わたゆき
らんぼうものの木枯らしが
師走の気配にそぞろになって
暗い暗い空を去っていった
遠慮がちな家々のあかり
風がとまって、ほろほろと
わたゆきが降りてきた
はかなく消える身にまとう
あたたかなきおく、みんなのいとなみ
トーコはおねむなまなこ
おくちをぽっかりあけて見ている
おとうちゃん、おかあちゃんのあいだ
トーコ、願わくは忘れてくれるな
このわたゆきも太郎の
あのわたゆきも次郎の、雪。
初稿:2004/01/01
Ⓒ2022 Akira Yoshiyama and AKIRA
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