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第2節 横浜F・マリノスvsベガルタ仙台 2019.03.02(完全マリノス視点)

待ちに待った2019年ホーム開幕戦。ダイナミックプライシングで指定席が暴落しながらも22000人しか入らなかったショックを引きずりながら、振り返っていきたい。

マリノスはメンバーの入れ替えは無し。ベガルタはハモンロペスの怪我で2トップに変更、中盤にシマオマテを加えた5-3-2。

■ボールを前に運ぶ

仙台の組織的守備は5-3-2。基本的に2列目脇のスペースにIHやWGが降りて受ける。それに対して仙台は、2列目をスライドさせるか、WBを上げて対応する。または第1節のように、三好がアンカーポジションやアンカー脇に降りて受ける。

■仙台のHVを釣り上げる

前半3分30秒。畠中から2トップ間で受けた三好がドリブルで持ち上がる。

①三好のドリブルでシマオが外に引っ張られる
②浮いた天野にHV平岡が寄る
③天野が裏の空いたスペースを狙う

さらに30秒後のシーンでは、もはや畠中のお家芸であるレイヤースキップパス(レイヤーについてはこちら)を披露。

①畠中が2列目の脇を通し、マルコスJrへ
②HV平岡裏のスペースを使う
③わりとエグめのクロスが広瀬へ→決定機

これらのシーンや、狭いところを細かいパス回しで前進していった33分50秒のシーンのように、CF〜逆サイドに数人出張してもらい、積極的に数的同数〜優位を作りに行くアティテュードも、ガンバ大阪戦に引き続き感じられた。

さらに4分50秒にも同じような要領で平岡を一本釣り。その裏のスペースに高野が走り込む。

①天野はワイドに降りながらパスを受け、HV平岡を釣る
②高野は兵藤の背後を通りHV平岡裏のスペースめがけて走る
③天野はマルコスJrへ落とす
④マルコスJrから高野へ利き足ロブ

開始5分でやりたい放題である。このように仙台の最終ラインは、縦には動くが横にはあまりスライドしないので、HVが釣られると裏のスペースが空く。この後もマリノスはガンガン空くハーフスペースをガンガン活用して攻め続ける。

急に飛ぶが、これは56分20秒のシーン。
①天野はパス後、兵藤の背後を通りワイドへ流れHV平岡を釣る
②高野はドリブルでマルコスJrを追い越す
③マルコスJrは兵藤の背後を通りハーフスペースへ
④高野は天野の落としをマルコスJrへ

開幕戦はズッ友トライアングル(こちらを参照)の独壇場だったが、今節は左のトライアングルがかなりギラついていた。部署一の敏腕社員を競合他社に引き抜かれながらも、初来日のブラジル人社員と出向先から帰任したばかりの若手社員を束ね、彼らの長所を存分に活かし、これだけのクオリティの仕事をやってのける天野純は、中間管理職のお手本である。

■仙台のWBを釣り上げる

16分10秒のシーン。
①マルコスが降りて受ける(蜂須賀を釣る)
②WB裏へ高野が兵藤の背後をダイアゴナルラン(平岡を釣る)
③開門されたハーフスペースに天野

前述の通り仙台は最終ラインがスライドしないので、WBが釣り出されれば裏のスペースが空き、そのスペースに誰かが入ればHVが釣り出され、ハーフスペースが空く。

24分30秒のPKに繋がったシーンは、マルコスJrの敏捷性を活かしたオーソドックスなワンツー。(残っていた長沢の戻る動きにメダパニの効果があったのかもしれないが)WBが釣り出されてもスライドしないので、関口が抜かれれば決定機になるのは当然である。

■三好のU.M.D.

三好のU.M.D.とは、
U:(ボールを)受けに降りたと
M:見せかけて
D:ドーン
の略である。

U:(ボールを)受けに降りたと・・・

M:見せかけて・・・

D:ドーン!

これだけでIHとWBを同時に釣り上げる大技。三好の前世は伝説の釣り師だったのかもしれない。あとは残ったHVをできるだけ引きつけ、HVの視界から外れるよう走り込む仲川に渡すだけ。

ちなみにこのU.M.D.は、ガンバ大阪戦でも田中達也相手に繰り出していた。

U:(ボールを)受けに降りたと・・・

M:見せかけて・・・

D:ドーン!

■改善したマリノスの前プレス

昨シーズンに比べ、組織的守備時の前プレスはかなり改善した。ウーゴは突貫的にプレスをかけるタイプだったが、エジガルはパスコースを意識しながらプレスをかけることができる。以下は5分45秒のシーン。

①シマオへのパスコースを消しながらプレス
②シマオと平岡へのパスコースを意識しながらプレス
③仲川のプレス
④GKへ戻す

■長沢を予防的マーキングするチアゴ

マリノスとしてはこの前プレスで追い込み、ロングボールを蹴らせるのが目的。仙台も長沢を起点とすることを考えていたようで、わりと簡単にロングボールを蹴ってもらえるが、

残念、そこはチアゴマルチンスさん。

(仙台から見て、本来は畠中がいる)右方向に蹴り出そうが、仙台が自陣深くでボールを奪い長沢めがけて蹴り出そうが、残念、そこはチアゴマルチンスさんである。こんなに屈強なのに足は仲川より速く、最近縦パスも入るようになったチアゴマルチンスさんである。さらに残念だったのは、畠中さんも空中戦で長沢に勝っていたこと。畠中は随所で守備力の向上が見られ、ギラつくパスセンスと併せ覚醒が始まったと見ていいだろう。なんだこの手のつけられない2CBは

彼らの活躍により長沢はほとんど起点になれなかった。長沢が起点になりかけたのは、畠中が石原に、広瀬が長沢に競り負けたシーンだが、ここはチアゴマルチンスさんが奪い返し2点目に繋げている。この2CBがことごとくボールを奪い返せたからこそ、「攻撃→クリアorロングボール→奪回→攻撃」という夢のループが実現できたのだ。

■これほどまでに圧倒したが...

結果は2-1。開幕戦に続き、完全に試合を決めてしまう「あと1点」が取れなかった。特に今節は天野の交代までに3-0、4-0にできたゲーム展開。こういう展開でトドメを差し切らないと、いつか勝ち点3を取りこぼす。だが現在のスタメン中、新加入選手は5人で、連携が深まっていくのはまだまだこれから。そこは伸び代ということで、温かく見守っていきたい。それにしても、補強が当たりすぎである・・・。

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