「キリエのうた」観た。

監督:岩井俊二
出演:アイナ・ジ・エンド、矢山花、広瀬すず、松村北斗、黒木華 ほか
上映時間:178分

岩井俊二監督の新作は、「スワロウテイル」「花とアリス」「リップヴァンウィンクルの花嫁」「ラストレター」など監督作品を詰め込んだ幕内弁当のような。


アイナ・ジ・エンドによるタイトルロールのキリエが魅力存分で目が離せない!

歌声が秒で刺さる。
哀切と希望など様々な感情が入り混じる心の叫び。


姉のほうのキリエと夏彦は若者あるある止まりの印象。
広瀬すずのイッコは結末が見える造形でやや物足りなさを感じたし、おっさん達が古臭い描写で感じ悪い。
ナミダメと牧場の横井。
とくにナミダメのあのシーンは削ってほしかった・・・。

そういう消化不良はあったが、過酷な経験をしたキリエの13年間に肉薄する人間ドラマはまるでドキュメンタリーに感じる真実味でぐいぐい引き込まれる。
ずっと観ていられる感覚。

役名つきの役者ではなく、生身として実在する人たちに見えた。

帰り道の雑踏に思わずキリエの姿を探してしまうほど。

是枝監督の「万引き家族」を観たあとの余韻に似ている。


行方を気にすることは、他人事ではなく自分ごとに引き寄せること。

誰かを気にかける。
その気持ちが広がっていってほしい。


野外フェスのタイトル「路上主義」めっちゃいいな。
反抗精神と自由を的確に伝えている。

路上には心の叫びが満ちている!


キリエの未来に幸多からんことを祈らずにおれない。

とりあえず大阪に戻って風美と再会しよう。




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