【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第3節 川崎フロンターレ戦

akira(@akiras21_)です。
訳あって、激辛餃子2個による胃痛と必死に闘いながら書いてます。

【前節までのあらすじ】

ベガルタ仙台をホーム・日産スタジアムで見事迎え撃ち(○2-1)、開幕2連勝を飾ったトリコロール。まとまりのある守備を破ってもぎ取ったゴールに自信を深め、いよいよ昨季覇者の川崎フロンターレと相まみえる。圧倒的な攻撃力と確かな連携に裏打ちされたディフェンディングチャンピオンだ。

シーズン序盤の大一番を控えたマリノスだったが、松原健、高野遼が相次いで負傷離脱。契約条項により三好康児を欠くことが決まっていた中、両サイドバックの実力者までをも失ってしまい、不安の色を隠しきれないサポーターたち。しかし、選手・監督はあくまで真っ向勝負を宣言した。3万6000人の観衆を前に、シーズンを占う一戦の火蓋が切って落とされる…

ということで、マリノスの先発メンバーはこちら。

[4-1-2-3]
GK:飯倉大樹
DF:広瀬陸斗、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン
MF:喜田拓也、大津祐樹、天野純
FW:仲川輝人、エジガル・ジュニオ、マルコス・ジュニオール

三好のポジションには大津が入り、そして高野に代わって入った“悪魔の左足”ティーラトンがついにリーグ戦デビューを果たしました。

川崎戦の3日前に行われた北海道コンサドーレ札幌戦(YBCルヴァンカップ予選リーグ第1節)ではやわらか対人守備があらゆる方面から不安視されていたティーラトンですが、「いやいやリーグ戦のメンバーに混ぜたら意外とうまくいくんじゃね?」というぼんやりとした希望(的観測)を胸に抱いてました。そんな自分に今では「お前ちょっといろいろ目を覚ませ」と言いたい気分です。

ただ、試合内容は面白いものでした。あんなにエモい幕切れになっ(てしまっ)たのも含めて多分に反省すべき点はありますが、癒えることない痛みならいっそ引き連れてレビューいきましょか!

今回はいつにも増して長いんで、ぜんぶ読むのがめんどくさい方は目次から気になるところに飛んでみてね!

1失点目のシーン:「ズレる」ために「ズレてはいけない」

自陣内でのビルドアップについて、今季のマリノスは絶対にボールを失わないことが前提になっています。絶対ボールを奪われちゃいけません。でも前に運ばなきゃいけません。しかし、マンツーマンで相手に付いてこられるとパスの出しどころがなくなり、いわゆる「ボールを持たされた状態」になってしまいました。

ひたすら頭でっかちに苦しみ続けた昨季のマリノスでしたが、前節の仙台戦ではその悩みに対して「自分たちが動いて相手のマークからズレる」という対処法を見せました。これを川崎戦でも実践しようとしたところ、自分たちのズレでボールを失ってしまい、終いにはあっさりと先制点を許してしまったのです。では、どうズレたのかというと…

①畠中のクリアが飯倉に渡る。トラップした後、パスを出す準備をする
ここは普通。

②飯倉は喜田を狙うも、すぐそばに知念慶がいたため取りやめる
ここも普通の判断。

③一旦チアゴに出して、ゆるくパス交換。知念が食いついてくる
さあパスを出すぞ、ということで喜田も動き出します。が、動き出した結果喜田は知念の背後に入ってしまったので、ボールを受けられるエリアに戻ろうとします。

④飯倉が鋭い縦パスを出す
ここです。
ボールを受けられるエリアに戻ってきた喜田から、パスがボール1個分ほどズレてしまいました。しかも喜田はボールと反対方向に体重移動していたため、「あっ、そっちかよ!?」的に反応するのが精一杯。後はご覧の通り。

