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株式会社ゆめみの取締役になってみて

※本記事は、基本的には会社方針に則った内容となっておりますが、個人の経験や解釈に基づく見解が含まれています。予めご了承ください。

私事ではありますが、2020年3月19日付で、株式会社ゆめみの取締役に就任しました。私が株式会社ゆめみに2019年8月に入社してから8ヶ月目の出来事です。弊社の会社情報のページにも私の名前が記載されています。今でも時々目を疑ってしまうことがあります。

メンバーから取締役になるまでの期間が短かすぎて「スピード出世」じゃないかと驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、メンバーそれぞれが会社の様々な意思決定を行う権限を委譲されている「全員CEO」のゆめみにとって「取締役」とは、実態としてはすごい存在でもなんでもありません。ただ社外的・法律的な「肩書」が私に付いているというというだけなのです。

そんな実態であるにも関わらず、今回私はこの「取締役」にチャレンジするために社内で手を挙げて立候補しました。創立20周年を迎えるゆめみをさらに盛り上げていくために一役担ってみたいと純粋に思ったのです。

この記事では、取締役の肩書を得てからこの1ヶ月半、私自身の中でどのような変化が起こり、どのように行動し、何を今後目指していくのかについて簡単ですが振り返って、言葉にしてみたいと思います。

どんな変化があったか?

ゆめみは非常に面白い会社で、会社に関係する情報は全ての人が自由に閲覧することができます。私が取締役に就任する前から、会社の売上に関する情報や株主や社外取締役を交えた経営会議の議事録にも当たり前のようにアクセスすることができました(個人情報やプロジェクトに関する機密情報などは例外として管理されています)。一般的な階層組織では、異なるレイヤー毎に「知っておくべき」情報を区切られて共有されるのに対して、ゆめみではこのような「不透明」な情報を全てのメンバーに対してオープンにしているのです。

なぜゆめみに関する情報がこれまでオープンになっているのでしょうか?それは、ゆめみの基本的な考え方である「自律」をメンバーそれぞれが体現できるようにするためです。これまで「不透明」であった情報に透過性を持たせることで、ゆめみメンバー全員があらゆる情報を積極的にインプットして、その情報を基に各自が最適な行動が取れるように設計されているのです。自律的に会社の物事を「自分ゴト化」するための設計が施されているのです。

入社してからクライアントワークや社内ワークと様々なことに取り組んできました。しかしながら、私は実際に「取締役」という肩書を与えられて、会社の経営に関する実際の当事者(=コミッター)になるまでこの「自分ゴト化」が実はできていなかったことに気がつきました。これまでも自分の目が届く範囲で、物事を良くしていこうと「全員CEO」の権限を適宜活用することができていました。しかし、高く視座を上げて、会社全体を見渡し、把握し、理解しようとすることは出来ていなかったのです。

とても面白い心地になりました。ただ「肩書」がついただけで、自分の意識が大きく変わるのです。実質的な権限や能力が未だ伴っていないとしても、その「名前」に見合うだけの人間になろうと意識変容が起こったのです。さらに積極的にインプットする情報の質や量も変化し、視座が上がった自らの意識と交わることで、これまで見えていなかった会社の取り組みや課題が明らかになってきました。

自ら取りに行ってその意味を見出した「取締役という肩書」と社会的・法的な意味を伴う「取締役という名前」は、自らの意識の内側と外側の両方から、私自身の視座を突き上げてくれました。

どのように行動しているのか?

