ディベートで一番今役に立っているのは、「ホリゾンタル思考」かもしれない

「ホリゾンタル思考」とは、相手が何を言ってくるかを起点に考える思考法のこと。

私はディベートで身につくこの思考法を、このように定義しています。

ディベートは、肯定側・否定側にわかれ、第三者を論理的・感情的に説得する知的スポーツです。「反論」ということがお互いのチームが可能なため、「強い主張」を考えなくてはなりません。そのような構図から、必然的に「相手のチームは何を言ってくるのか?」ということをチームメンバーと協力して考えないといけないのです。

少し柔らかいテーマを例にとりましょう。遠距離恋愛が良いのか、近距離恋愛がいいのか。遠距離恋愛派は「たまにしか会えないからこそのわくわく感・特別感」を考えます。ですが、近距離恋愛派は「会えなくて寂しい」という反論をしてくるかもしれません。さあ、どうしましょうか…?

「実は、恋愛には適度な距離感が必要なのです。確かに寂しさというのは容易に想像できます。ですが、その適度な寂しさが実は大事なのです。また、毎日会っているとそれはマンネリのリスクもあるのです…」あいにく、私は恋愛マスターではないので良い主張がなかなか思いつかなかいのですが、このように、相手が何を言ってくるかを踏まえ、「先回り」することは考えられます。

私が専門としている即興型ディベートは、議題が発表されてから最短15分で相手が言ってきそうな話を考える、ある種「スプリント」です。それを、大会だと例えば1日4試合行います。年間に換算すると、部活としては文字通り「100本ノック」をやることにもなるかもしれません。(あまり詳しくはないのですが、調査型ディベートと呼ばれる、議題が出てから何か月か調査をしたり、戦略を考える場合であれば、ある種「相手が何を言ってくるのか?」に没頭している、とも解釈できるかもしれません。)

この「ホリゾンタル思考」。実社会で相当に役に立ちます。

社内で上司に何かしら報告する準備をする際、私は過去に上司から言われたことをノートにストックしているのですが、それを読み返します。また、実際に上司の顔を思い浮かべながら、話したら何と言われそうか、想像するのです。(ある種、1人ディベートですね。)話す際の「入り」で相手の話を理解しているというように「先回り」することもあれば、上司からの質問に対して話せるように準備することもあります。

お客様と話すときも一緒です。過去にどういうことを言われて、この主張に対してどういう反応をするか、ひたすら「ホリゾンタル」に考えるのです。

営業の改善の方法、新しい企画やプロジェクトについて、社内の制度の提案…色々なパターンがあるかと思いますが、なかなか最初から満場一致とは限りません。その際、「ホリゾンタル思考」が鍵となります。これは、自分の主張や案をブラッシュアップすることにもつながりますし、聞き手としても「腹落ち」しやすくなります。

では、どうすれば「ホリゾンタル思考」は身につくのでしょうか?

私がオススメしているのは、2つです。

①「1人ディベート」。まさに上記のように話す相手を想像して、どういう質問やツッコミ、反応がくるか等を考えます。

②「ロールプレイイング」。会議などであえて「ディベート」を意識的に取り入れるのも有効です。(人によっては、あえて「devil's advocate」と呼ばれる、あえて反論してくる役回りをしてくれることもありますね。)

いかがでしょうか。「ホリゾンタル思考」、意識してみませんか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?