18歳から20代後半までに書いた詩を、当時の詩の専門出版社である詩学社(残念ながら2007年に廃業)から、1995年11月に上梓させていただきました。掲載作品のなかから8作品を転…
- 運営しているクリエイター
記事一覧
この灯を絶やさぬために
たいして険しい道ではないけれど
だらしなく続くなだらかな一本道で
せわしげに頭を左右に振りながら
黙々と自転車を走らせている
かわり映えしない風景 時折の強い突風
白昼のしらけた家々の狭間を縫って
誰かに会いに行こうとしているでもなく
何処かに目的があるというでもなく
―おれは、夢の中にいるんじゃなかろうか。
胸の内では ほんのひとすみの領域で
チロチロとか細く燃え続けている想いがあって
こ
臆病者のためのトリステ
その陽のあたる静かな池のほとりで
ガァガァとおしゃべりを楽しんだり
尻尾を馬鹿みたいにバタバタとやったり
ときには気持ち良さそうに毛づくろいをしたりして
べつに生きることなんてなんでもない事なのさ、なんて
おまえたちをみていると
何倍も大きなはずのこの俺が
まるで世界中で一番壊れやすいおもちゃのようで
そんなふうに思えてきてやりきれなくなるよ
俺もおまえたちと同じ魂の拠りものなのに
俺の生はこ