木曜日の土人形
土人形は、繰り返す
毎日、毎日、ただただ同じことを
もしも、主が戻ってきた時
何も変わらず、何もなかったように
主の暮らしが続くように
だから土人形は、繰り返す
毎日、毎日、同じことを
土人形には、それしかできないから
繰り返すだけ
最後に主に会った日は
もう忘れてしまったけれど
5:30am 起床
カーテンの隙間から清らかな朝陽がさしている
土人形は、まぶたを開ける
5年くらい前からアラームより早起きになって
アラーム予約をOFFにした
1度も困ったことがない
なぜなら2時間おきに起きる
もう、長くは眠れない
5:35am 青汁を飲む
青汁はスティックタイプ
4箱買ったら1箱分の割引と楽天ポイント10倍
これで2箱分強の値段で購入できる
スラックス2本買ったら1本サービスの
紳士服の〇山みたいな売り方だ
こんなに大出血サービスして
本当に身体に良いのか半信半疑で飲み続けてる
安いから、2包ずつ飲む
大出血サービスなのか
出血大サービスなのかは、未だに答えが出ない
6:00am 弁当完成
ご飯はチンして、あまり野菜炒めを詰めた
6:15am 朝食
土人形は、ボストンベークの食パンを2切れ
バターをたっぷりのせて焼く
ホットカフェオレと一緒に
キッチンで立ったまま、秒で食べる
6:30am 出勤
土人形は、ワクワクしている
今日は大好きな燃えるゴミの日だから
ゴミの日のためにゴミを作って捨てるのか
それとも暮らしで出たゴミを、捨てるのか
土人形には、区別がつかない
7:10am 職場到着
夜警と早番の看護師と
超フライング出勤の働き者3人と
あいさつを交わす
土人形は、リハビリ室の大鏡の前で
ヒゲ剃りと鼻毛抜きと眉毛を整える
かかとクリームで踵と肘に油をさす
鼻血が出るほどティッシュを鼻に突っ込んで
グルグルまわし鼻くそを除去する
大量の時は内緒で、味見する
7:30am note閲覧
土人形は、スマホでnoteを開き
みんなの記事を読みまくる
そして、フードリスト・コラム・旅行の記事を
雑誌をめくるように眺めていいねを送る
8:30am 同僚が出勤
土人形は、S子の昨日の愚痴を聞く
大体、S子が旦那から徹底的に無視される
という話が主だった内容だ
9:00am 始業
あっという間に
17:00pm 終業
土人形は、患者と歌を歌って
本音の付き合いということで
的確に患者を罵倒し、スッキリして1日を終える
17:30pm スーパー到着
土人形は、食材は週末にほとんどそろえるので
これと言って買うものはないが
スーパーは毎日通ってこそ
傾向が見えてくるというものだと信じている
ジャガイモを2袋
品種、紅あかりとレッドムーンを買った
18:00pm 帰宅
土人形は、弁当箱や水筒を洗って
ipadをキッチンに置いて
ドラマ『FARGOシーズン2』を見ながら
ゴボウ茶を煮だす
ちなみに、シーズン1は面白かったが
2は今のところ、そこまで面白くなってこない
その間に風呂場を洗って
奥の部屋から洗濯物を取り込んで
リビングにドサッと置く
ドラマは、声だけ聴いているんだか
聴いてないんだかで、どんどん話が進む
土人形が、キッチンに戻ると
ドラマの中でまたひとり死んでいた
ジャガイモをタワシで洗う
土人形は密かに
ジャガイモの食べ比べをしたかった
紅あかり
北あかり
18:30pm 調理開始
土人形は、ジャガイモにラップをフワッとかけて
レンジ800wで10分チンする
途中、変な音がしたが土人形には、聞こえない
まったく信じてない
焼いた厚揚げには、ミョウガとカイワレ
この前仕込んだ初登場の豆板醤を添える
冷奴には、アイヌネギの醤油漬けをのせる
18:35pm 調理終了
18:38pm note用に撮影する
18:43pm 夕飯
２ヶ月前に仕込んだ豆板醤
初味見で、激ウマで最高の出来
安定の美味さ
ねっとりしてる
紅あかり(左上)は、びっくりな甘さ
北あかりは、北海道のスタンダードジャガイモ
やはりちょうど良いホクホク感
これがめちゃくちゃ美味い
騙されたと思ってやってみて
紅あかりは甘すぎて、塩辛が合わない
というジャガイモ非常事態
もはや、ジャガイモと呼んでいいのかこれ
千歳空港にも売ってるので
お土産にするといい
19:00pm 風呂に湯をはる
土人形は、noteを開いてコメントに返事を書く
そして、今日は何を書こうかとため息をついた
ボーイズソプラノの話にしようか
と思って、youtubeでFarawayを聞く
すると、土人形の目じりから、涙が伝った
何という理由もないのに、涙が伝った
土人形は、あまりにも年をとり過ぎた
ボーイソプラノ
その世界一美しい歌声は
声変わり前の男子の歌声で
時の大人たちは、この美しい声を一生とどめるため
男子クワイヤーたちのチンチンを切って
成長を止めようとしたのだ
土人形は
こんなチンチン切った記事など、誰も読みたくないなと
途中でキーを止め、思い直す
でも、土人形は言いたかった
こんなにも彼らの歌声が美しいのは
彼らの肉体を通して
数百年前に床に落ちたチンチンたちの嘆きなのだと
土人形は、泣いた
怨怨怨怨と
土人形が、チンチン切った記事を
1度Deleteしたころで
風呂が沸いた知らせを聞いた
20:05pm 風呂からあがる
20:15pm PCに向かう
土人形は、部屋の灯りをキッチンだけにして
バスタオルをかぶりながらPCに向かう
煌々と光るPC画面と札幌の夜景を
交互に眺めながら書くことがないと
ボーイクワイアの次は、土人形が嘆いた
土人形のチンチンをちょん切ると
美しい何かが生まれるのだろうか
そんなことを土人形は思っていると
なぜだろう
時の権力者に対して怒りが込み上げてきた
チンチン返せ、、、
土人形はその昔、チンチンをちょん切られて
歌わされたことを思い出したのだ
もう昔すぎて、その痛みすら忘れていた
だからこんな美しい声の奥に
嘆きを感じてしまうのだと、気づくのだった
だから、こんなに小さかったのか！
22:00pm 土人形があせる
ただ、毎日を繰り返すだけなのに
土人形は今日も体を捩らせて
noteのネタを搾りだそうとした
出るときは、水門を開いたときのように
言葉があふれ出すのに
出ない時は
まるで干上がった昨年の琵琶湖のようだ
そうだ、思い出した
その干上がった琵琶湖の湖底から
すくいあげた土で、土人形は出来上がった
それはそれは何千年も前の話
高名な黒魔術師、山ちゃんが
そのすくいあげた土に
命に似せた灰を混ぜて土人形は出来あがった
あれから幾千年
土人形は、主山ちゃんが帰ってくることを信じ
毎日を繰り返していたのだ
幾千の朝日と、幾千の雨
空の向こうを眺めながら、主を待った
土人形には、それしかできない
土人形には、それしかできないのだから
だから明日もきっと
今日と昨日と、そのまた果てしない昨日を
繰り返すだろう
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