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【鶴亀杯俳句】5首選

特に好きな御句を5首、番号順に掲載します。
既に記事にした短歌の方もですが、もちろん、好きな作品はもっとたくさんあるのです。が、私の優柔不断が発動し、これを入れたらあれも…と本当に切りがなくなったので、泣く泣く💦5首に絞りました。


立ち位置を教えてほしい花菖蒲

花は大概好きですが、花菖蒲は特に好きです。あの、群れていても独りで咲いているようなところが。花菖蒲さんだったら、こういう場合にどう言ったらいいのか、どう振舞えばいいのか、優柔不断な私に答えを教えてくれるだろうな。迷いなくサッと決断するだろうな…と、こういう女性に対する憧れが選ばせた句です。


岩壁を亀裂走れり山百足 

難攻不落の山を登山中、岩壁の亀裂に手をかけたら巨大な山百足が出てきた。思わず足を踏み外しそうになるが、滑落したら命は無い…。ぎりぎりの瞬間を掬った、緊張感のある句。鎌倉仏のような荒あらしい手触りがあるこの句が、全句のなかで一番好きです。(同じ作者様の「連山の流れの果ての瀑布かな」と迷いました)


夏草や家を絶やすと決めた叔父

田舎住まいですので何となくわかるんですが、田舎の高齢者の「家」に対する執着は凄まじい。あくまで私の地元に限っての話ですが、諸事情により断家せざるを得ない者は「親不孝者」「御先祖様の顔潰し」みたいな扱いを受けます(笑)。この叔父さまの詳しい事情は分かりませんが、相当の覚悟があっただろうなと窺え、惹きつけられました。


夕焼や亀のまどろむギターの音

亀が…ギターの音で…まどろんでいる…? なんとも不思議な句、不思議系は大好きです。いつも眠ってそうな亀がまどろむのですから、相当気持ちのいい音色と思われます。記事を拝読しましたら愛亀はチリちゃんと仰るのですね。チリちゃんと、ギターを弾く作者様のご主人様が夕焼けに溶けこんでいる、やさしい時間。


補聴器をつけて吹っ飛ぶ蝉時雨

補聴器のボリュームで蝉時雨が爆発音に聴こえたのですね。吹っ飛ぶという語句に実感が籠っていて、作者様の受けられた衝撃が伝わってきます。昨今の蝉声は凄まじい。記事の中で作者様も「あの風流な蝉時雨が」と仰られているように、蝉時雨という美しい言葉がもう、朝と夕にしか通用しなくなっていると思うこの頃…。


他の方の解釈でなるほどーと思ったり新たな発見をしたり。作品自体もですが、毎度ながら、皆様の評の巧さに圧倒されました。
鶴亀杯運営の皆様、素敵な作品を詠まれたnoterの皆様、たくさんの楽しい時間をありがとうございました✨✨✨