「③の時点で別のところに出せなかったのか?」という疑問が浮かびますが、左サイドにいた畠中にはレアンドロ・ダミアンが近くにおり、天野はレアンドロ・ダミアンの背後にいました。パス交換をしたチアゴが一番近くにいましたが、プレスを掛けてきた知念にコースを消され気味でした。ただし、チアゴの後ろには広大なスペースが空いていたので、ここにゆるい浮き玉を出してボールを逃がすのが良かったかもしれません。超が付くほど結果論ですけどね。

それでも、飯倉は喜田に出すことを選びました。縦パスを受けながら相手のプレスをかわし、そのまま素早く攻撃を仕掛けることができると考えたのでしょう。その選択は良かったのですが、喜田には守田英正や田中碧が詰め寄っていたため、その後の攻撃につなげるなら飯倉のパスはぴったりと喜田に合っていなければならない状況でした。

…ということで、「選択そのものは悪くなかったがパスがズレてしまった」という失点でした。「自分たちが動いて相手のマークからズレる」という解は、自分たちのズレによってピンチにもなり得る…という教訓を痛いほど再認識したシーンで「相手からズレるために自分たちの中でのズレを無くす、ないしは最小限に留める」という課題を与えられたことになりますし、この後の試合展開を観てても、現状のマリノスと川崎との差はここにあるんだろうなということを強く意識させられました。

まだまだ続くよ川崎の攻撃:勢いマジ卍

マリノスが1失点目を喫した後、川崎はよく見るいつものオーバーロードを展開。9分頃に広瀬のパスを仲川がトラップしきれずボールロストした後、車屋紳太郎のスローインから始めた川崎の攻撃は典型的な例のひとつでしょう。

密集地帯でのパス交換を経て、ボールを受けた登里享平は田中碧が走り出したと見るやパスを出す

川崎の攻撃の向きが内寄りになり、マリノスの選手たちもこれに惹きつけられる

レアンドロ・ダミアンにパスが通った瞬間、マリノスの選手は全員が彼を見ている
(※前半9分22秒ごろ)

マリノスから見た右サイドはポッカリと空いてしまう

レアンドロ・ダミアンはそのスペースに対して背を向けていたにもかかわらず、反転した後にそのスペース方向へとパスを出す

そこには車屋が走り込んでいる

最終的にはシュートまでつながりませんでしたが、この川崎の攻撃はまさしくマリノスがやりたかった流れそのもの。「注意を惹きつけといてスペースにドーン」は「(U)受けに降りたと(M)見せかけて(D)ドーン」でおなじみ三好康児が得意とする動きでもありますね。ううむ、これが川崎イズムなのか…

その他、20分頃にはこんな動きも。

チアゴとレアンドロ・ダミアンがバチバチ。ファールでプレーが止まる

リスタートのボールを知念に当て、知念のマークに付いていた畠中を封じる

知念からのこぼれ球を奪うため、家長昭博がどんどん加速

天野純がクリア未遂、ボールはレアンドロ・ダミアンの方へ転がる

家長が勢いをそのままに最終ラインをぶち抜く

レアンドロ・ダミアンが家長にパス出し。結果的に飯倉と1対1

など、勢いマジ卍と思わせるプレーも数々。知念に当ててボールを転がすところまではセオリー通りだったんだろうなと思わせる流れでした。当事者同士が攻撃の流れ・形を共有していた(であろう)こともさることながら、動かざること岩の如し家長がここまで走るとは…在りし日の彼は記憶の彼方に飛んでってしもたんやとつくづく思います。

そろそろ見てみようマリノスの1点目:身をよじるようなフラグ回収

さあ、そろそろマリノスの攻撃も見ていきますよ!家長のマジ卍から2分後にマリノスが同点に追いついた場面を見てみましょう。

…と、その前にここでお詫びをひとつ。

アンケート採るだけ採って結局サボっ…時間がないまま川崎戦を迎えてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。前節・仙台戦の広瀬は上下左右に自由自在な動き方をしてまして、それはまるで潤滑油のような存在でチームがうまく回っていくために必要な動きでして…

なんて就活生みたいなこと言ってたら広瀬も1点目に絡んでたんですよ!

