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障害を持っても続く、三浦雄一郎の挑戦(長女・三浦恵美里)

この文章は、三浦雄一郎の長女である、三浦恵美里が担当します。
『諦めない力、ゆだねる勇気』の制作には、父のサポート役として携わりました。

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2020年からのリハビリの日々

父・三浦雄一郎は2020年 6 月、頸髄硬膜外血腫を患いました。
一時は首から下が麻痺した状況となりましたが、そこからリハビリを重ね、翌2021年6月、次男の豪太に支えられ富士山 5 合目で、聖火ランナーとしておよそ 150 メートルを歩き、富士 5 合目に聖火を運ぶことが出来ました。

その後トレーニングを重ね、歩ける距離が増え、階段の昇降もできるようになっていきました。

2022年には障害者用のデュアルスキーで再びゲレンデを滑り、そして2023年3月には北海道の最高峰・旭岳を、豪太からハーネスでのサポートを受けながら自らの足で滑り降りました。

病気発症後、約2年半は要介護4の状況、そして少しずつ回復したものの、神経性の障害は完全には治らず、今も下半身に麻痺は残り、長時間に及ぶ活動は難しい状況です。


富士登山も過去の挑戦も、持つ意味は同じ

8月の富士登山では、「車いすで登るとは登山とは言いがたい」「冒険家として打ち立ててきた過去の偉業を貶めるのでは?」といった、マイナスな評価もありました。
しかし、父・三浦雄一郎自身の挑戦の精神は今も昔も変わっていません。

等身大の自分と向き合いながら、その限界を打ち破ること。

それが、父・雄一郎の挑戦です。

過去には、1960年代から90年代はエベレストや富士山直滑降、世界7大陸最高峰からのスキー滑降など前人未到の記録達成、2000年代は70歳を過ぎてから3度のエベレスト登頂と、人生のその時期における最大限の闘いを続けてきました。

その延長線上に、今回の富士登山があります。

車椅子で牽引されることも、可能なかぎり登山道で一歩を踏み出すことも、標高3千メートルを越える山小屋で2晩過ごしたことも、今の父にとっては、過去の命懸けの冒険と同様に大きなチャレンジでした。

そこには純粋に「みんなと一緒に富士山頂へ行くんだ」という強い想いがありました。

たくさんの仲間のサポートされて、父は富士山登頂を果たしました


障害を持つ身体でも挑戦できる社会を

これからの三浦雄一郎の冒険のステージは、90歳で障害を持つ身体であっても、そのなかで可能な挑戦を追い求めることです。

人間いくつになっても、あるいはどんな障害を持っても「挑戦」することができます。そこには、他者のサポートも必要です。

サポートを得ながら、障害のある人も、ない人も、ともに「夢」を追い求めることができる、インクルーシブな社会。それが新たな冒険のステージです。

父・三浦雄一郎の想いはシンプルです。

「人間はいくつになっても、あるいはどんなハンディキャップを持っても挑戦することができる」

父の思いをサポートしてくれ、実現してくれた仲間たち、父の冒険を見守り応援したくださったお一人お一人に感謝の気持ちでいっぱいです。


私たち家族の思いも込めた本

父の挑戦の日々をまとめた本『諦めない心、ゆだねる勇気』が、主婦と生活社から刊行されることになりました。

私自身も制作を見守るなかで、父の思いを知り、驚くようなことが多々ありました(身内だからこそ、気づかずにいることもあるのかもしれません)。

同時に、私たち家族が直面した介護の体験も、豪太の目を通して、数多くのエピソードとともに収められました。

きょうだい3人でのサポート、父や母の相次ぐ手術や介護のプログラムづくり、ケアマネさんとのやりとり、、、同じように介護を経験されている方には、共感をいただいたり、参考にしていただける部分もあると思います。

この本にこめられた父の思い、そして私たち家族の思いが、多くの方に届くことを願っています。


三浦雄一郎・三浦豪太著『諦めない力、ゆだねる勇気』(主婦と生活社刊)

2023年10月13日発売:1500円(税別)
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