DAppsに慣れ親しんだユーザーと初めてのユーザーでプレセール課金傾向の差はあるのか?

今回の記事では、こちらの記事で分析したコントラクトサーヴァント(以下コンサヴァ)と他DAppsのプレイユーザーについてまた違った角度で分析したいと思います。


DAppsゲーム新規ユーザー率

コンサヴァプレセールに参加したアドレスの中で新規DAppsゲームユーザーはどのくらいいるのでしょうか。

全てのDAppsゲームを網羅することは難しいため、前回の記事でも分析対象とした日本のDAppsゲームであるマイクリプトヒーローズ(以下マイクリ)、クリプトスペルズ(以下クリスペ)、また海外DAppsゲーム大手であるGods Unchained(Gods)に課金、およびゲーム内アクションを行ったことのない(つまり、ゲームをプレイしたことのない)アドレス数を抽出しました。

下記の図ではコンサヴァプレセール参加アドレスの内、上記のゲームへトランザクション履歴があるものとないアドレス数を表しています。約40%が新規ユーザーであるという結果になりました。

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DAppsゲーム新規ユーザーと既存ユーザーにおける課金傾向の差は?

新規ユーザー(マイクリ等への課金やプレイ履歴がないアドレス)と既存ユーザー(マイクリ等への課金やプレイ履歴があるアドレス)でコンサヴァプレセールへの課金度合いにどのような差異が出るのかを分析しました。

下図はアドレスあたりのコンサヴァプレセール課金額の中央値と平均値を新規ユーザーと既存ユーザーで分けて示しています。

中央値では新規ユーザーの方が若干高いものの、平均値では既存ユーザーの方が高いという結果になりました。

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下図はアドレスごとの課金額の分布の割合を示したものです。大きな差異は見受けられませんが、既存ユーザーの方が10eth以上課金しているアドレスの割合が多いため、課金額平均値が高くなりました。

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下図はさらに細かい分布の比較です。横軸はユーザーあたりの課金額、縦軸はその金額範囲での、課金ユーザーの全体に対しての割合を示しています。例えば、横軸の1に相当するのは課金額が0 ~ 1eth(1を含まない)のユーザー人数を全体の人数で除したものとなります。

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(参考)
サンプリング数が少ないのでこちらはあくまで参考ですが、新規ユーザーと既存ユーザーの課金具合に有意な差があるのか、統計による検定を行いました。コルモゴロフ・スミルノフ検定(KS検定)という手法を用いて、二つの分布に差異があるかを測りました。

KS検定は、「2つの確率分布は一致する」ことを帰無仮説において、棄却できるかどうかを検定する手法です。新規ユーザーおよび既存ユーザーの課金額を確率分布にして、双方の分布を比較することで購買傾向が異なるかどうかを検証します
細かい説明は省きますが、有意水準5%とすると今回の課題設定ではKS統計量0.16以上で、帰無仮説「2つの確率分布は一致する」が棄却できます。今回のKS統計量を計算すると0.078で、棄却水準0.16を下回りました。つまり、「2つの確率分布は一致する」を棄却できず、新規ユーザーと既存ユーザーとの購買傾向は異なると断定できないという結果になりました。(回りくどい示し方でややこしいのですが、棄却できないからといって購買傾向に一致しないことは言えても、差があると断定はできません。つまりは一致するか一致しないかなんともいえない、という結論になります。)


まとめ

今回はDAppsゲームを行ったことのないDAppsゲーム新規ユーザーとして、過去にマイクリ、クリスペ、Godsに課金もしくはゲーム内アクションを行ったことのないアドレスを抽出し、それらのゲームでプレイ履歴のある既存ユーザーとの比較を行い、下記のような結果になりました。

・新規ユーザーは全体の40%程度
・既存ユーザーの方が若干課金額が大きくなる傾向があるものの、新規ユーザーと既存ユーザーで課金傾向に明らかな差異があるとは断定できない

新規ユーザーはあくまで過去にDAppsゲームに課金していないアドレスであるため、今回コンサヴァ用にアドレスを用意したユーザーがいたり、ブロックチェーンゲームにおけるNFTの特性(2次マーケットで売買可能等)を理解している純粋な新規ユーザーもいる可能性があるため、新規ユーザーと既存ユーザーの課金傾向に明らかな差異が認められなかったのかもしれません。

ブレイブ フロンティア ヒーローズやVenus Scrambleなど新しいDAppsゲームがどんどん登場していますので、新しいユーザーを取り込んで日本が得意なゲームという分野でDApps全体が盛り上がっていけば良いなと思います!

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