左にキビしい女
◯◯な女シリーズ、第5弾
今回は、左にキビしい女
ちなみにシリーズ初回の最下層の女と
見誤りの女王は同一人物のS子
つまり彼女は
最下層の女でありながら
見誤りの女王でありながら
左にキビしい女でもあるのだ
過去の哀れな女たち
◯カマトトな女
◯貧相な心の女
◯最下層の女
◯見誤りの女王
ここ半年ほど
同僚S子から須藤くんの名前をよく聞く
30前後の事務かたの男性の名だ
もともと健康運動指導士として入職したが
数年後、なぜかスーツ姿で見かけるようになり
今では事務の須藤主任として
仕事ができるイケメンの代表となっている
S子:
須藤くん、車の停め方が下手すぎるの
彼のおかげで後からくる私たちが
停められなくなってギッチギチ
この前なんか縦列しちゃったのよ
なるほど
須藤くん、運動できるから
感覚がいいものかとばかり思ってたが
そんな欠落した部分もあるのか
楽しい、もっと話してくれ
私くらいの出社時間になると
残り2台分を争うハメになるのね
すると出勤が早い須藤くんが
線をはみ出して停めたら
それに習ってみんなが停めてゆくと
最後の1台分が車1台入るか入らないか
ギリギリのスペースになるのよ
私はね、線の中におさめたいの
分かる?線の外は
嫌なの
おぅおぅ
今日も見事な発達障害ぷりを
発揮してて、たいへん愉快だ
S子、もっとくれ
だから私
須藤くんの次に停める機会が
稀にあるんだけど
そんな時は須藤くんの車の横に
ギリギリで停めてやるの
もともと私、左にキビしいじゃない
そう、S子は車庫入れで
なぜか左にキビしすぎて
駐車場が狭くなる冬場は
他の社員の車が出せない、と
よく呼び出しを喰らうのだ
S子:
だから、ギッリギリに停めてやるの
私は、線をはみ出したくないの
(笑)
なんとまぁ
ただの嫌がらせか
須藤くんの車の運転席側と
S子の助手席側はツラの皮一枚
というわけか
で、Sちゃん
そのキビしさは
須藤くんには伝わってんの?
え
伝わってないから
今朝もそうだったわけでしょ?
S子は肝心なところを忘れている
すごく肝心なところを
S子は気づいてない
須藤くんはさ
Sちゃんより早く出勤して
俺たちより遅く退社してるじゃない
そうね
早々に、あなたは家に帰るワケだから
須藤くんはその左側のキビしさを
体験する間がない
ひとり劇場
ひ、ひとり劇場!?
タイトル 左にキビしい女
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