「アリスとテレスのまぼろし工場」観た。

監督:岡田麿里
声優:榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲 ほか
上映時間:111分

試写会にて@109シネマズ大阪エキスポシティ


「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」の岡田麿里による脚本&監督で描く新作アニメ。
監督としては「さよならの朝に約束の花をかざろう」以来2作目。

製鉄所が謎の大爆発を起こし、周辺エリアはなぜか時間が止まってしまう。
その空間に生きる少年少女たちの未来に向けた足取りを追う物語。

ほんのり「君の名は。」。


メインキャラは中学3年生の男女3人。
菊正宗もとい菊入正宗、睦実(むつみ)と五実(いつみ)。

”刺激のない毎日に倦むな”とよく言うけれど、本作の状況ではそりゃあ倦むよ。

趣味に生きたいと思っている人には楽園だけど。加齢しないんだもん!w


何も起こらない日々を重ねていくうち、変化が少しずつ芽ばえはじめ、やがて未来の存在を意識する3人。

心を動かすことで現状打破に至る終盤の躍動が心地よく、スクリーンに釘付け。

その始まりとなるキスシーンが素敵。
命宿る魂を確認するような衝動を丁寧に描き出して、好きを確かめ合う感情の輝きを伝えていた。


壊れてゆくと同時に再生に繋がる不思議な現象、空や景色がひび割れてゆくビジュアルが鮮烈。

死から生へのエール。

希望には切なさも含まれているんだと感じる。


「まちの記憶」を表現する世界観が響いた。

爆発でなくても隕石や災害などでもし消えてしまったとして、まちはその時にいつの時代を思い返すんだろう。そんなことを考えた。日々の笑顔をたくさん残していかなきゃなと。


「アリスとテレスのまぼろし工場」

アリスとテレスは劇中に登場しないがおそらく、古代ギリシアの哲学者アリストテレスからくるタイトルでしょう。
知を愛することが人間の本質にあると考えたアリストテレス。ここから「哲学」が。

時が止まった場所で直面する正宗たちの葛藤はまさしく哲学で、不思議な空間は「まぼろし工場」。

深いタイトル!

「心音」ええ歌やったなぁ。
中島みゆき初のアニソン!




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