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コントラクトサーヴァントプレセール参加者はどのくらい他のDAppゲームにも投資している?


今回はコントラクトサーヴァント(以下コンサヴァ)のプレセールから見るDAppsゲーム分析を行います。プレセールの売上、取引数に加え、プレセール参加者が他Dappsゲームにどの程度課金しているかを分析しました。

1. コンサヴァプレセール

コンサヴァはアクセルマーク株式会社が提供するトレーディングカードゲーム(TCG)で下記のようにカードをフィールドに配置して対戦します。

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コンサヴァはカードのプレセールを2019年12月18日から27日にかけて行い、約3600ethを売り上げました。

合計取引額:3,560eth
取引数:6,147
参加アドレス数:295

下図はコンサヴァプレセールの売り上げ(上図)と取引数(下図)を日ごとに表したものです。初日に1200ethほど売り上げがあり、その後は200~400eth程で推移しています。一方で取引数は初日に1度ピークがあり、次の日に一旦下がったものの最終日まで増加しています。これはコンサヴァプレセールがダッチオークション方式を採用したため時間経過と共に価格が下がったカードをプレセールの後半でユーザーが購入したためであると考えられます。

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各カードごとの取引に関してはBlockchain Game Info様がまとめられているので、そちらをご覧下さい。


また他のDAppゲーム大手のMyCryptoHeroes(以下マイクリ)とCryptoSpells(以下クリスペ)プレセール(クリスペはクラウドセール)の取引額と比較します。

コンサヴァ(2019年12月):約3560eth(当時レートで約5,000万円)
クリスペ(2019年6月):約900eth(当時レートで約2,700万円)
マイクリ(2018年9月):約670eth(当時レートで約1,700万円)

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過去の他DAppsゲームに比べてもコンサヴァのプレセールの取引が大きいことが分かります。

2. コンサヴァプレセール参加者の他ゲーム利用状況

コンサヴァプレセール参加者は既存Dappsのユーザーとどの程度被っているのでしょうか。逆にいえば、これまで参加していなかった層がどの程度参加したのでしょうか。

これを確認するためにマイクリとクリスペ、また国外のDAppゲームであるGods Unchainedに関して、コンサヴァプレセール参加者(参加アドレス)がどのくらい関わっているかを分析しました。

他Dappsの課金層を分析するために、独自通貨(ゲーム内通貨)の課金、またはOpenSeaやmiimeなどのDEXでのNFT購入を行った事を「課金」とみなして調査しました。

コンサヴァプレセール参加者のうち、マイクリやクリスぺにも課金していれば元々Dappsに慣れ親しんでいたユーザーが参加したということになり、逆に他Dappsに課金していないユーザーがコンサヴァプレセールに参加していれば、課金に慣れ親しんでいないユーザーが初めてコンサヴァで課金したと考えられます。

分析条件
・それぞれの独自通貨(マイクリ:GUM、クリスペ:SPL)やプレセール等での購入額(Gods Unchainedは独自通貨なし。ethによる直接購入)
・DEX(OpenSea、Miime)でのNFT購入額
・取引期間はそれぞれのサービス正式ローンチから2019年12月28日(SPL購入に関しては10月21日以降から)

2-1. コンサヴァプレセール参加者のマイクリ課金額と参加率

※(2020.2.1追記)GUM購入トランザクションの算出に誤りがありましたので、訂正させて頂きます。大変申し訳ありませんでした。また、GUMの購入トランザクションに加えて、MCHプライムやトークンセール、プレセールを追加しました。

コンサヴァプレセール参加者のマイクリ参加率
以下はコンサヴァプレセール参加者(参加アドレス)のマイクリ通貨(GUM)、DEXでのマイクリNFT購入額です。今回の分析では購入額のみ取得しているため、DEXで購入したマイクリNFTをまた売却し、得たethでまたマイクリNFTを購入するという取引も含まれています。つまり、ゲーム内ではethによるGUMの購入自体は1回ですが、DEXにおいては何度も購入されるため、GUMの購入に比べ、DEXでのマイクリNFT購入額が大きくなっていると考えられます。

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コンサヴァプレセール参加者のマイクリ参加率
また下記の図では、コンサヴァプレセール参加者の内、GUMやDEXでのマイクリNFT購入履歴があるアドレス数と、コンサヴァプレセールに参加したアドレス数に対する比率を示しています。
コンサヴァプレセール参加アドレスの約1/3はGUMやトークンを購入したことがあるという結果になりました。

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2-2. コンサヴァプレセール参加者のクリスペ課金額と参加率

コンサヴァプレセール参加者のクリスペ課金額
クリスペでも同様にコンサヴァプレセール参加者によるゲーム内通貨(SPL)の取引額、DEXでのクリスペNFTの取引額を分析しました。
DEXでの取引はサービスローンチ(2019/6/25)後からコンサヴァプレセール最終日である2019/12/28までの取引を取得していますが、SPL購入に関しては取得できたデータの関係上、2019/10/21から2019/12/28の約2ヶ月間のデータとなります。

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コンサヴァプレセール参加者のクリスペ参加率
下図はSPLやDEXでのクリスペNFT購入履歴があるアドレス数と、コンサヴァプレセールに参加したアドレス数に対する比率を示しています。 マイクリに比べて、コンサヴァプレセール参加者によるゲーム課金者比率は下がりました。

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2-3. コンサヴァプレセール参加者のGods Unchained課金額と参加率

海外のTCGであるGods Unchainedでも同様の分析を行いました。Gods Unchainedはゲーム内通貨は存在しておらず、カードの購入はetherで行います。
マイクリやクリスペに比べると、コンサヴァプレセール参加者のGods Unchainedにおける取引量、取引金額共に低い傾向にあります。このことからコンサヴァプレセールの参加者のほとんどは日本人であると推測できます。
これはGods Unchainedは日本語での提供をしていないため、ゲームプレイへのハードルが大きいことが理由として考えられます。

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3. まとめ

今回はコンサヴァのプレセールと、その結果から他のDAppゲームの分析を行いました。その結果が以下となります。

コンサヴァプレセール参加アドレス数:295(取引額合計:3560eth)
コンサヴァプレセール参加アドレスの内、他ゲームの独自通貨やトークンアセットを購入したことがある割合は

マイクリ:30%
クリスペ:20%
Gods Unchained:10%

ゲームごとにアドレスを切り替えているユーザーがいる可能性は否めませんが、コンサヴァプレセール参加者の3割程度は他DAppsゲームにも課金していることが分かりました。
翻って、今回初めてコンサヴァプレセールに参加して課金した層も、DAppsゲームに対する課金の心理的ハードルは超えているため、他DAppsゲームにとっても潜在的にユーザーになる可能性が高いと考えられます。既存DAppsゲームがこの層をどのように取り込むかが今後の発展に関わる重要なファクターだと思います。

また、海外DAppsゲームであるGods Unchainedは日本語の提供がないためか、他ゲームに比べてコンサヴァプレセール参加者のエンゲージメントが低い傾向にありました。Gods Unchainedのような海外大手DAppsゲームが日本語提供を始めると、DAppsゲームの勢力図が変わってくるかもしれません。今後も注目の分野です。


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