翔べ君よ大空の彼方へ 3-⑬ 鎌倉へ②
鎌倉駅西口前の道を直進、元漫画家の自宅を利用しているスターバックスを越え、左手に見える鎌倉市役所の先のトンネルを越え右折、いよいよ佐助稲荷への道の始まりだ。手元には残りのカレーパンが2つ。冷めてもおいしいと未来の手帳に書いてあったけれど、2人は熱々をすぐに口に入れた。カリカリの、もっちもちの生地の中に、具材たっぷりの熱々カレーがこんもりと!
「暑い日には、やっぱりカレーパンとアップルパイだよね〜!」
すみれは胃ぢから全開の様子である。
狭い路地を歩きながら、少し冷めた残りの1つをシェアしながら口に入れる。
蝉時雨にカレーパンとアップルパイ・・
・夏だなあ・・・と思いながら歩いていると、目的地へと導く案内札を発見、左折した。
段々坂を上り、佐助稲荷に到着した2人は、神妙に頭を垂れ願いを伝えた。
その後、銭洗弁天にてお金と、身の穢れを取り除いてもらい、帰宅への道を歩き出した。
最後の目的地まで、2人の気力を支えたのは、定番土産の鳩サブレである。
「翔馬君、白い恋人と鳩サブレどっちが好き?」酷な質問である。
鳩サブレがこんなに美味しいとは・・・
牛乳とのコラボはもはや史上最強かも?
「どっちも好きだよ!てか、これ止まらないね!」すみれは、笑みを浮かべ頷いた。
夕方17時の鎌倉駅はなかなかに賑わっていた。蒸し暑さは少し薄れてきたけれども、涼しさには程遠い。
2人は由比ヶ浜通りを長谷方面へと歩く
。和田塚駅近くにあるうなぎの名店を目指して。
本日の夕食は、名物「2段中入れ重」
未来・・・なかなかにハードな旅だったぞ・・・すみれはまだまだ元気が溢れている様子である。
「帰りも歩いて帰る?大体・・・つるやから3キロ位かな?」
今日宿泊するホテルまでは微妙な距離
・・・というのも、江ノ電稲村ヶ崎駅と次駅の七里ヶ浜駅の中間地点にホテルがあるため、どちらの駅で降りても、という感じなのである。
豪華な食事の後は、タクシーに乗って帰ろうよ!明日が本番だし!と、翔馬が進言すると、すみれは「そうだね!」と笑って頷いた。
鎌倉彫の立派なお重の中に、つやつやと輝きを放つ、見事な鰻。表面はカリッと、中はしっとり・・・が、何とご飯の下からもう1枚姿を現したではないか!
ふんわり鰻に染み込む甘辛のタレ、キリリとした少し硬めのご飯・・・2人は、一心不乱に目の前のお重を平らげることに専念した。
夕陽が海の向こうへと沈んでゆく。
未来の背中を照らした、あの黄金の光のようだった。
未来の〝お疲れさん〟と言う声が聞こえたような気がした。
未来君との面会時間は、午後15時からに設定された。
午前11時・・・2人は稲村ヶ崎にある、江ノ電と海を見下ろすホテルを出発し、
正々堂々、真夏の太陽を浴びながら、目的地へ向かって歩き始めた。2人とも、昨日の疲れの素振りも見せてはいない。
右手に広大な海を眺めながら、2人は手帳を確認する。本日の第一目的地・・・
〝力餅屋〟
〝源五郎力餅を食べながら歩く〟
あいつの甘いもの好きは親からの遺伝なのかな?そんなことを思いながらも、とにかく歩く。海沿いの道をてくてくと進んで行く。
坂を越え、歩くこと50分・・・成就院を越えたその先に目的地を発見した。
「ほんのり甘くて、餅米ももっちりして美味しいね!」
すみれはあっという間に2個目に手を伸ばす。食べやすいニ口サイズでこしあん
・・・上品な甘さとはこのことか。これはいくらでも食べられそうだ、あっという間に8個入りの力餅を完食した。
「近くに有名な神社があるよ!」とすみれが言った。
御霊神社・・・すぐそこだ。
力餅屋の軒先を左折し突き当たりを右折
、線路沿いを歩くこと数分、線路の向こうに見えた神社がそうであろう・・・2人は線路を渡り、御霊神社に足を踏み入れた
。福禄寿様が祀られており、その万能の神様に福を分けてもらおうと、お守りを手に入れた。
続く目的地は、鎌倉市農協連即売所、
いわゆる〝レンバイ〟だ。
とにかく、たくさんの鎌倉野菜や果物
等、特産品が売られている鎌倉の台所である。手帳には、未来君の大好物があんぱんと稲荷寿司であると書かれていた。
むむむ・・・未来と同じではないか。
そして、翔馬とも。
由比ヶ浜は、たくさんの海水浴客やサーファーで溢れていた。
2人はデイパックを背に、頭に麦わら帽子、左手に日傘、右手に緑茶を持ち、てくてくと歩いていた。沈む気のない太陽・・・そのあまりの暑さに正々堂々の勝負を諦めた2人であった。
鶴岡八幡宮へと続く若宮大通にたどり着き、海に背を向け坂を登る。
たくさんのカップルや親子連れ、老若男女が笑顔で、休日の鎌倉の空気と時の流れを満喫していた。
道の途中に、美味しそうな蒲鉾屋を見つけたが、ここが我慢のしどころ。スマホのナビに従い発見した、目的地の〝レンバイ〟はなかなかの人だかりであった
。
レンバイ内にある〝PARADISE ALLEY
〟のあんぱんを発見し、差し入れ用に5個
、食べ歩き用に2個購入した。
紙に包まれた焼きたてのあんぱんには
、にっこりとスマイルマークが描かれている。
〝未来・・・これはなかなか美味しいぞ〟
たっぷりのこしあんと、スマイルマークの愛らしさに、すみれが相好を崩し、新たに2個注文した。
2人は鎌倉駅から横須賀線に乗り、1つ目の北鎌倉駅で降りた。第3の目的地の
〝光泉〟・・・軒先の稲荷寿司の文字に2人は目を輝かせた。
翔馬が1ヵ月で15勝を達成すると、食卓に出てくるご褒美がすみれ特製の稲荷寿司・・・酢飯に大根おろしとヨーグルト、そしてあげ玉を混ぜ合わせ、それを包むお揚げとのマリアージュが最高・・・14勝で終わった月にはがっくりと気を落とすほど、稲荷寿司は翔馬の大好物である。
稲荷寿司6個入りを1つと、2個をバラで購入し、早速軒先で頂くことにする。
甘酸っぱい酢の香りが食欲に火を注ぐ
。しっとり甘辛いお揚げと、少し固めのご飯がマッチし、まさに至福のひととき・
・・またしても2人は2個を追加し、平らげてしまった。
鎌倉は本当に美味しいお店ばかりだ。
〝あいつ・・・本当にこれらの店、全部行くつもりだったのか?〟
試しに昨日、ホテルに戻り、入浴後に体重計に乗ってみた。恐る恐るだが。
結果は・・・プラスマイナス0だった。
まあ、あれだけ歩いたからなあ・・・。隣で見ていたすみれは1キロ増えており、あんぐりと口を開けていたが。
PS・・いつもお目に留めて頂き、心より感謝いたします🥹🙏次回配信は、11月22日水曜日午前8時です。いよいよ2人が未来君と面会します!朝日未来の思いが
・・・😢😭それではまたお会いしましょう
🥹😊
AKIRARIKA
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