空白を満たしなさい

平野啓一郎 著

死の事実をクローズアップして、問題のあった過去をうやむやにすることは危険だという会話があった。
まさに今の状況だなと思った。


ハッとするような気付きを感じる「分人」に共感。

個性とは違う分人は、いろいろな出会いや人間関係で構築されていくもので、心地いい分人を得ることで、知らず知らずのうちに人生の安息につながっていく。

なるほど。

そういう心を意識することで、孤立感は薄れていくかもしれない。


読みながら、自殺の切なさも深く伝わってきた。

「自殺」の事実のみに注目するのではなく、そうなってしまった背景や社会に目を向けることはすごく大事。


疲弊や生きづらさを溜めていって、やがて自分を消そうと踏み出してしまう空白の瞬間はきっと誰しもに訪れるもの。

人との出会いを大切にして「自分」を形作っていくことができたら、その空白を埋められるのかな。


哲学書のように思考が活性化する一冊だった。


ドラマ版

演出:柴田岳志、黛りんたろう
出演:柄本佑、鈴木杏、阿部サダヲ ほか
放送:NHK総合 2022年6月25日 - 7月30日

期間限定の再会、なんて切ない・・・。

千佳とリクの未来に笑顔が多くありますように。


「死」と「生」についての思索を促す良質なドラマだった。

振り返って掘り下げる意義は必ずある。


原作とは違い、その後がある佐伯。
彼はこれからどうしていくのか気になる。






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