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クリプトスペルズはOpenSeaでどの程度取引されてるのか?

今回はトランザクション情報からクリプトスペルズの市場を分析したいと思います。
クリプトスペルズはブロックチェーンゲームとして国内2位の取引量を誇るTCG(Trading Card Game)で、下記の様なカードを使って対戦します。(遊び方はこちらからご覧ください)


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このカードにはレアリティが5種類あります。レアリティから高い方から、リミテッドレジェンド、レジェンド、ゴールド、シルバー、ブロンズとなっています。

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リミテッドレジェンド、レジェンド、ゴールドはNFT(Non Fungible Token)としてブロックチェーンに送ることができるため、誰でもブロックチェーン上で送ったり受け取ったりすることができます。このオンチェーンでの取引を二次流通マーケット大手のOpenSeaのコントラクトから分析しました。

NFTマーケットの分析

【分析条件】
・OpenSea上で行われたクリプトスペルズのNFTの取引を抽出
・分析期間は 2019/07/23~2019/10/25

カードの価格(中央値)

下図ではOpenSea上で取引のあったカードに関して、取引価格の中央値をUSDで表したものです。OpenSea上ではリミテッドレジェンドは3500〜5000USD、レジェンドは1000USD前後、ゴールドは安いもので15ドル、高いもので400ドル程度で取引されています。(OpenSea上で取引がなかったカードに関しては除外しています)

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レア種別ごとの取引数、取引金額概要

下図1つ目の図が各月における取引数をレア種別ごとに色分けした図です。2つ目の図が各月の取引金額をレア種別ごとに色分けした図です。
取引量としては安価なゴールドが一番多く取引されていますが、取引金額としてはレジェンドが一番大きくなっています。また、リミテッドレジェンドは取引量としてはほとんどないものの価格が他のものに比べて非常に高いため、取引金額の総量の中でかなりのウェイトを占めています。リミテッドレジェンドを除けば、ここ3ヶ月の取引量、取引金額に大きな変化は見られません。(7/23からOpen Seaでの取引が始まったため、7月は他の月ほどの取引量はありません)

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よく取引されるカードの単価変動

取引数が多いカードをいくつか抽出したのが下記の図になります。折れ線は各月取引価格の中央値、棒グラフは各月の取引量です。最大30%程度の価格変動があります。今後カードの種類が増えていくことで戦略が変わりカードの需要は大きく変わることが考えられます。そのため、今価格が低いカードでも将来的に高騰する可能性もありますし、逆に今価値があるカードでも価格が下がることも十分あり得ます。
価格が上がっているキラー・スウィートは相手ユニット一体に対して召喚時に手札の枚数分ダメージを与えることができます。召喚時に相手一体を場から除去するといった使い方が考えられ、使い勝手が良いため人気が出ているのかもしれません。

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日毎の取引量の推移とイベントによる影響

下図は日ごとの取引数をレア種別ごとに表した図です。
図で赤の丸で示した部分はカードセールで販売されたカードのロックアップ期間終了日です(カードセールで販売されたカードは数週間取引ができなくなっています)。つまり販売されたカードはこの日から自由に売買ができる様になるため取引が活発になっています。
8/22のピークに関しては、SPL変動相場の導入があったため良いレートでSPLを手に入れたユーザーがゲーム内マーケットでカードを購入し、OpenSeaに流れてきたと推測されます。また、10/22のピークに関してはクリスぺprimeが開始されました。この際にOpenSeaでの取引手数料が値上がりしたため、駆け込み需要的に取引が行われた可能性があります。

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まとめ

・取引数としては価格の安いゴールドが取引のほとんどを占めていますが、取引金額としてはレジェンドがゴールドの倍近くありました。
・一方でリミテッドレジェンドは流通数が少なくいのもありますが、取引の中央値その価格が5000USD程度であるなどあり、高価ななかなか一般ユーザーには手の届かない価格のため取引数は少ない様です。
・カードセールで販売されたカードが売買可能になった直後は取引が活発になる傾向があります。


一般的に使えるカードは需要が高くなるため価格が上がります。新たに発行されるカードや全体のゲームバランスに注意することで、今後価格が上がる(下がる)カードを予想することができるかもしれません。

ゲーム内マーケットや他のDEXマーケットでも同様の傾向はあると考えられますが、今回OpenSeaでは上記の様な結果となりました。


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