【転職その1】新卒採用は地獄の始まり
今回のnoteでは私の新卒就職から1回目の転職を振り返ります。
どこで過ちを犯し、何がその後に繋がったのかをお伝えして参ります。
皆さまの人生の転機に寄り添えますと幸いです。
・高校卒業~望まぬ就職
私は小学生から高校3年生の春まで大切に温めていた夢がありました。
「テレビドラマで活躍する俳優になる!」
小学校4年生で初めてソプラノ歌手の吉村温子先生に合唱の楽しさ、舞台に立つことの感動と責任を教えて頂きました。
間にブランクはありながらも、中学2年で舞台演劇にのめり込む様になってから私の「想い」は確固たる「夢」に変わっていきました。
卒業後、門を叩くと決めていた師匠も見つかった高校3年の春過ぎでした。
「お母さん、乳がんになっちゃった。」
うる覚えですが、第一声はこんな会話だったと記憶しています。
そうなると、下積みは積んでいられません。まして、いきなり主役をもぎ取ってこれるほど私は顔も演技も良くはありませんでした。
「夢」はそっとしまい、入学後初めて「進路指導室」に相談に行くことになりました。
通っていた高校は地元の工業高校です。
まわりがサボってくれたお陰で成績も3年間「次席」でした。(主席は3年間不動、万年1番になれないのは覚悟の問題ですかね?)開示してくれる求人先に制限などあろうはずがありません。
ただ、どうしても自分が作業着を着て現場で作業をし、日々を過ごすイメージが出来ませんでした。
それは若さ故のプライドもあり、「自分はこんなところで終わりはしない」という慢心だったのと思います。
自宅から通えて、現場仕事ではない職業という無理難題に当時の担当教師は頭を抱えたことでしょう。何週間か後に開示された求人は当時通っていた高校のボクシング部OBが在籍している「警備会社」ということでした。
それも、本来なら求人していない会社に無理やり枠を取ってもらったとのこと。覚悟を決めない訳にはいきません。
折しもテレビCMでは長嶋さんが「セコムしてますか?」の一言で世間を沸かせ、警備業という業種に光が当たり始めていた頃です。
早期手術を受け、リハビリを根性でこなし、最短であっけらんと戻ってきた母と、家の中ではほぼ空気に近い父が泣いて喜んだのは言うまでもありません。
画像はイメージです。無料素材であり、本人ではありません。
・入社した会社は問題だらけ
事態はトントン拍子に進み、面接もおざなりに本社で入社式。
地元就職の新卒なんて、こんなものかと思いながら配属先の営業所へ。
そこは私の実家から徒歩5分。そりゃ両親が泣いて喜ぶ筈ですよ。
ここで配属初日にとんでもない光景を目の当たりにすることに。
挨拶の済んだ昼下がり、昼食を食べ終え午後の研修の説明を受けている時でした。事務所のドアが荒々しく開けられたかと思うと、初対面の40代くらいの男性が一人。
「新卒雇う余裕あるなら給料出せよ!」
人生で一番表情を無くした瞬間だったと思えるほど、強烈な一言に時が止まります。
しかし、一緒にいた所長は慣れた様子でその方を中に入れると、応接セットで対面し「いつまでに、幾らあったら足りる?」と返すではありませんか。
いやいや、即座に・全額でしょう。
思ってはいても言えない配属初日の小僧。
その日の帰り道、徒歩5分は永遠の様に感じました。
・配置で釣られ、役で釣られて
初日であんなやり取りを見せてしまっては、と翌日に教育担当の先輩から事の経緯を教えられました。
どこまでが本当かは今となってはわかりませんが、その時に聞いた内容は
=(イコール)まともな経営状態ではない会社ということでした。
・曰く、社長の個人的な借金を会社付けにしている。
・派遣先からの収入はそのまま負債の返還に充てられるため、毎月月末は各営業所の配分金の争奪戦争になる。
・それでも営業所の必要経費を満額引っ張ってこれる訳ではないため、結果として全員の給与が遅配になっている。
