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留学はタイミングが大事!

留学を計画している皆さん、あるいは留学に関心を持っている皆さん、こんにちは。私は修士の修了・博士課程への進学と同時に留学を開始し1年間の留学をしました。私の留学経験はネット上にあふれる体験記とは一味違う、少し変わった設定下でのあまりみない体験であると自負しています。
留学にはいろいろな"罠"がひそんでいますが、その中でも私が最も苦しめられたのは「タイミング」です。これは、少し変わった留学スケジュールとなってしまったことに起因するものです。簡単に言えば、書面の上では実現可能であっても、実際に体験してみると全然ダメみたいなことがいくつか重なってしまい、大変でした。

この記事では、私が留学をするにあたり大変な思いをしたことを、「タイミング」という観点で整理をしながら半ば愚痴のように綴っています。

👤この記事を読んでほしい人
・これから留学の計画を立てるという人
・留学の時期に迷っている人
・留学時期が大学の修了・進学時期と近くなりそうな人
・大学に秋入学していて、留学をしたいという人
・博士課程での留学を考えている人

当てはまらなくても、私が大変な目にあった状況を知ってほしいのでぜひ読んでください

✅この記事を読んで知れること
・留学時期に関する気づきずらいワナ
・原理上可能でも実際に体験してみると大変な留学のあれこれ
・挑戦的な留学スケジュールの事例と実際の状況
・挑戦的な留学スケジュールになったときの対応策

スケジュール次第で留学準備がハードモードになってしまいます

私の留学スケジュール

まず、基本情報として、私が一体どのようなスケジュールで留学をしたのか共有したいと思います。

留学のスケジュール

私が留学していた期間は 2023年7月~2024年6月です。
私は大学院に秋入学していた関係で、大学院の修了と博士課程の開始と同時に留学を開始するようなスケジュールとなっています。
2023年7月から8月の2か月間はイギリスに、2023年の9月から2024年の6月の10か月間はフィンランドに滞在しており、それぞれ大学の留学プログラムに参加する形でした。

スケジュールを見て色々と気づく人もいるかもしれません。振り返ってみると、私は3つの点でタイミングが良くないスケジュールであったと思います。1つずつ順に説明したいと思います。

その1:留学が修了・進学の時期と近い

まず、留学時期が、修了・進学の時期と重なってしまったことが大きな問題点であったといえます。課程の切り替えの時期は多くの手続きや書類の提出などが発生するために、いくつかのタスクを行う必要があります。これに留学の準備が重なってしまうと、多くのことを同時進行で行う必要が出てきます。こうなると忙しくなるだけでなく重要な手続きに抜け漏れがでてしまいます。具体的には以下の2点に苦しめられました。

ただでさえ忙しい時期と近くなると。。。
  • 論文の執筆、提出と発表が、留学の直前時期と重なってしまう

卒論・修論の執筆や発表はそれだけで1大イベントの一つであるにも関わらず、それが留学関連のタスクと同時進行となるとそれだけでかなりの負荷がかかります。私の場合は、従来の論文発表の時期だと留学期間に重なってしまうという問題もあり、発表の時期を前倒しにし、それに伴って提出も前倒しとなりました。その結果、修士論文の執筆までの期間が従来より1か月程度早まることとなり、研究を急ピッチで仕上げ、まとめる必要がありました。
その上、留学の直前時期と重なっていたために、渡航の準備や日本での住居の片付けや荷物の移動、引っ越し、書類の提出やビザの発行手続きなど、多くのタスクが降りかかってきていました。

正直、出発直前の3か月程度の記憶はほぼなく、メールのやり取り、論文の執筆や発表の準備、書類の提出、自宅の整理、など目の前にあるタスクをただひたすらにこなしていくバタバタとした日々でした。ここまで忙しかった時期は無いと言い切れるほどの大変さだったので、今でも後悔している点の一つです。

