北陸三国一人旅②
5/1(月) 石川県 山代温泉編パート1
昨日行けなかった環水公園のスタバ、朝8:00オープンぴったりに行っても10人くらい並んでた。昨日より天気が良くて立山連峰がうっすら見えて、北陸に来たぞ〜という気持ちになった。気温は東京より5度くらい低く、薄手の上着を着てればちょっと涼しいくらいで過ごしやすかった。
富山駅の入り口でひろゆきとすれ違った。いつも着てそうなグレーのパーカーみたいのを着て、オーラみたいなものはなかった。意外と(?)ファンの写真撮影には愛想良く応じてて、ペコペコ頭を下げる時の猫背感がまさにひろゆきという感じがした。まだ午前中で駅が混雑していないというのもあり、俺が見てる限り2人くらいにしか声かけられてなかった。
俺も写真撮って貰えばよかったかな〜と若干後悔しながら金沢行きの電車に乗った。
1時間後、乗り継ぎ駅の金沢に到着。せっかくなので駅ビルに入ってる店で海鮮丼を食べた。1,000円台の安めの海鮮丼を食べたが、魚が沢山のっていて豪華だし美味しかった。店内ではコールドプレイがかかってた。
そこから電車で30分ほどの所にある加賀温泉駅で目的地である「山代温泉」ゆきのバスを待った。30分くらい待って、30分バスに揺られた。このような感じで、地方の温泉の旅は交通の便が悪い場所が非常に多く、1時間に一本なんて当たり前なので必ず前日に電車とバスの時間の確認とおおまかな組み立てをすることにしてる。よく旅行の話で「下調べする派・しない派」談義になるが、行きたい場所については必ず下調べをしないと自分には不安だし、だいたい地方に根ざしたバスや路面電車の乗り方やICカードが使える・使えないかだけでも不案内なことが多く現場でストレスになるので、せめて事前にすぐ調べられる「一時間に何本」とかの運行間隔だけでも見ておいた方が物事の滞りを最小限に抑えられるとおもう。
それを話すと、全部きっちり決められると忙しいとか息苦しいとかいう意見もあるが、自分の旅でも「予定より早く出る・長く滞在する」や「寄り道」は当たり前のようにあるので、そうなりそうな時は頭の片隅にある運行間隔をもとに臨機応変に対応している。公共交通機関でド田舎に行く人、気まぐれに行動したい人ほどこういった下調べが生きてくる。
山代温泉は九谷焼の窯で名が知られているらしい。古い器屋や飲食店が立ち並ぶ通りの先に石畳のロータリーがあり、その真ん中に「古総湯」と呼ばれる浴場がある。とりあえず一番のメインであろうその浴場にまず入ろうと券売機を見ていると、番台?のおばちゃんに関西弁で声をかけられた。古総湯とは別に「総湯」が近くにあり、そこのチケットを合わせて買うと割引になるというお得情報を教えてくれたので、言われるがままにお得な券を購入。女湯から出てきた別のおばちゃんがそれを見て、何か話し始めた。番台のおばちゃんはまた何か言ったが、お兄さんの前で言うのも悪いけど、実は…と言って何か言ってた。俺は気まずそうに何か言い残して男湯へむかった。角を曲がり切る俺の背中に向かって番台のおばちゃんが元気よく何か言ってくれた。古総湯の内装は素晴らしかった。もともと湯浴みを行う場所なだけあって、洗い場はなく、正方形の空間に脱衣所と風呂場が同時に存在しているという、現代人からしたら不思議な造りだった。どこかで見た事があるなと思ったら、長野県の渋温泉の湯めぐりに似てる。あれを大きくしたバージョンだ。
浴槽は石で仕上げられており、それ以外の床面はタイルが敷き詰められている。壁面の建具には窓ガラスの代わりに色が規則的に並ぶステンドグラス、その下には換気用の木製のガラリ。吹き抜けになっている天井近くには換気窓があり、壁面の仕上げは全て木だった。なんとなく色使いなどのテイストから大正みを感じるが、古総湯時代は道後温泉や金沢の尾山神社といった重要文化財と同じ明治時代に作られたもので、現存の建物は当時の再現のものとなっているらしい。
さて、誰もいない浴場で贅沢に風呂に浸かっているわけだが、あんなに大きなバックパックを背負ってきた割にはタオルの一枚も準備していないことを思い出した。ちょうど、換気用のガラリからはいい感じの風が入ってくるので、ある程度湯船に浸かったところで身体を自然乾燥させる事にした。しかし、湯の熱さも相まって汗をかいてしまうため、そう簡単に身体から水滴は無くならない。手で拭っても、水滴は手に集まるだけ。しばらく試行錯誤をしたところで見切りを付けて服を着る事にした。まあ、着てしまえば大したことはない。次からはタオルを持参すればいいか。
風呂を出たところで思い出したが、番台のおばさんが何か言ってた。それを帰り際に聞いてみたら、愛想良く何か言いながらすごく分かりにくい階段を案内してくれて、その先には休憩室があった。山代温泉の街を見晴らせるし、涼しくて快適だ。誰もいないのでしばらくゆっくりしていた。
宿にチェックインして荷物を置いた。グレードが飛び抜けて高い旅館ではないものの、昨日の富山のホテルの倍の額を出したからか、ずいぶん居心地良く感じる。既に部屋に敷いてあった布団がいまは天国のように見えてすかさずダイブしたい気持ちだったが、さすがに今の服装でやっちゃいけない、とブレーキをかけた。
近場を観光がてらお土産やご飯屋を探そうと外に出る。まずは魯山人の別荘を見学させてもらう。こういった地方ではちょくちょくイサムノグチの影を目にする。例の照明器具もあったが、何の脈絡もなく置いているわけではなく、魯山人と親交があったという事らしい。小さいながら庭園や二階の納戸も見学できて、相当見応えがあった。次に、九谷焼がたくさん売ってそうな器屋を訪れた。ちょうど地元の作家の器の展示もやっており、話を色々聞く事ができた。そして、店頭に飾られてて気になった器が九谷焼か聞くと、いいえ、全然違いますと言うので、「九谷焼の産地で違う焼き物を買うのは勿体無いですかね」と5回くらい確認して、特に望んでた回答を得られないまま2枚の九谷焼じゃない皿を購入した。「これは○○焼きです」と説明してくれたが、聞いた事のない焼き物の名前だったので覚えてない。新種か?
2枚で3,000円もしなかった。しまいには「こういうやつが一番使いやすいんで」とか変な事を言って、逃げるようにその店を後にした。こうやって話し相手がいない時に話し易そうな人を見つけ、他愛のない話をし始めてしまう自分が最近は嫌だ。と言いつつ隣の観光案内所兼土産屋の外に置いてある灰皿を目の前にして「ここタバコ吸っても大丈夫ですか?」と意味のない質問をし、なぜか葉巻を吸った。小雨が降りはじめた。
山代温泉編はパート2へ続きます!
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