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成長しているスタートアップがアジャイルから離れるとき、アジャイルに戻るとき

シン・アジャイルAdvent Calender 17日目です。

株式会社SpecteeでVPoEをしておりますおーのAです。たぶん今回初めてアジャイルというお題で記事を書いています(温かい目で読んでください)。

※なお、「スタートアップ」と主語を大きくしていますが、すべてのスタートアップに当てはまるわけでは無いです。

成長しているスタートアップは常に変化し続けている

成長しているスタートアップでは、プロダクトであれば顧客が増えていたり、組織であれば人数が増えていたり、変化は当たり前のように発生している。(もちろん本質的にはスタートアップでなくとも変化は起こっているが、スタートアップの変化と比較すれば緩やかである)

成長しているスタートアップは成功体験を持っている

成長しているスタートアップは、必ず成功体験を持っている。

この成功体験を振り返ってみれば、それはアジャイルな仮説・探索・適応のサイクルだったのだろう。しかし、それが創業者・経営陣の直感やリーダーシップに任されていないだろうか。アーリーステージでは組織規模が小さいため透明性が高く、無意識的でもアジャイルに探索と適応を繰り返すことができる。

組織が大きくなると創業期を支えたトップとボトムのギャップが生まれる

成功体験は次なる打ち手への力となる。プロダクトの顧客層を開拓したり、マルチプロダクトに向けて走り出す。そのために組織に人が増える。

ボトムに意図が伝わりにくくなる。

前述の通り、創業当時のスタートアップはトップのリーダーシップのもと「探索」と「適応」を繰り返しているだろう。組織が大きくなるとトップの「意図」が伝わりにくくなり、ボトムにはトップの「意図」が抜け落ちた作業が落ちるようになってくる。

ボトムに「探索」「適応」のマインドが生まれにくくなる

このような状況でボトムはふりまわされてしまう。

トップは「意図」を頭の中で整理し、打ち手を考え出す。そして、打ち手が作業としてメンバーに届けられる。メンバーから見ると作業だけが不意に降ってくる。ボトムはその「意図」の抜け落ちた作業に取り組む。なぜこの作業をしなければならないか、どんな価値を生み出すかよく分からないまま作業に着手する。

ボトムがこの作業についてのトップの「意図」を把握してないと、「探索」と「適応」が難しくなる。あるいは「探索」と「適応」がトップの判断なしに繰り返すことができず、コミュニケーションをコストが上がる上に、適応のための時間を必要とする。

このようにトップとボトムの構造が形成され、無意識的トップダウンの構造が作られていく。

この構造が維持されてしまうとアジャイルにプロダクト開発を行うことが難しくなる。また、組織内の透明性が低下していく。

ミドルがアジャイルマインドを持ち、組織のアジャイルマインドを作っていく

このとき重要になるのはミドルの役割だ。詳細は市谷さんの「組織を芯からアジャイルにする」を読んでいただくと良いと思うので、ここではポイントだけピックアップする。

ミドルはボトムでアジャイルに開発できるチームを形成する

まず最初に構築すべきは「ボトムの回転」であり、これが最も芯となる回転に当たる。

組織を芯からアジャイルにする -第5章 組織を芯からアジャイルにする-

ミドルがまず始めるべきはボトムのアジャイルだ。ボトムにスクラムなどのアジャイルプロセスを導入し、「探索」と「適応」の機会を作っていく。スプリントを繰り返しながらふりかえり、「適応」するリズムを作る。繰り返すうちに次第にボトムに「意図」が吹き返す。

トップとボトムの意図を合わせる

ミドルはトップの「意図」を把握し、伝えていく役割を担う。しかし、トップの「意図」をミドルが伝えれば良いかというと、それだけでは十分ではない。

トップ=意図、ミドル=方針、ボトム=実行と言うのは中央集権的なものの見方で、実際には各層における意図、方針、実行の連鎖が存在するということである。

組織を芯からアジャイルにする -第5章 組織を芯からアジャイルにする-

トップとボトムの現状を把握できているのミドルは、ボトムの「意図」もトップの「意図」も理解している。この意図の合わせ込むことで組織全体の方向性を整えていく(実際にはOKRなどの目標設定手法を使ってアラインメントすることで合わせ込むことになる)。

ミドル自身が変化に対応する

経営陣の判断で方向性がガラッと変わるようなこともある。マネージャーはこれを受け止め、ボトムへの影響を最小限に抑える必要がある。納得感を持ってメンバーが仕事をできるように緩やかな変化を作る必要がある。

ミドルはそのような状況の変化に素早く反応する。
変化が激しいスタートアップだからこそ、ミドルは変化を受け入れて実行する柔軟性が必要となる。

ミドルチームでもスクラムを組むと良い。ミドルが即座に変化に柔軟に対応するためにはミドル同士の連携がとても重要になる。

スタートアップは早い段階でアジャイルを意識しよう

最初に書いた通り、全てのスタートアップに当てはまるわけではない。スタートアップがアジャイルから離れることなく、成長するためには早い段階からアジャイルを意識し、「検査」「適応」の文化を根付かせておくことが大切だ。

組織の成長の過程で突然スクラムだ、アジャイルだと語り始めると、多かれ少なかれハレーションが発生する。

アジャイルな文化を維持しながら組織が成長するためには、初期から意図的にアジャイルなチーム・組織を形成することが健全な成長につながる。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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