「取締役」になってから社内で取り組んでいることは、実際のところこれまでと大きくは変わっていません。ゆめみの、特にデザイングループの、業務の形式化・標準化に取り組んだり、マーケティンググループと協力してブランディングや新規の商品開発に取り組んだり、これまで関わっていた内容が「ゆめみをもっと盛り上げる」という方向性と合致していたからです。ゆめみの経営にいかにしてデザインを組み込むことができるかについても日々思考と議論を重ねています。

一つ、実際の行動として変化したものがあるとすればそれは、取締役会・経営会議に参加するようになったことです。会社の現状やビジネス上の課題を議事録などから読み取るのではなく、会議中の一次情報として知覚してインプットするようになりました。直接、肌でこの情報に触れられることで、日々の業務に向き合うときやメンバーとコミュニケーションを取るときの自分自身の姿勢や言動が「より良い方向へ前進するために今何をすべきか?」というような前向きな方向へと変化しました。

また、これは当たり前のことなのですが、これまで以上にビジネス、経営をするために必要な考え方や知識をより積極的にインプットするようになりました。私はこれまで、既存のものを改善したり、何かを新しく生み出したりといった専門的なデザインを通じたクライアントワークを主軸に活動してきたために、知識としても経験としても「何かを継続的に営む」ということに対する能力がまだまだ未発達だと感じています。もちろん決められた期間の中で短期集中的なデザインという営みに取り組むことは、刺激的で面白いものです。しかし、本来的なデザインや経営といった世の中の大抵の営みは、長期的なスパンの中で、恒常的かつ逐次的に行われる分析-合成評価の反復の枠組みの中で行われています。そのような環境に身を置いて没頭して初めて、思いがけない発見やイノベーションが生まれるような気がしています。今回の「取締役」という肩書は、クライアントワークに取り組む一方で、長期的に社内の知識と構造とメンバー同士のインタラクションが生み出すゆめみのサービスについて恒常的かつ逐次的な分析-合成-評価の反復に実際に取り組む機会を与えてくれたと考えています。とても楽しみに思っています。

現状を客観的に考察すると、ゆめみに在籍する経験豊富な強いメンバーが、今の私では意識が及ばないような課題を発見し、その解決に自発的に取り組んでいます。経営方面では、片岡さん工藤さん、社外取締役の方々の思考にまだまだ付いていけないと感じます。そして、今回同じく取締役に就任した桑原さんにも、社外的な活動への取り組みに関して私の力はまだまだ及ばずだと感じています。これだけの圧倒的な劣等感と焦燥感をひしひしと感じるのは、久々です。

ただ専門的なデザインの分野から一歩引くことで、異なる専門性と役割を持つメンバーと彼らが構成する組織に目を向けることができはじめました。今まで知らなかったことを知らないままにせずに、新しいことを学習しながら、自分自信も組織も上昇志向な変化が起こせるように日々頑張っていきます。

何を目指していくのか?

先日、新任で取締役となった桑原さんと私に対して、ゆめみの初代チャレンジ取締役である工藤さんにラジオ形式でインタビューしていただき、社内向けに自己紹介と今後の取り組みについての思いを語る機会がありました。

私が話すターンになって、色々と考えた結果、言葉が上手くまとまらずに「取締役になってしまったけど実は怖いと思っている」ということを一番初めに口に出してしまったことを覚えています。

この「怖い」とこぼしたのには、おそらく矛盾する二つの感情があったと思います。一つは、自らの圧倒的な知識と経験の不足によるものです。もう一つは、「絶対にできる」といういつもの自分に対する根拠の無い自信によるものです。

取締役という肩書をいただいてから確かに、視座が変化しました。インプットする情報の種類も質も量も変化しました。しかし、まだまだ理想と現実にはギャップがあります。そのギャップをリアルタイムで埋めながら、一所懸命踏ん張って、自分自身とゆめみとそれらを取り囲む社会全体の成長に貢献することが今回の私のチャレンジです。そして、それらを一人でやる訳ではありません。ゆめみのメンバーの多くを巻き込み、成長の流れを作っていきます。

今取り組んでいることの具体的な結果が見えてくるには、もうしばらく時間がかかります。根気強く取り組んでいきます。優しく背中を押していただけると幸いです。私は、ゆめみを、メンバーもクライアントも共に成長できるマネジメント(Management)、デザインニング(Designing)、エンジニアリング(Engineering)、クラフティング(Crafting)の全てが揃った頼れる存在にすることを目指していきます。



基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋‍♂️