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ポップスに、秋は酷だなレイディオ・タイム

山ちゃんの青春時代でもある
80年代、90年代のニューミュージックは
99%恋愛もので
25%くらいかな、季節感があるもんで

夏と言えば、海
海と言えば
サザン、TUBE、杏里

冬と言えば、クリスマス
クリスマスと言えば
ユーミン、山下達郎
スキーと言えば、広瀬香美

日本人は、恋と春夏秋冬はセットだった
古今和歌集からね

♬ 楓 by スピッツ

4つの季節の中で
ニューミュージックは
ことに夏と冬が大好きだ

暑さがMAXなら
気持ちだって性欲とともに大爆発
寒さがMAXなら
男と女がへばりついて暖を取る

男:とても嬉しいよ
女:えぇとても

女:すごく哀しいわ
男:あぁそうさ

ポールポジションは恋でも中心だった

そして

昭和のリゾートブームが火付けとなって
ガラスの向こうの大自然と
ガラスのこちら側の快適で洒落た空間
対極するはずのアクティビティが融合され
当時の若者は虜になってしまった

結果、マリーンでスキーな彼に恋をし
彼氏が好きなのか
マリーンが楽しいのか
スキーがうまい彼に恋したのか
彼女たちは分からなくなってしまった

サロモンのスキー板に
恋をしてしまったようなもんだ

社会は、水野真紀なのか水野美紀なのか
はたまた坂井真紀なのか
分からなくなってしまったのだ

ゲッダン

♬ promise by 広瀬香美

春も、負けてない

日本の花、満開の桜が春の風にさらわれれば
散り際もよく、まるで人と人の別れと出会い

春は、これから来るであろう漲る夏に向けて
心機一転、という最強のスローガンを訴えた

制服の第2ボタン
さくら舞い散る中に忘れた記憶
スラックス2本買ったら、もう1本プレゼント

期待と切なさが6:4で
思わずステップを踏んでしまいそうになる
芽吹きはニューミュージックの華やかさを彩った

古風な言い回し、花筏(はないかだ)すら
メロディーにのせたらネオ美しくなってしまうのだ

♬ 秋桜 by 山口百恵

それなのに

それなのに、秋ときたら

母が縁側でアルバムを開き
何度も同じ話を繰り返す
by 秋桜、だなんて

認知症やないか

しみったれ

誰もが紅葉に美しさを知っているはずのに
次に来るであろう冬の閉塞感の怯え
その古めかしさを払拭できず
悲しみ一色のフォークに甘んじてしまう

あの最後の枯葉が散ったら
私は死ぬの

夏の次は秋
ただの季節の移ろいでありながら
死すらほのめかしだす秋

しみったれ

唯一、ポップスの歌詞に欠かせない
秋を現しそうな『月』ですら
いざ聞いてみたら、他に秋らしきフレーズはない

綾香の三日月
鬼束ちひろの月光
レベッカのmoon

どれも決定的に、秋じゃない

ニューミュージックの秋は
どこにあるのだろう

♬ さよなら by オフコース

ひと雨ごとに、気温が下がり
雨の後の空は高く澄んで
1枚、2枚と衣類を重ねるように
恋の危うさを大切に扱う

出会った春のように
楽しみだけではなくなった

夏のように、解放されるがまま
わがままだけではいけなくなった

これから来るであろう冬に向けて
繊細に扱わなければ
枯葉のごとく散ってしまう、それが秋

バブルの燃えカスたちには直視できない
もの哀しい秋を時代に葬ってしまった

夜なべしてまでマフラーを編んだら
それは呪いだ
ブランドもの数万円のマフラーがいい
それがニューミュージック

ユニクロのマイクロフリースでもないんだ
あり得ない生活水準が
秋には見当たらなかった

食欲の秋
芸術の秋
スポーツの秋
読書の秋

秋が魅力的であると知ってるにも関わらず
地味なグレイのシミで終わらせた

ニューミュージックに
秋の歌詞は、合わなかったのだ

♬ 青いエアメイル by 松任谷由実


秋を、オシャレに綴る
シンガーソングライターは
ホンモノだと

山ちゃんは、思うのだった


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