独立リーグチャンピオンシップのリモートプロダクションを実現

リモートプロダクションを受けたは良いが、、

某最大手スポーツデータ専門会社さんよりSept.30 - Oct.1stに熊本の藤崎台球場にて開催される 独立リーグチャンピオンシップのリモートプロダクションを実現したいとの要望を受け、、今まで色々な話はあるも、実際にリモートでやりたいという具体的な話はほぼなく、これ幸いとハイやります!と返事をしたものの。。。。
渋谷にメディアセンター的なものは運用しているものの、LiveMediaの得意とするNGN折返での伝送の為には、西日本に拠点を置いて渋谷と接続する必要がありますが、、AWSを拠点としたIPv6ベースでの伝送を実現した技術を使って実現することにチャレンジ。

ネットワーク構成

ネットワークをどうするか?

まず九州から渋谷までをAWS経由伝送する為に以下2通りを検討

  1. AWSにReverse Proxy を用意してカメラ素材を渋谷まで転送するパターン

  2. AWSにVPN Concentratorを用意して熊本と渋谷にWANを構築するパターン

  3. これに加えて、AWSが東京リージョンと大阪リージョンがあり、それぞれの足回り(node)のこともあるので、それぞれのリージョンにインスタンスをもつ。

ネットワーク概念図

いずれのネットワークも帯域的には100Mbps(iperfでの測定)を超えるものがなく、実際に伝送テストを行うと、、

  • NDI(Full)での伝送では65Mbps程度の帯域は必要ですが、1chはなんとか伝送は出来たのですが、、2-3chと増やす伝送するのですが、

  • 実際の帯域は130-150Mbps程度(通常3chで200Mbpsほど必要)に削減されており、また、伝送中のフレーム落ちもあり、実際品質的に問題ありと判断しました。

このテストの為に、LiveMediaのパートナーであるユニゾンシステムズ様の福岡に設置しているネットワークで上記東京・大阪リージョン経由のテストを実施。またその際には、現地のpcからの映像伝送だけでなく、映像機器を持ち込んでテストも行いました。

  • 今回は与えられた帯域50-100Mbpsの中で帯域的な余裕を持つために、NDIではなくSRT伝送を採用。

  • 結果上記概念図の通りネットワークを構築

  1.  フレッツを2本用意。

  2.  東京リージョンのAWSにVPNコンセントレーター(ルーター機能)を用意して、渋谷のメディアセンターとWANを構築。50Mbps程度のWANを2ルート確保。

    1.  フレッツ① にSRT(H.264) 12Mbps x 3ch(メインカメラ)を伝送

    2.  フレッツ② にSRT(HEVC) 10Mbps x 3ch (ptz、スマホ)を伝送

    3.  基本WANでの運用であるメリットを活かして、渋谷vMixをSRT Callerとして端末をSRT Listnerで運用(切れた場合でもスイッチャー側から接続が可能)

  3.  大阪リージョンのAWSにReverse Proxy  を用意、渋谷のMedia Centerとはネットで接続。

現地には予備のvmix用pcを置かなければ、フレッツ用ONUとルーター及びHUBやカメラだけの用意で済む見込み(以下写真のようなルーターとHUBのみの設置)

球場での撮影

ネットワークの制限より、SRT伝送に限定した為、以下の機材構成で現場は用意。

  • カメラからSRT伝送が可能なJVC HC550をメインカメラとして利用。カメラには全てカメラマンがついての有人オペレーション。その為に、渋谷のスイッチャーさんとの間はインカム(Teamsでの運用)を用意。

JVC-HC550/SRT+SDI/NDI(予備)・ カメラマンさんはTEAMSのインカム
  • ptzカメラもJVCのKY-PZ200Nを利用(JVC様のご厚意により提供を受け)

  • スマホはLM-Cam (HEVCモード)を利用

i-Phone12 with LM-Cam wifi経由(インタビュー用)
  • 球場には予備のvMixを準備(このvMixで予備のNDI信号をSRT変換し大阪ルートで渋谷に伝送)。またスマホはproの光学ズームで得点・選手などを固定で抜く映像と手持ちのインタビュー用(結果利用せず)。また、wifi はBuffaloの屋外用WAPM-1266WDPRとRを用意。(下の写真の窓際にWAPM-1266Rと一塁側カメラ横にWAPM-1266WDPRを設置)

予備用pc vMix¥
左はネットワーク測定用pc

渋谷での制作体制

渋谷には以下体制を構築。全てのカメラ映像を渋谷まで伝送し、渋谷で制作を実施。

  • スイッチング(vMix利用)は基本1名でvMixスイッチ。なお、カメラマンさんとは

実際のスイッチ及びスロー
  • CG入力(得点・SBO・選手名・対戦カードなど)

各種CG体制
  • スローオペレーション:スローはプログラムアウト(白)を用意して、別pcでvMixスローで制作して、スイッチ用vMixに戻すというスタイル。

  • 実況・解説:実況1名、解説2名で弊社1階で実施。基本ミキサーにて調整してvMix用pcに入力。ミキサーはサンクラのUi16をリモートで地下1階の弊社Dがスイッチャーさんと連携して遠隔操作。

実際の実況解説席


  • 追加で、各種データ入力。(これはクライアントさんの本業)

実際の中継制作

やはり、SRTを利用したこと、また既存のデジの機能(srt伝送)を利用したことによる、遅延の若干大きくなったことはあるも、大凡0.7〜程度の遅延での渋谷でのオペレーションとなった。
スイッチャーさんはやはり遅延による指示の遅れには手間取った部分はあるようでしたが、どのカメラ映像を利用するかの指示がきちっとされていたことと、野球という特性からカメラワークがある程度安定していたこともあり、スイッチイングは概ね安定したワークができていたようです。
実際の映像は以下。
あと、vMixでのスローを実際に体験してみて、意外と若い人であれば対応可能そうだな・・・と感じています。(競技によって大分差はありそうですが。。)

今後

我々としてはクライアントさんからの結果をお聞きしてもう少しチューンアップする部分はあるも、安定して使えそうだと感じています。
今後NGN折返など自分達の得意なネットワークを使いながら、リモートプロダクションを色々なケースで提案できると考えています。

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