10月期ドラマ(大河ドラマも)

「アトムの童」

邪魔が多くて鬱陶しかったし、「アトム玩具」とゲームの結びつきがいまひとつしっくりこなかった。
対立構造ではなくて、ゲームの奥深い可能性に気付かせるような、熱意あふれるゲームクリエイションに絞って描いてほしかった。
もしくは「ファミ通ができるまで」みたいなのを・・・。


「霊媒探偵・城塚翡翠」「invert 城塚翡翠 倒叙集」

鑑識などの捜査がおざなりに見えた。警察側のキャストが少ないし。

清原果耶のぶりっ子・ドジっ子キャラは合っていなかった。
杉下右京っぽさある有能と、つかみどころのない城塚翡翠に魅力はあるものの、淡白な演出で面白味には欠ける。

霊感や過去の悲しみを仄めかすばかりで、魚の骨が喉に刺さっているような消化不良が。
キャラが立ってこないから、清原果耶&小芝風花の掛け合いも滑り気味に感じた。


「PICU 小児集中治療室」

「観察医 朝顔」のスタッフだけあって、日常描写の会話や生活感がたしか。だから地に足が付いた人間味につながっている。

母親との会話のすべてが良かった。
最後の食事シーンの切なさは忘れられない。

吉沢亮の志子田先生が適役。
医者だからといって万能ではない。その無力感に直面したうえで、寄り添い続けたいとする姿勢が素晴らしい。

子どもを救うことは、未来を守ること。

志子田を含めた同級生4人の連帯感めっちゃいい。
時々、SPで彼らのその後を描いてほしいな。


小中学生時代に何度も入院経験があり、このドラマで描かれた子どもたちに共感する部分が多くあった。
「HUNTER×HUNTERの念」のようなこともあった。僕も元気になりたい。あの子も元気になってほしいと。


「エルピス -希望、あるいは災い-」

主演の2人、長澤まさみ、眞栄田郷敦が素晴らしい。
組織のしがらみ、権力の闇に直面し、保身と行動の狭間を揺れ動く複雑な感情、アンバランスの危うさとパワフルに突き進む痛快を織り交ぜて体現。
2人の求心力が大きかった。

岡部たかしの村井さんもかなりいい。

最終話、2組の食事シーンの演出が最高。さりげなく安堵させてくれた。

薄々は感じていた社会のモヤモヤに切り込んだ社会派ドラマが重厚。
政治とマスコミに根付く利害関係や微妙な関係、忖度・欺瞞の蔓延etc…。

政治の闇、こわ・・・。

伝える側はおかしいと思うことを飲み込まないで、報道に携わることの矜持を忘れないでほしい。

信頼が希薄になっている悲しみと、信じられるものに出会う一筋の光も描き出す。
グレーでこそ社会。その溜め息とそこを生き抜く一助になるようなドラマだった。


「ファーストペンギン!」

奈緒がハマり役。
細腕繁盛記。啖呵が痛快。

主題歌ぴったり。

堤真一をはじめとするおっちゃんたちが、地元の本物の漁師に見えた。

水産漁業の未来を考えてのことなのに、利権に固執した抵抗勢力、金脈を感じて狙いに来るやつらが次々と・・・。
実話だという。実際も波瀾万丈だったんだろうか。


「silent」

思いあう嬉しさ、思いを伝えることの大事、言葉の大切さを伝える好印象なラブストーリー。

美男美女だから成立するファンタジーに見えがちだけど、あざとさなく気持ちの揺れ動きを穏やかに映し取っているから共感のドラマとなっていた。

手話は言葉の見える化なんだな。
もっと広がってほしい。

ただ、聞こえないことにラブストーリーを絡めるのは安直。
「コーダあいのうた」「エール」のような応援物語も作ってほしい。


「ジャパニーズスタイル」

一発勝負のシットコム。
面白かった。
檀れいが生き生きとしてた。
哲郎がろくでなし・・・。


「作りたい女と食べたい女」

「きのう何食べた?」っぽい。

同僚の佐山千春が野本さんにとって嬉しい存在になってよかった。
森田望智のキャスティングでなんとなく嫌な役ではなさそうな予感はあった。

世の中にある固定観念からの生きずらさを、作って食べてほどいてゆく野本さんと春日さん。
初日の出をいっしょに浴びた二人の今年がよき日々になりますように!

食事屋さんでご飯の量を選べるようになったし、変化はきっと起こる!


「鎌倉殿の13人」

「死」をちゃんと伝えた大河ドラマ。

キャラが立っている役者陣による会話劇が重厚。
キャスティング、ユーモアの配分が絶妙。

夢や野望、戦の哀れなどを鮮やかに盛り込んだ脚本の深みを感じた。
見どころ充実、ひじょうに見応えがあった。






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