北の夏の終わりに水面に沈む。
連日の猛暑日に北海道民と北海道の動植物野菜牛豚鳥魚たちは悲鳴をあげている。
「異常が普通になりましたねえ!」
そんな会話も交わされる昨今ではあるが、人類が地球環境に負荷をかけている事には違いない。
やはり人類は滅ぶかソラリスの海に溶け合うかオーバーロードに導かれて進化すべきである。
北の夏の終わりに、限界中年男性のおれは、10年来の付き合いがある限界中年女性(某アイドルオタク)と水遊び(ラフティング)に出かけた。
*本当はもう一人おじが参加する予定だったがコロって無事死亡の為、欠席。
ーーー
朝6時に限界中年女性(以下限界おば)にピックアップしてもらい現地へ向かう。
向かった先は後志管区にある倶知安町。
羊蹄山の麓、ニセコの近くである。
道中は限界おばとどんな話をしていたか。
推しのアイドルの話やキツかった婚活バスパーティーの話を聞いて笑っていた気がする。
婚活バスパーティーとかパーソナルスペース近すぎて地獄だろう。
昭和のおじさんは〇コ〇コバスツアーやマジックミラー号を連想して笑ってしまうのだが。
現地に到着した。
集合場所で誓約書に記入し、ネオプレン製の靴とヘルメットとライフジャケットを渡された。
周囲を見渡すと
5人家族×1
4人家族×3
カップル×1
結構な人数がいた。
旅の道連れ。
それを眺める限界おじ/おば×1
ドライスーツは…装備しなかった。
最高気温28度予報、水温もぬるい。
ドライスーツを着ると地獄だろう。
ランパンに鳥ガラマークの化繊ロンTを着ていたおれはその上にライフジャケットを装着した。
ーーー
15分ほどバスに揺られる。
車中ではガイドから安全に関する説明があった。
入渓ポイントに到着する。
他のガイドツアーも数組いた。
みなでボートを岸辺に下ろし、三途リバー(仮称)を下り始める。
ーーー
限界おじ/おばの我々コンビは年若いカップルと即席チームを組まされ、4人でボートに乗り込んだ。
川を下る体験は…人生2回目か、初めてだったように思える。
キャイキャイワイワイと騒ぐ皆とテンションを合わせながら水辺や岸辺に目を凝らし続けた。
鴨の親子は岸辺に仲良く列をなし、亀は甲羅を干している。
翡翠はその体を煌めかせながら川の中へ飛び込んでいく。
川の中には、魚影が揺れる。
蜻蛉が飛び交い、オオムラサキ蝶がおれの目前をひらひらと飛んで行った。
目を空に向ければ入道雲が伸びあがっていく様が見えた。
川を下る人間たちの喧騒は遠くなる。
再びオオムラサキ蝶がおれの鼻先をかすめる。
鳥の名前も魚の名前も蝶の名前も、おれは知り得ない。
マニアではないし、学術的知見もない。
翡翠だのオオムラサキ蝶だの語ってみたが見る人が見れば見当違いかもしれない。
鴨は…鴨だろう。
ネギは背負っていなかった。
人間という不完全な存在とは違う理で生きているものたちに触れたとき、おれは完全な世界と不完全な世界の狭間に身を落とす。
目に映る何もかもが美しい。
この場に在る、自分以外のすべてが。
六文銭は持ってきている。
このままこの川を渡り切りたいし、なんなら水底の都に行きたい。
2時間弱、水遊びを終え、その後は食い倒れツアーと相成った。
目の前を若いカップルが歩いて行った。
彼らの見る世界はとても美しいのだろう。
おれは望んだし、望まなかったし、選んだし、選ばなかったけれども人の愚かしさと醜さに触れすぎてしまった。
歩調を合わせているのは男の子なのか、女の子なのか。
推し?好きピ?
ああ、どんな言葉で取り繕おうとも、脳内麻薬に汚染さえれようとも。
しじゅうを越えた男や女には見えない、触れることのできない、戻ることのかなわぬ世界。
モラトリアムも青春も終わったんだ。
おれたちのやっている事は、お前たちのやっていることは青春時代の縮小再生産なんだ。
たちの悪い自己模倣なんだ。
きづいているだろう?
ああ。
何もかもが。
とまあ、若いカップルを見るとコンマ0.5秒の間にこんな思考を展開出来るくらいには性根が腐っています。
性規範に、ロマンチックラブイデオロギーに、対幻想に囚われているみなに幸あれかし。
火車引く道ぞ。
https://www.instagram.com/sirousa_net/
ニセコを経ち、余市経由で帰札する。
その道中。
その後、16時過ぎに帰札し解散。
ーーー
おまけ
限界中年男性キレ喰い画像集
以上。
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