  • 修了や進学に関わる手続きに本人が対応できない

修了・進学の手続きはしばしば煩雑なもので、大学の機関ごとの細かなルールが存在しているケースがあります。書類提出があったり、対面での手続きが必要だったりと、いくつかの関門があります。私の場合は内部進学でずっと来ているので、要領が何となくわかっていて、そこまで大変な手続きも多くないですが、外部に進学したりするケースでは課程の切り替えのタイミングで重要なプロセスが多く存在することと思います。このようなタイミングあるいはその前後で留学をしてしまうことで、不自由な状況が発生してしまうことがあります。

私は、この手続き機関に重なる留学期間となってしまったことで、様々な根回しのための活動に奔走する必要がありました。私の大学では課程をまたいでの留学は認められていないため、手続きの点での問題をクリアするために綿密な調整をしなくてはいけなかったのです。大学の事務の方や留学支援の方、指導教員と綿密に調整を行い、問題を一つずつクリアしていき、結果的には7-8月のイギリスは修士学生として、9月は私費渡航という扱い、10月から正規の留学期間としてフィンランドで博士学生として留学をする、という入り組んだ留学プランとなってしまいました。
このような調整も、もちろん自分で関係各所にメールを送り、アポを取って相談をしたり、調整をして要件をクリアするように根回しをしていました。課程の境目に近いというチャレンジングなスケジュールとすることで、必要以上に調整やリスク管理を行う必要があり、大変な状況に直面してしまうこととなります。

対策

では、どのように対策すれば良いでしょうか。

まず第一に「時間や自分のキャパシティに余裕がある時期を狙って留学をすることを計画すること」は非常に重要な点であると思います。
計画時には留学期間だけのことを考えがちですが、留学の応募準備~応募・面接~渡航準備~留学期間~帰国後と、長いスパンで留学に関してやるべきことが沢山あります。この長いスパンで色々なことを並行して行う余裕がある時期はどこか??と考えながら計画をすることがおススメです。

とはいえ、留学のことを前々から計画して、戦略的にすべてを遂行することは至難の業です。どうしても自分の忙しい時期と留学の準備あるいは留学期間が重なってしまうことがあると思います。
重なってしまうことが分かったら、「その瞬間から計画的・戦略的にスケジュールを組んで粛々と進めること」「なるべく時間があるときにできることを早めにやっておくこと」が重要です。
具体的には次の様な対応をすることがおススメです。

【卒論/修論の執筆・提出・発表編】
留学の期間と近くなることが分かった段階で準備・対策をする!
・留学期間と重なってしまいそうな場合、日程の前倒しやオンラインでの対応が可能か確認をする
・時間に余裕があるときに研究をキチンと進める (例:書けるところから論文の執筆を進めておく、ゆとりのあるスケジュール感でテンポよく研究を進める、時間のかかる作業は早めに取り掛かり終わらせておく、など)

【手続き編】
留学計画をする段階で原理上の無理が生じていないか確認をする!
・予め事務などで、予測される手続きを確認する
・例外の対応として、システム上でなく紙面での手続きへの変更、本人でなく代理人の対応、などが可能でないかを確認する
・身の回りの人に、代理の手続きをお願いできるようにしておく

原理上問題が無くとも、想像以上に困難が多く発生してしまうので、修了・進学の時期と留学期間が近くなってしまう場合には、そのリスクを正しく理解し、なるべく避けつつも、どうしても避けられない場合には計画的に動くことを強くお勧めします。

その2:複数の留学プログラムを合体させる

次に、複数の留学プログラムを連結させて留学に行くことがワナであるという話です。これも原理上は全く問題がありませんが、実際に体験してみるととても大変なことになります。大きな問題はプログラムの数だけ、必要な手続きが増えるということです。

一見魅力的だけど。。。

先に述べたように、私は2か月間のイギリスの直後にフィンランドへ渡航し10か月過ごすという計画で、それぞれ別の留学プログラムを合わせるようなものでした。複数のプログラムを合体させることによって、1度の留学で複数の体験をでき、途切れることなく海外に滞在できることは非常に効率的で魅力的に見えるかもしれません。しかし、複数のプログラムに参加するということは、以下のようなことをプログラムの数だけ行う必要があるのです。

