「マッドマックス:フュリオサ」観た。

原題:Furiosa: A Mad Max Saga
監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース 他
上映時間:148分


神がかりな名作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の前日譚。女戦士フュリオサの若き日!


シンプルでいて濃厚な「怒りのデス・ロード」のようにアクションで畳み掛けず、過酷に放り込まれたフュリオサに寄り添うがごとく、たっぷりと時間をかけて彼女の道を描き出す。子役パートで1時間弱。

母親とフュリオサの子ども時代、成長後のアニャ・テイラー=ジョイが素晴らしかった。
キッと眼光鋭く、不屈を磨き、沸々と復讐心をたぎらせるフュリオサの人生から目が離せない!

彼女に生きる道を示した大事な存在ではあるが、ジャックが邪魔に見えたなぁ。
共感、応援が分散してしまい、フュリオサの存在が立ち上がってこなかった印象。もったいない。

もっとしっかりアニャ・テイラー=ジョイの独壇場を見たかった・・・。


クリス・ヘムズワースが演じる演説好きのテディベア野郎、ディメンタスが強烈。
虚勢を放つ堂々たる悪党っぷり。


ベン・ハーの進化版みたいな三連バイクを操るディメンタス率いる暴走族とイモータン・ジョー軍団の覇権争いにしてもよかったのでは。


怒り、嘆き、後悔、孤独を丸抱えしたフュリオサがにっくきディメンタスと対峙。
そこでの問答が、カタルシスなき悲しみのリベンジをくっきりと伝え、2人芝居の舞台劇のよう。


争いを好む者たちを引きずり倒した果てに、まさかの実り。肉体をも栄養とする生命力たるや。ビバ!


改造車を生み出す工場やスクラップ漁りのシーンが印象的。

修理、再生、新生のメカニック魂が人間パワーに見えた。


荒廃した世界に屈しないエネルギーを燃やして疾走する神話的叙事詩は10年以上にわたる大河ドラマ絵巻で見応え十分ではあるが、キャラクターが多くて散漫。フュリオサ単独のクローズアップが弱めでやや消化不良。

前編で子ども時代、後編で復讐達成とロード・ウォリアーになるまでを描く前後編にしてもよかったような・・・。

とはいえ、「怒りのデス・ロード」という安心感が先にあるおかげで今作の熱量も相当なもの。

ジョージ・ミラー監督、サーガをもう1本ぐらいお願いします!


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