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[DOMANI・明日2020] 傷ついた風景の向こうに

結論から言うとすごくいい展示だった。

お世話になっている先輩の作品があるので東京へ

知らなかったけど、もう22回もやっているし、海外での研修制度があることも行って初めて認識した。

文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(在研)」を1967年度から実施しており、すでに半世紀を経過しました。美術分野では、そうした研修の成果発表の機会として1998年から「ドマーニ・明日展」を開始し、今年度で第22回目を迎えます。国立新美術館を会場に、天井高に恵まれた空間での大規模なグループ展で、文化庁による新進作家育成プログラムで海外に送り出した人材を、日本のアートシーンにプレゼンする機会になることを目指してきました。


今期のテーマ。
戦争や震災など、日本がかつて受けた傷の上に

今回は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック年の冒頭にあたるため、国が展開する「日本博2020」のプログラムに参画する特別版となりました。「日本博」関連展に共通するテーマ「自然」を受け、「傷ついた風景の向こうに/ Landscapes in Our Age: Scarred and Reborn」をサブタイトルに、多世代から精選した11名の作家によるグループ展とします。2010年前後に研修を終えた作家に加え、芸術選奨やメディア芸術祭など文化庁が関わる事業からも招き、いまの日本のアクチュアルな、かつ国際的にひらかれた自然観を浮かび上がらせます。

広島の原発や、戦争で受けた傷跡のポートレート。
壊れたものがいかに再生していくのか、元に戻らないものがあるのか。
物事の光と影、終わったものと、終わったと思ったけど続いていくものとの境界線を感じられる作品の数々に圧倒された。

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お世話になっている栗林隆さんは、親子での共演。
昆虫の目線と長い歴史と、福島原発の様子の鮮やかすぎる対比。
父親とこんな場所で作品に置ける、というのはどんな気分なんだろう。

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心に残ったのは、畠山直哉さんの作品。
被災した東北の木の再生の様子。

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昨年と、その前にもいくつか舞台となった場所を見ていたので、場所や風景の経緯が自分なりに理解できて、胸が熱くなった。
なにより、自然のたくましさと、それを受けてフォトグラファー自体もまた再生に向かう様子が感じられ、心を掴まれた。

改めて、東日本大震災と、これに伴う原発事故は、「終わったこと」になっているような空気があるけど、何も終わってはいない。
なにより、多くの人に影響を与え続けてながら、いまだに治らない生傷のような出来事なのだ、と思い知らされた。
(そしてまた、この影響が本当はどこまであるのかを僕たちは誰も知らない)

通りすぎてしまう課題やアイデアや、未来を思いも寄らぬ形で伝えてくれるのが芸術の必要性なのだ、と改めて思う。

僕たちは明日に何を求めて、どこに向かうために生きているのだろうか。

変わらない現実の冷たさと、それでも明日に希望を感じる日々を生きていこうと思い会場を後にした。




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