、非常に感慨深いです。そこで、これまでを振り返りどのようにabceedを作ってきたか、私がそもそも「なぜGlobeeを始めたのか」について、2012年3月から2020年1月までの約8年間の過程を5000字にまとめました。少々長くなりますがお楽しみ頂けますと幸いです。

株式会社Globeeの立ち上げ

2012年3月、当時大学1年生だった私は「今年は英語だ」と思い立ち、1年で英語を身につけようと決意しました。それからは春休みのフィリピン留学に始まり、日本に戻ってからも英語の授業、留学生との交流、海外ドラマの視聴など、とにかく毎日英語に触れる生活を送りました。その結果、1年後には英語で話すことにも抵抗がなくなり、TOEICでも955点を取得するなど、自信を持って「英語ができる」と言えるようになりました。

この経験を広げようと、その後は国際交流イベントの企画や英語のディスカッションサークルの運営などを行い、その中でいつしか「誰でも英語ができるようになるサービスをつくりたい」という思いが湧き出てきました。国際交流イベントの運営では収益もあったため「本気でやるなら会社としてやろう」と考え、2014年6月、中目黒にて英語学校を開きました。これが、株式会社Globeeのはじまりです。

普通の人が普通に努力して」英語ができるようになるサービス

会社立ち上げの根底には「英語はやれば誰でもできる」という考えがありました。そこで最も重要視していたのが「とにかく毎日やる」ということです。そのため生徒1人1人の課題進捗を毎日メールで確認し、その日の分がまだの生徒にはリマインドするなど、こまめな学習促進を行っていました。その結果、TOEICコースでは受講完了者が2ヶ月で平均144点UPという成果を出すことができました。一方で、課題をやってこない人や、やったことがあまり定着しない人はコースの途中で挫折してしまう事が多く、成果を出すことができませんでした。

「誰でも」英語ができるようになるサービスを本気で目指すのであれば、「普通の人が普通に努力して」英語ができるようになるサービスをつくらなければならない。それは当時のGlobeeにおける、また、今のGlobeeにおいても変わらない、一番の課題です。

誰でもTOEIC900点

「英語ができる」と言うのはどうしても主観的になってしまいます。そこで定量的に成果を測る上で目をつけたのがTOEICスコアでした。TOEIC L&R TESTの全国平均点は約580点です。(2018年度)
TOEICで誰でも900点(正答率90%)が取れるようにできないか?普通の人が普通に努力して、正答率を60%から90%に上げることはできないか?それをとにかく考えました。

TOEICの主な対策は、とにかく問題を解きまくるというものなのですが、例えば600点の人の場合、解いた問題の中には既に解ける問題が60%含まれる事になり、それらの問題は解く必要性が低いことになります。また、900点超えの人でさえ間違える難問も10%ほどあり、これらもまた解く必要は低いです。

これらを省く事ができないか?つまり、解ける問題60%と難問10%を省き、解けない問題30%だけに絞った対策をすることはできないか?これができれば、学習効率を大幅に高めることができ、より多くの人が挫折せずにTOEIC900点を取ることができるのではないかと考えました。

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こうした考えから、ユーザー1人1人が対策すべき問題のみを抽出してレコメンドするサービスを作ろうと決めました。これがabceedのコンセプトです。

Webサービス 『Globee』

2015年1月、問題レコメンドサービスの企画を開始し、必要な要素として以下の3つを定義しました。
① 問題を学習するためのソフトウェア
② 良質な問題コンテンツ(1万問程度)
③ 対策すべき問題を予測してレコメンドするエンジン
①については、知り合いでプログラミングができそうな人を何人かあたった結果、「ある程度のものは作れると思う」というエンジニアに出会うことができました。
②の問題コンテンツについては、最初から1万問は無理でも1000問程度であれば作れるかもしれないと思い、バイトの留学生や帰国子女の友人・知人に手伝ってもらいながら、できる範囲で自社製作。
③のレコメンドエンジンについては、そもそも大量の解答データが必要なため、まずは①と②を作り、解答データを一定数集めてから考えることにしました。こうして3ヶ月ほどでWebサービスが出来上がり、サービス名を『Globee』としてリリースしました。
しかし、
・デザイン的にイケてない
・使いづらい
・コンテンツの質が低い
など
リリースしたサービスには多くの課題がありました。エンジニアに相談したところ、「動くものは作れるが、本格的に作ろうと思ったら数千万円は必要」とのこと。そんなお金はもちろんなく、自分がプログラマーとして作るしか無いと考え、ドットインストールやUdemyなどを見ながらプログラミングの勉強を始めました。一方、プログラミングは一朝一夕でできるようになるものではありません。数ヶ月勉強して、とりあえず動くものは作れるようになったものの、自分がイメージしたクオリティには遠く及びませんでした。このままではサービスが完成する目処が立たないと考え、創業メンバーとして「できるエンジニア」を探すことにしました。当時内定をもらっていたソフトバンクであれば、優秀なエンジニアが1人や2人は見つかるだろうと考え、英語学校を一旦閉じ、ソフトバンクへ新卒として入社しました。