・会社がこんな状況だから新規の求人は出していなかったが、今回私を採用するのに新規の求人票を発行したため事態はより深刻に。
えっ、私のせい?とは思うものの私自身も「聞いてないよぉ」状態の中、せっかく入った新卒は逃すまいとするのがこの会社。
その後、この会社の中でも最大の警備委託先に配属され新卒の小僧が自分の親と同年代くらいの猛者たちを纏める役職に就くこととなります。
画像はイメージです。無料素材であり、本人ではありません。
・やがて来る生活の限界
当時、大した知識も「知っている」ことが武器になるとも考えの及ばなかった私は全てを「自分が蒔いた種」と感じ環境の中に没落していきます。
しかし、給与の遅配は改善されることなく両親が貯めていてくれた貯蓄も底が見え始めてきました。
事情を説明すればするほど勤務形態は長時間となり、ストレスから暴食に走った結果、入社時から体重は約15㎏ほど増え90㎏が目前に見えるくらいまで肥満化していました。
今思えば、私の心も体も一番だらけていた時期かもしれません。
ある日の巡回中、自分の体重に膝が負け引き摺りながら帰ったあの日。
母から給料の催促をされ苛立った私は遂に精神の限界を迎えます。
「もう、限界だ。」
・転職先は唐突に
そうは思っても、「自宅から通える現場仕事以外の職」なんてふざけた条件で新卒の職探しをした人間です。
職を探すにはどうしたら良いのか?誰に聞き、どんな判断基準で決めればよいのか?
誰も教えてくれないなか、目に留まったのは新聞の折り込み求人でした。
「アミューズメント施設のグランドオープンスタッフ募集」
アミューズメント施設?ゲームセンターか?高校時代、通い詰めて音ゲーにハマった自分にピッタリでは!?
グランドオープン?ってことは、スタートラインはみんな一緒?
更に読み進めていくと詳細記載にこんな一文が。
「(正社員登用あり)」
始めはアルバイトか何かからスタートか。まぁ私ならすぐに上がれるか!
こんな妄想と思い込みと自信過剰を胸に、まだ面接も受けていないにも関わらず当月一杯での退職届を提出したのはまだ雪の残る2月のことでした。
・思い込みで大失態
さて、当月一杯での退職届を出しておいて「不合格でした。てへっ」では済まされません。
面接の当日には出血するほどヒゲを剃り、入社式から着ていなかったスーツを着込んで会場に向かいます。
そこは建設中の大きな建物。敷地に対して、やけに駐車場が広い。そして、ゲームセンターのくせ(思い込み)に平屋建て。
違和感を感じながらも、面接会場となる事務所に入ってみると目の前には明らかに堅気とは思えない関西弁を話す初老の男性と口元はにこやかだけど目が笑っていないオールバックの男性。
もう、嫌な予感しかしません。
そして、面接の開口一番。オールバックの方が私に問いかけます。
「チバさん、パチンコ・スロットの経験は?」
このあと、この職場では
人を信用できなくなったあまり、感情を無くした支配人
備品倉庫でほぼ一日を寝て過ごす主任
言うことが聞けないスタッフに拳で語る副主任
スタッフの女の子に骨抜きにされ堕ちてくリーダー
と共に過ごす過酷な毎日が待っている訳ですが、それはまた別のお話し。
・学びと気づき
今回の流れで、今後の私の転職に対する判断基準を示してくれました。
①入社する(したい)企業の情報は人づて、ネットなどあらゆる所からかき集めるべし。
②かき集め、整理した内容は面接時に臆せずぶつけるべし。
③明らかに求人内容と違った職務内容・待遇であった場合は迷わず声を上げるべし。
④転職先での仕事を自分勝手な思い込みや妄想で膨らませることなかれ。
⑤「グランドオープン」や「新規事業展開」でも、その仕事の流れや空気感が既に醸成されている場合を考え安易に飛び付かないこと。
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