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気づいたら殴られていた

21年前の年末、マンハッタンのミッドタウンを夜遅く1人で歩いていた。前から10代後半から20代前半の黒人男子グループが来るのは見えていた。すれ違いざま突然顔を殴られた。あまりのとっさのことで動揺した僕は殴られた痛さより、なぜ?っていう気持ちでいっぱいになり、彼らになんで殴るのかを聞いていた気がする。彼らは真剣な顔でもなくただ笑っていた。1人が殴り、他の子達はそれを茶化して笑っていた。

愉快犯、というのが正解の言葉なのかわからないが、彼らは遊びの一環として僕を殴っていたというのがその時伝わってきた。そこにアジア人差別的なものもあったのかなあと、後日友人と話している時に初めて気がついた。

日本で暮らしていると日本人以外は、みんな”外人”というよくわからない感覚がある。今の僕にはないけれど、アメリカに移り住むまでの自分には確実にあった感覚。

NYに移り住んでまもない自分は東京ではほぼないであろう、この突然の襲撃事件に困惑して、そして自分が外人であることの認識のなさにだいぶ落ち込んだのを覚えているし、回避できたはずの危険に対する、危機管理のなさを考えさせられたのを今も鮮明に覚えている。

自分より長く住んでいる人からは『殺されなくて良かったね』なんて言われて、この人なんてこというんだって心の中で思いつつ、苦笑いで返事をしたのを思い出す。

アメリカ全土でアジア人差別の事件は多く起こっている。特にコロナ禍にはいり、Covid-19が中国からきたものという立証されていない事実を鵜呑みにして、中国人、そしてアジア人への差別、暴力事件が一気に急増している。

2日前、アトランタ州ジョージアで銃による人種差別殺人事件が起こった。被害者は6名のアジア人女性を含む計8名の方々が命を落とされた。狙われたのはアジア人経営のマッサージ屋3店舗。性的サービスを行うようなお店であり、アジア人の女性がそこにいるということがわかった上での事件だった。

加害者は、自分は性依存症がありその吐口を断ち切るために犯罪に至ったと話している。全く理由になっていない、21歳の成人がこのような問題があるからといって銃を持ち、人を殺して良いわけがない。ここで追い討ちをかけるようにジョージア州警察の公式発言での大きな失言があった。

He was pretty much fed up and kind of at the end of his rope, and Yesterday was a really Bad day for him. 彼はうんざりして、崖っぷちにいた。そして彼にとって昨日は最悪の日だった。

どうして、警察がこのような犯罪者を擁護しているような生ぬるい発言をしているのか!本当に腹が立った。これは彼にとって最悪の日ではなく、亡くなった方々にとって最悪の日だってことをもう一度ここで言いたい。

僕にだって最悪な日はある。そんな日は、気持ちは落ちてても上を向いて歩いて、呼吸を整えるように走り、ビールをぐっと飲んで、好きな音楽を聴いたりして気持ちを保つ。それが成人男性としての判断だと思う。決して銃を持って人を殺して良いはずはない!これは彼にとって最悪の日だから起きたことでは決してない。

そしてこの警官には個人的見解があるからこそ出た失言でもあった。


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彼は個人的に上のようなTシャツを作って売っていた。『コロナは中国から入ってきた』というメッセージをプリントした。

1万歩譲って個人でやるのは良いとしよう。だが彼が警察官として公式発言の場で彼の個人的であり立証されていない虚構を元にした思想感で発言することは絶対にあってはならなかった。彼は警察官として今後活動してほしくはないですし然るべき処置がされると思う。こんな警官しかいなかったら今後誰に助けを求めたら良いかわからなくなってくる。

発表では人種差別的要素はないともいっていたが大いにあると思う、加害者はここで働いている方々がアジア人で女性の方々と知っている状態での襲撃、しかも3件も。

コロナ禍による長期間のロックダウン、失業などによる精神的不安や怒りの感情を抱える人が増えている状況下、アジア系住民に対するヘイトクライムが依然としてNY中で報告されている。警察への経費が大幅にカットされ手が回らなくなっていることもあり犯罪が増えている。治安だけでみれば20年前くらい殺伐とした感じが戻ってきている。1年前までの安全で観光客が何も考えず歩き回われるようなNYの街とは一変した。

今一度、危機感をもち、アジア人としてどのように対処していけば良いのか考えていく時期になっている。

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