科学技術

AKIRAです。
本日の記事は科学に関する考え方について。


技術に対する偏見や誤情報

この度のmRNAワクチンは確実な災厄を世界にばら蒔きました。
いや、そんなことはない。と考える方もいらっしゃるかもしれません。でも時として世の中でどんな恐ろしいことが起きているかは、見る立場によって「見えやすさ」が変わってくるのです。

少なくとも遺伝子発現の研究にそれなりに携わった側から見ると、一目瞭然であると言えるくらいにははっきりとした爪痕が見えています。

しかし、その大きさを拡大解釈する方もいらっしゃったりして正確な「事の大きさのサイズ」が見えていない場合もあります。それが誤情報や偏見へと繋がってしまうわけですが、それは、悪意によるものと言うよりも、技術に対する信用の喪失が根本の原因であると私は考えています。

信頼の根拠となる科学的なコンセプト

どんな技術にも、「こう使うもの」「こんなふうに作用するもの」という明確な設計モデルがあります。
そしてそれが科学的に証明され、「これを使うと、こういう作用が働いてこうなる」という一連の製品の「動き」があります。

これを作用機序と呼びます。
そして、mRNAワクチンにもこれがありました。

しかし、問題なのはその作用機序には「明確なコンセプトがない」ということなのです。

実際に、mRNAワクチンの作用機序を振り返ってみましょう。

mRNAワクチンの作用機序

1、mRNAワクチンは、LNPという脂質膜によっておおわれており、このLNPが脂質でできていることから、細胞膜を貫通することができ、mRNAを細胞内に導入することができます。
2、そして、mRNA→タンパク質という細胞の翻訳という機能を利用してスパイクタンパクという抗原をつくり、その抗原を免疫に認識してもらう、という作用機序です。

まず1に関して言えば、1の技術は生命科学研究の場でも使われている技術で、Lipofection(リポフェクション)と似たものです。
リポフェクションは細胞膜を貫通できるカチオンという物質で導入したいDNA(RNA)を包んで細胞内にねじ込む、という方法です。
ただ、これには非常に良くない作用があり、細胞膜を貫通するので当たり前ですが、あまり長時間リポフェクション試薬に細胞を浸したままだと細胞に有害な影響があります。
要は、細胞が死にます。

そして2に関して、抗原を作り出す元の情報であるmRNAは細胞内にとどまるので、外の影響を受けにくい(免疫細胞が直接排除しにくい)状態になっています。そのうえで、mRNA上にはタンパク質の発現量をコントロールするための制御配列がなく、スパイクの全長をコードしているので通常の免疫細胞が行う食作用とは微妙に違ったプロセスで抗原が提示される可能性があります。
だから、提示された抗原が中和活性を持つ抗体を誘導するとは限らず、そんな中途半端な抗体が、止まらないスパイクタンパクの発現により半永久的に作られ続ける未来が簡単に予想できます。

コンセプトの致命的な欠陥

さて。ここまで小難しい解説をしましたが、mRNAワクチンの作用機序に大きな欠陥があることにお気づきでしょうか。

これは指摘を受けないと気づかないのかもしれませんが、要は、「大量にスパイクを作った後のことを考えていないこと」です。
これがmRNAワクチンの致命的なコンセプトの欠陥です。

確かに、有効となる濃度のスパイクタンパクをわざわざ投与前に検討して、適切な濃度に調製して投与するよりも、それをコードするmRNAを導入してしまえば勝手に既定の濃度以上に達してくれるので楽でしょうが、それ以上の濃度になるということは、許容量を超える可能性があるということ。オーバーロードする可能性を考えればむしろマイナスです。
通常、細胞由来の遺伝子発現であれば、DNA上の制御配列が発現量を勝手に調節してくれますが、スパイクは外来のタンパクなのでDNA制御が利かないことも想定できます。

結局、細胞に抗原を作らせるというコンセプトそのものが横着な発想であり、現実的な方法でないことを過去の分子生物学の基礎知識が証明しています。

そして、抗原情報が変わってしまえば、mRNAの配列も変更しなければ新規株に対するスパイク抗原が作れないので従来の方法と同様、デザインのし直しが必要なことまで考えられる。

端から信頼できる技術ではないということです。

統計で遊ぶことが科学ではない

しっかりとコンセプトの整った技術で結果を出す。
それが生命科学の当たり前。

統計上の数字が示すのはあくまでも表面上の現象だけです。
解釈不一致を起こすことも珍しくない。
条件を見落としていることもあります。

結局は、最初の研究モデルがしっかりとしているかでデータの質は決まってきます。
設計の時点てボロボロな技術を使って結果を考察したところで全く説得力がないのは、コンセプトに大きな欠陥があるから。
意味のない技術を生み出すだけです。

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