  • 学内の出願

  • 学内の留学手続き

  • 留学先への出願

  • 留学先への書類提出

  • 留学先の教員との打ち合わせ

  • 奨学金の手配

  • オリエンテーション参加

  • 住居手配

  • フライト手配 など

私は研究活動をするために留学をしていたので、上記に加えて自分の研究トピックについて説明し、現地での活動について相談するなどといったことも行っていました。
書類の作成や、メールのやり取り、〆切の管理など、多くの人が苦手意識を持つようなことが留学準備期のタスクの中心です。私も不得意でこれらに翻弄され目が回っていました。一つのプログラムに参加するだけでも管理が難しいので、これを複数走らせるとなると「嫌なタスク1000本ノック」を受けているかのような感覚です。このような管理に自信がある人以外は避けるのが吉だと思います。

対策

とは言いつつも、複数のプログラムに参加することの魅力があるのは確かで、私自身もつらいことをある程度承知で(ここまでつらいとは正直思っていませんでしたが)決断しました。これを乗り切った私から、留学手続きの煩雑さを乗り切る対応策を伝授します。

  • 自分を頼らずツールを活用する

これに限ります。私はNotionとGoogle カレンダーを使って未来の自分を管理することと過去の自分の思考を整理しておくことを徹底しました。
忙殺されている時に、自分自身ほどあてにならない存在はありません。重要な期日はカレンダーで必ずリマインダをすること。重要資料や過去に調べた結果などはすぐに参照できるように、簡潔に整理しておくこと。また、自分のスケジュールを先読みし、後々やらなくてはならないことを様々な形式で徹底的に管理をしました。
(ツールになれることや複数のタスクを並行して回すことが必要ですが、コツがあるので、またいつか詳しくnoteで書きたいと思います。)

このケースについても、できるだけ避けることをお勧めしたいですが、このような状況に陥った場合には、計画的に、スピーディーに降ってくるタスクをこなすことが重要となります。

その3:博士課程での留学であること、秋入学であること

3つ目は、博士学生での留学となることと、秋入学であることです。これは、奨学金の受給について考える時に非常にネックとなりました。

メリットもあるけど、大変なことも。。。

博士の1年目に留学をするということは、資金を獲得のための様々な機関へ研究計画書や応募書類などの作成と提出などが留学直前期に重なってしまうことを意味します。
留学をするしないに関わらず、博士課程の学生は様々な手を尽くして、奨学金、研究奨励費、研究費などの獲得に勤しむことになります。博士進学前あるいは進学直後は、このような資金の獲得に向け、研究計画を練っては申請書を何度も書き、活字と向き合う日々が続きます。
留学の準備あるいは、留学直後に現地の生活に慣れる前に、このような地道な作業と向き合うことを強いられることになってしまうわけです。

また秋入学であることで、博士課程向けの奨学金の多くが春入学を前提にしたものが多い為、資金的に不安定な時期ができてしまう可能性があります。博士課程向けの資金援助の多くは、春入学の学生を前提にしたものであるために、秋入学のタイミングにフィットするものは選択肢が限られてしまうというデメリットがあります。選択肢が限られてしまうことで、採択とならなかった場合の保険がないことは懸念点になり得ます。

以上のような点は、私が実際に感じたデメリットです。しかし、その一方で、博士課程であること、秋入学であることで、恩恵を得られる場面があることもあります。
例えば、博士課程であるということは、それまで行ってきた研究活動の積み上げがあるので、留学の目的意識や具体的な活動計画が立てやすく、留学の応募時点ではアドバンテージになりやすいですし、自分の興味関心が定まった状態での海外滞在経験は非常に有意義なものになると思います。加えて、博士課程向けの資金援助の中には、海外の渡航に対して別途で援助をしてくれるものもあるので、そのようなものをうまく活用することができることもメリットの一つです。私自身も大学の卓越教育院の制度を利用し、海外渡航の支援金をいただきました。
そして、秋入学であることは海外大学の学期との親和性が高いというメリットがあります。微妙に開始時期が異なるので完全に接続できるわけではありませんが、スムーズに移行できる点では非常に良いと思います(その一方で、日本でのカリキュラムは春開始を念頭に置いているので通年の講義などで逆に不利益を被ることが残念ながらありますが)。