ヘディングでね!!
(※前半22分48秒ごろ)

雑なフラグ回収を済ませたところで、以降の流れを追っていきたいと思います。広瀬のヘディングを拾ったのは仲川で、プレスを掛けに戻ってきていた車屋をヒョイっとかわします。その後は大外に開いていた大津へとパスを出し、たぶん70%の走りで最終ライン裏へ。

大津が裏にボールを出すやいなや3速から2速に下ろしたかの如きエンジン急回転(『湾岸MIDNIGHT』とかでグオォォォォオオオンみたいな音しそうなやつ)を実行し、エンドラインギリギリのところでマイナス方向へのクロスを上げました。

エジガルが仲川に寄ってくようにダッシュしたのを見るや、クリリンは一瞬動きを止めてスペースに留まりました。するとエジガルがそのままスルーして、ボールは馬渡和彰と田中碧の間を抜けてクリリンへ。あとは落ち着いて決めるだけでした。

ここで注目したいのは、大津が仲川にボールを出す直前のこと。DAZNで放送の38分28秒ごろを観ていただければと思うんですが、大津の視線の奥でクリリンが左腕を上げています。

実はこのすぐ前にエジガルはクリリンの方に首を振っていて、①クリリンの前にスペースがあること、②クリリンが腕を上げていることを認知していたのです。

そして、仲川もまた一瞬マルコスの方向に首を振っていました。あまりにも速い振りだったのでマルコスのアクションを認知していたかは分かりませんが、少なくともエジガルのポジショニングは見えていたでしょう。そこからこのプレーにつながっていたとすれば、これは正しく「練習通り」だったのではないかと思います。よくやったかめはめ波3人衆。

おわりに:トリコロールに歌うForever Love

なんかもう気になるところはしっかり書いちゃったし、このnoteを書いてる時点ですでにちらほらレビューが出てきてるんで、この後2ゴールはもう振り返らなくてもいいよね…?ここは激辛餃子にやられたってことにして、ざっくりレビューの名に違わぬざっくりさで締めにいこうと思います。

実際、他にもいろいろ気になった点はあります。畠中の縦パスとか、川崎の選手の斜めラインに沿った立ち方とか、喜田がデコイ靴紐結びで川崎の選手たちの気を惹いといて、その裏で畠中がまた縦パス出してたりとか、偽交代出場とか、持ってるんだか持ってないんだかよくわかんないけど気合い200%の飯倉とか、「クリリンならかめはめ波じゃなくて気円斬ですよね」と博識ぶりを披露する倉敷さんとか、チアゴのひとりモッシュとか…

ただ、総じてマリノスの伸びしろを存分に感じた試合でした。様々な事情で川崎はフルメンバーではなかったとはいえ、それでもディフェンディングチャンピオンとがっぷり四つで組めたのは、脚が攣りそうなほど走りまくった選手たち自身が展開を手繰り寄せたからに他なりません。痛みに耐えてよく頑張った!感動した!

痛みといえば、先ごろ長期離脱が発表された高野のことを忘れてはいけません。開幕2試合でバッチリ存在感を示し、この先が期待されていただけに今回の離脱はとても残念です。日体大在学中、特別強化指定選手として出場した三ツ沢での試合でドゥトラばりのオーバーラップを見せていたあの高野がいよいよ戻ってきたか…!と感じていた矢先でした。

とはいえ、悲観はしていません。同じように大ケガを経て、いまや相手陣内で自由自在に蹂躙するスピードスター・仲川輝人の姿がピッチにあるからです。人間誰しも、振り返ってみれば必要なタイミングで必要な出来事が起こるもの。高野にはこの荒波をどうか乗り越えて、本人も言うようにより強く、逞しくなって帰ってきてほしいなと思います。

とにかく、いろいろあったけど川崎戦を引き分けに持ち込めたのはこれからのシーズンに響いてくるのではないでしょうか。次節・大分戦からまた一戦一戦勝ち点3を重ねて、33節の等々力で何倍にも大きくやり返してやりましょう。サッカーは最終的に気持ちですよ気持ち!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?