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【ボクはやっと認知症のことがわかった(長谷川和夫著)】

今回は傾向を変えて「認知症」に関して。

【ボクはやっと認知症のことがわかった(長谷川和夫著)】


正直祖父母で重度の認知症になった人はいなく、自分の中では未知の分野です。
ただ、寿命が延びている今の時代だからこそ、将来親が認知症になることもあると考えています。
まずは「認知症」とは何なのかを理解できればと思っています。

<気づき>

“認知症は、言語や知覚に関する脳の機能低下が成人になってから起こり、日常的に生活に支障をきたしている状態をいいます”
“成年期以降に、記憶や言語、知覚、思考などに関する脳の機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたすようになった状態”

まず、大前提としての認知症の定義。我々の生活のほぼすべてが言語でできているので、その言語に関する機能低下が日常的に起こることは非常に大変です。
ただ、著者もおっしゃっていますが、“そのときどきの身体や心の具合によって、認知症は良くも悪くもなる。だから「一度なったらおしまい」とか、「何もわからない人になった」などと思わないでほしい、特別扱いしないでいただきたいと思います。”というようにいきない人が変わったり全てを忘れたりするわけではないそうです。誰もが直面するであろうものと捉え、どのように対処していけばいいかを知っておくことが大事ですね。


“認知症の代表的なものには、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがある。”

そもそも認知症にここまで種類があることを知らなかった。“一番多いアルツハイマー型認知症の場合、一般的に、まず時間の検討がつかなくなり、次に場所の検討がつかなくなり、最後に人の顔がわからなくなる”そうです。


“認知症の一番大きな危険因子は加齢です。そうだとすると、認知症の予防は、「一生ならない」ことよりも、いかに「なる時期を遅らせられるか」が重要になります。”

加齢以外にも高血圧、脂質異常症、糖尿病、運動不足、高カロリー食、過剰な塩分摂取やアルコール摂取、喫煙などにも注意が必要だということです。つまり食生活に気を付けながら適度な運動を続ける必要がありますね。


“皆さんが認知症の人と接するとき、ぜひ心に留めておいていただきたいことがあります。
まず、相手の言うことをよく聴いて欲しい。
「こうしましょうね」「こうしたらいかがですか」などと、自分からどんどん話を進めてしまう人がいます。そうすると、認知症の人は戸惑い、混乱して、自分の思っていたことが言えなくなってしまいます。
「こうしましょう」といわれると、他にしたいことがあっても、それ以上は何も考えられなくなってしまう。それは人間としてあるべき姿ではない。だから「今日は何をなさりたいですか」という聞き方をしてほしい。そして、できれば「今日は何をなさりたくないですか」といった聞き方もしてほしい。
それから、その人が話すまで待ち、何を言うかを注意深く聴いて欲しいと思います。「時間がかかるので無理だ」と思うかもしれません。でも「聴く」というのは「待つ」ということ。そして「待つ」というのは、その人に自分の「時間を差し上げる」ことだと思うのです。認知症はやはり、本人も相当不便でもどかしくて、耐えなくてはいけないところがあるから、きちんと待ってじっくり向き合ってくれると、こちらは安心します。“

少し長いですが、認知症当事者、そして認知症の専門医から「どうして欲しい」という要望を聞くことのできるすごくいい機会でした。まずは話をしっかり聞くこと。大切ですね。


“認知症の歴史“

この章は認知症の歴史について書かれています。その中心で動いてきた長谷川先生だからこそ知っていることも多々ありました。
1970年に高齢化社会に突入
1972年「恍惚の人」という小説から認知症への関心が高まる
1973年東京都からの依頼による認知症の調査により、実態(納戸に押し込められている、部屋に隔離されている、放置されている等、隔離と収容と拘束の時代)がわかってくる
1989年日本にて国際学会初開催
2000年介護保険制度スタート
2004年痴呆⇒認知症に名称変更   等々
 
超高齢社会に突入し、介護が日常生活の一部になっている今だからこそ歴史を知ることはとても大切だと思います。特に私を含めた上記の期間に生まれていない、子どもだった人たちは特に知っておくべきだと思います。


“「みなさまはどなたですか?どなたかわからなくて困っているんです」
とても不安そうな様子に、ここまで症状が進んでしまったかと家内も僕もショックを受けて、シーンとしてしまいました。どうしようか、何と答えようか。そう考えていると、下の娘がこう言いました。
「おじいちゃん、私たちのことをわからなくなったみたいだけど、私たちはおじいちゃんのことを良く知っているから大丈夫。心配いらないよ。」
それを聞いて、義父はとても安心したようでした。“

身近な人が認知症になった時、色々と考えるはずです。ただ、この時に「なぜわからないの」「何を言っているの」などと言ってはいけないそうです。そして、認知症になったからといってこれまでと違った人に接するかのように、しかったり、子ども扱いするのもNGだそうです。身近な人だからこそイライラをぶつけてしまう可能性がありますが、そこは今まで通り普通に接することを心掛けたいですね。


“認知症が進んでも、嬉しい、悲しいといった喜怒哀楽の感情は最後まで残ると言われます。実際に認知症になってみて、その通りだと思いました。だから、たとえ症状が進んでも、できるだけ美しいものを見たり、聞いたり、味わったりして過ごしたいと考えています。”

この本で何回も出てきますが、認知症は「普通の生活がだんだんできなくなる」だけです。感情が無くなったり、いきなり別人になることはありません。そのことは心に留めておきたいと思います。

<アクションプラン>

・noteに書き記しておく

<最後に>

半世紀以上、認知症に関わり続けてきた精神科医が自身も認知症になったことで、実体験も伴った記録。これは本当に誰しもが一度読んでみるべき本だと思います。
一番印象的だった言葉は “認知症になったからといって、人が急に変わるわけではない。自分が住んでいる世界は昔も今も連続している” です。まだ僕の周りには認知症の人はいませんが、今後は出てくると思っています。その時にまたこの本を開けるように記しておきます。

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