『abceed (β版)』 完成

入社後、同期のエンジニアに片っ端から声をかけ、サービスの概要を説明し、一緒にやらないか聞いて回りました。そこで出会ったのが現CTOの上赤です。出会ったその日からさっそく平日の夜や土日に集まってプロジェクトを進めていきました。進め方について上赤とも話し合い、プロダクトは必要最低限の機能に絞った上で段階的に開発し、コンテンツも自前で作るのではなく市販教材のプラットフォームを作ることで解答データも徐々に集めていくという方針に切り替えました。今のabceedを触っていただくとわかるかと思いますが、とにかく機能が多い。いきなりこの規模のサービスを作るのは、様々な観点で無理があると判断しました。また、自社でコンテンツを作った場合、クオリティの担保が難しいため、市販のクオリティが担保された教材プラットフォームにすることで、コンテンツと学習データの要素を解決しようと考えました。こうして開発した最初のミニマムプロダクトが「自動採点アプリ」(現在の「マークシート機能」)でした。アプリ上で教材を選択し、マークシート画面に解答をタップでマークすることで自動で採点・分析してくれるサービスです。つくりが簡単なこともあり、少ない工数で開発でき、解答データが集められるのがポイントです。週末に開発を進め、2015年12月に『abceed』のβ版(iOS)が完成しました。

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『abceed』 正式リリース

出来上がったサービスを持って早速、「御社の教材を掲載してくれないか」と出版社に問い合わせをしました。しかしなかなか話を聞いてもらえず、話す機会がもらえても「うちは結構です」となりNG。何か他に方法はないかと考え、たどり着いたのが「著者の先生に直接相談する」というものでした。有名なTOEIC教材の著者の方をネットで検索し、ブログなどから問い合わせたところ、ある方とお会いできることになりました。機会をいただきabceedについて話したところ、「面白い」と言っていただき、その後も話を進め、はじめて取れた教材ライセンスが、神崎正哉先生著の「TOEIC TEST 新形式模試 はじめての挑戦(やどかり出版)」です。

また、自動採点機能だけでなく、教材の音声もアプリから聴けるようにできないか、ということで「音声機能」も加わります。こうして本の発売日である2016年5月28日に合わせてabceedを正式リリースすることができました。

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実績ができたことで、そこから徐々に他の出版社とも話ができるようになりました。その後一番影響が大きかったのが、2016年11月に対応したTOEIC特急シリーズ(朝日新聞出版)でした。

2ヶ月後の2017年1月には、TOEIC教材の中で最も売れているTEX加藤先生著の「金のフレーズ」の改訂版が出たこともあり、DL数も大幅に伸びました。

その後も着実に対応タイトル数を増やし、ユーザー数も徐々に増えていったことで、金融機関・投資家からも資金調達ができるようになりました。
このタイミングで私はソフトバンクを辞め、上赤も半年後に退社し、本格的にabceedの開発に注力しました。音声機能・自動採点機能のシンプルな作りと異なり、アプリ上で様々な教材を購入して学習できる機能の開発は難航しましたが、2017年10月、最初の教材(金のフレーズ)の学習機能をようやくリリースすることができました。リリース当日、AppStoreのトップセールスランキング(教育アプリ)で早速10位に入り、翌月には単月黒字も達成しました。これにより、安定して開発を続けていく目処が経ち、レコメンドエンジンの開発へと入ることができました。

『abceed AI』 リリース

教材数、ユーザー数ともに着実に伸び、レコメンドエンジンの開発に十分な解答データ(億単位)も集まりました。レコメンドエンジンの開発には、上赤がソフトバンク時代にビッグデータ解析の業務を行っていたことが活きました。詳細な手法などはここでは割愛致しますが、特に重要視したのがユーザーの学習モチベーションを高められるようなレコメンドを行う、ということです。

具体的には、
・ユーザーがギリギリ分からない問題を出題する
・1回1回の学習結果をもとに予測スコアをリアルタイムに上下させ、それをレコメンドに反映させる
事で、ユーザーが継続的に学習したくなるような仕組み作りに務めました。また何回も社内でレビューを行い、納得のいくクオリティまで磨き上げました。

こうして2018年12月、20,000問以上の問題の中から最適な問題をレコメンドし、解答データに基づきスコアを予測する『abceed AI』をリリースしました。

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リリース後、実際にどれほどの成果が出るのかアンケートを元に計測したところ、1日30問以上レコメンド問題を学習したユーザーが、1ヶ月平均96点UPしていることがわかりました。また、アンケートを取ったユーザーのTOEIC本番当日の予測スコアと、その日に受けたTOEIC結果の差が6%未満と、非常に高い精度でスコア予測ができていることもわかりました。

このようにして昔から思い描いていた問題レコメンドサービスを形にすることができました。ユーザーの満足度も非常に高く、「感動した!」といったレビューも多く頂くようになりました。

『abceed』のリデザイン

一方、機能を段階的に追加したこともあり、フェーズごとに追加した画面のデザインに統一感が無くなっていました。また、TOEIC教材だけでなく他の英語教材にも対応していく事を考えた時に整合性が取れなくなる箇所などもあったため、サービスの設計・デザインを1から見直すことにしました。妥協できず、思いの外時間がかかりましたが、2019年12月、磨き上げた新デザインをようやくiOSでリリースすることができました。(Androidは2月中にリリース予定)

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こうして2020年にはユーザー数100万人突破、AppStore/Google Playトップセールスランキング1位(教育アプリ)を達成できたわけですが、今ではもっと大きな構想も描いています。今後も引き続き「誰でもTOEIC 900点が取れるサービス」に向けて改善を続けていき、更にこの価値を他の分野(TOEFL/英検/大学受験 etc...)へ広げていくことで「誰でも英語ができるサービス」へと進化させていきますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

引き続きGlobee、abceedをどうぞよろしくお願い致します!