(私の資金源について参考までに記しておきます。)
(留学のための資金としてJASSOの奨学金と卓越教育院からの海外渡航の支援を受給している他、博士課程の資金援助として、卓越教育院の研究奨励費と民間の財団での奨学金を受給しています。すべて日本円での受給となるため、ヨーロッパの先進国の物価高と円安の打撃を受け決して潤沢とは言えませんが留学期間中の資金は最低限まかなえるという状況です。)

対策

博士課程であることや秋入学であることは、資金の獲得の面において困難を強いられる可能性があります。一方でメリットも存在するので、以前の2つの問題に比べて、このような選択をとることは十分に検討する価値のあるものであると考えます。その分、直面しうるリスクを認識し、適切な対策をとることが重要です。

このような状況に対しては、「代替案を複数持っておくこと」が重要であると思います。奨学金ごとに、申請のために必要な書類や申請のタイミング、併願・併給の可否など、細かなルールが設定されていて調整が難しいですが、いくつか複数の候補を持って、プランAがダメだったらプランB、プランCと転換できるような余裕を持っておくことが大切です。

その為には、情報を十分に収集する必要があります
残念ながら奨学金の情報はそれぞれの機関や組織ごとに発信されているものも多く、自分で情報を取りにいかないと気づかないものも多くあります。したがって、できる限り、漏れなくくまなく情報を集めることが必勝法だと思います。
大学から発信されている情報は勿論、SNSで個人や組織が発信している奨学金情報や、企業が行っている学生支援の情報、留学先の国の留学生向けの資金援助など、様々な観点から情報を集めていました。また、過去の留学経験者に相談をしたり、ブログや留学体験記などを参考に資金源を探すことも有効です。

応募時期に探していると間に合わないということも考えられるので、実際に留学をする1年前に頭の片隅に入れておいてシミュレーションをしておくことはかなり有効だと思います。来年のスケジュールがどのようになるのかを想定しながら、選択肢を吟味しておくのです。
このメリットは、応募に必要な書類や英語の試験などの点数のレベル、選考のプロセスなどを把握しておくことで、実際の応募の際にどの程度の労力を割く必要があるのかを知ることができますし、事前に対策をして後は提出をするだけ、という状態にもできるという点です。
大事なものだからこそ先回りをして対策をしておくことでリスクを最小限にすることができるはずです。資金の問題はシビアだと思うので、このくらい用心深くやる価値は十分にあると思います。

さいごに

留学は準備だけでも想像の何倍ものタスクをこなす必要があります。それをスケジュールをミスすることで、その難易度が数段階アップしてしまいます。留学をしたいと思った瞬間から、できる限り早い段階で計画的にスケジュールを立てて忙殺されないように対策を打つことをお勧めします。

しかし、どれだけ対策をしても、留学の準備の大変さを無くすことはできません。私自身周りの多くの人に融通を聞かせてもらったり、協力をしてもらったり、助けてもらったりしました。自分一人だけでは絶対に乗り越えることができません。周りの人への感謝と謙虚な姿勢を忘れず、一生懸命乗り切ってください。準備が万全であれば留学のスタートダッシュもきっとうまくいくことでしょう。

(もし同じような状況にいて困っていたり、この手の話で悩んでいれば、何か手助けができるかもしれないので、InstagramやX(Twitter)のDMでnoteの「この記事の話で~」と気軽に連絡してください。)

コメントやご支援、お仕事の依頼をよろしくお願いいたします!


2024/06/02 最終更新
伊藤鑑

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