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エコバックを買えば買うほど環境貢献?ぼくらベアベアーズ 20話「やりすぎトートライフ」

この記事はHANDSUM Advent Calendar 2019の12月18日分のエントリーになります。

HANDSUMの一員ではありませんが…

HANDSUMさんのスタッフでもなんでもない私なぜか参加させていただくことになりました!HANDSUMファン、アゲアゲくんファンとして身に余る光栄でございます。

HANDSUMのないんさんとはFICCが昔運営していたサービスをきっかけに出会いまして、それ以来仲良くさせていただいております。例えば個人的に作った同人誌ではグラフィックだけでなくモデルも担当していただいたり(HANDSUMだけに)。また今年はお仕事でもお世話になりました!🙏

日常の闇をクマで描くアニメ『ぼくらベアベアーズ』

さて今日はアゲアゲくんのようにとってもかわいくとっても愉快なアニメ『ぼくらベアベアーズ』をご紹介します。『ぼくらベアベアーズ』はグリズ、パンダ、アイスベアのクマ三兄弟が巻き起こす愉快な日常を描くとーってもかわいいかわいいアニメ…

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と思わせておいてそこはカートゥーン・ネットワークのアニメ、現代っ子をシニカルに描く風刺的なアニメに仕上がっています。特にパンダは「スマホ中毒で」「恋愛中毒で」「女子高生柄の抱き枕愛用者」という日本人的にも “親近感のある” キャラクターですね。この絵柄ながらかなりリアルな日常アニメ、それが『ぼくらベアベアーズ』なのです。

ちなみにMINISOの限定グッズが鬼かわいいんですが日本での取扱量が少なく…日本でももっと売って…売って…😭😭😭

トートバッグから環境問題を考える「やりすぎトートライフ」

本作の中でも私が大傑作の太鼓判を押すシーズン1 第20話「やりすぎトートライフ」を紹介します。グレタさん旋風やSDGsの認識浸透で日本でも環境問題がようやく火がつき始めましたが、環境問題について少し変わった視点を私たちに与えてくれる良エピソードです。

▶️ Netflixで試聴

ある日 ”意識高い系” のスーパーに訪れた “意識低い系” クマ三兄弟。レジで会計をしようとするとエコバックを持っていないことを「環境保護に関心がない客」と店員から非難されます。慌てて「売り上げの一部がビーバーの巣作りの支援金になる」エコバッグを買うと、周囲の人々に「これで君もトートライフの一員だ!」と同じ環境意識の高い共同体の一員として認めてもらうことになりました。

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いいこと尽くめのトートライフを満喫する3兄弟は町中のトートバックを買い占め始めます。そして3週間後、3兄弟の家はトートバックで埋め尽くされていた…!3兄弟はトートバックに依存しトートバッグを盲信する “トートライフ教” 状態に。

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周囲の自然がトートバッグに汚染されていることに気がついた三兄弟は自身の行いを反省します…が残されたのは大量のトートバッグ。そこで3兄弟はトートバッグを使ってビーバーのダムを作ることで最終的に「環境貢献」するのでした。

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消費によって発生した問題を消費で解決できるのか?

“トートライフ教” の描写だけでなく、トートバッグがそのままビーバーの巣になっている絵はなかなかにグロテスクな表現です。このストーリーでは人間の資本主義的な活動によって引き起こされた被害を「消費」によって解決することの矛盾を指摘しています。エコバッグの利用自体は生活ゴミを減らす有効なアクションですが、それを大量に生産し消費する結果となっては本末転倒。さらにトートライフ教のように手段と目的が入れ替わったり、自分の存在意義を仮託してしまったりする。そして厄介なのは、確かにトートバッグの売り上げでビーバーが救われるのも事実だということ。

私たちが話し合うべきはどうすればビーバーの巣が救えるのか、そして大量消費の結果生まれたビーバーのダムを肯定できるのか、であり、対立でも喧嘩でもないでしょう。愚かな私たちは、愚かな三兄弟の失敗に学ぶことがあるかもしれません。

…と硬めのまとめになってしまいましたが、まさに人間の愚かさを切り取ったコメディという感じで本当に楽しいので『ぼくらはベアベアーズ』『がんばれアゲアゲくん』はおすすめです、という話でした!

引き続きHANDSUM Advent Calendar 2019をお楽しみください!

福岡陽。FICC inc. ブランドエクスペリエンスクリエイティブ事業部 ブランド・ストラテジスト/クリエイティブディレクター。