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太陽活動の影響 電波障害と温暖化


太陽活動周期

 太陽活動の活発な時期を迎え、巨大フレアが多発したことから、24年5月10日、マスコミを中心に情報が発信され、世界各地で通常はオーロラが見られない地域でも、その観測が報告されました。専門で無い私も、心が騒がさせられてしまいました。
 さて、それでは何故突然この様な状況になったのでしょうか? ちょっとおさらいして見ましょう。太陽の活動現象は、太陽の磁場と深く関係しており、その活動度はおよそ11年の周期で活発な時期と静かな時期を繰り返します。その目安である黒点の出現数が、活発な時期には多くなり、静かな時期には少なくなるという変動を示します。この様子を、WDC-SILSO、ベルギー王立天文台のHPからダウンロードしたデータでまとめますと以下の図の様になります。

黒点数の変化(WDC-SILSO、ベルギー王立天文台のデータ使用)

上図の様に黒点数は、11年周期で増減を繰り返しており、直前では2019年末に最小を迎え、その後の増加に転じ、24年5月にピークを迎えていることが分かります。しかしながら、現在ピーク時としても、図1の様子を見ると黒点数の数で比較すると、過去のピーク時の半分程度の個数に留まっていることも分かります。黒点数の発生個数に従って、太陽フレア(太陽表面で起きる強力な爆発現象)の発生数も変化します。その影響は太陽系全体に広がり、地球ではオーロラの発生数なども変化します。フレアの様子は、宇宙戦艦ヤマトの第八話で描かれていましたね。ガミラスのガス生命体に追い込まれ、オリオン座の恒星アルファ星に突入を余儀なくされた宇宙戦艦ヤマトは、アルファ星表面から発生した巨大フレアにその航路を阻まれ、後方にはガス生命体の襲来の所、波動砲でこのフレアを打ち抜き、前進航路を確保して、かつ、ガス生命体を構成の熱で消滅させて、活路を見出した一幕がありました。

宇宙戦艦ヤマト 波動砲によるフレア回避

 フレアは、この様に太陽の表面一部、太陽では黒点から多量の荷電粒子、放射線が放出されているとされています。太陽の外層大気には、100万度以上の高温のプラズマ「コロナ」が恒常的に存在しており、爆発放出されるフレアでは、1000万度を超える超高温プラズマや高エネルギー粒子が放出されます。
 まず、プラズマですが、これは、原子や分子が電離して、イオンと電子となった状態です。身近でプラズマを用いているものが蛍光灯です。蛍光灯の中に充填された水銀が電気により水銀イオンと電子に分離され、そのプラズマを用いています。このプラズマの温度は、1万度程度であり、通常の温度の概念からすると、相当の高温ですが、この温度は、実は、プラズマ粒子の移動速度を言い換えたものです。即ち、太陽のコロナやフレアは、蛍光灯のプラズマの100倍、1,000倍の速度を有し、それだけ膨大なエネルギーを有していることを示しています。

2009年以降の黒点数の変化(WDC-SILSO、ベルギー王立天文台のデータ使用)

地球への影響 電波障害

 上図の様に、2009年に始まった周期24期と称される周期が2019年末の最小を迎え、その後増加に転じ、第25期に突入し、24年5月にピークを迎えていることが分かります。しかしながら、第25活動周期では、太陽活動の増大に伴い、大型フレアの発生が観測されています。2021年10月28日には、第25周期で2件目となる最大クラスフレアが発生し、地球への影響が懸念されましたが、実際は事無きを得ました。一方、2022年2月3日に打上げられた49基のスターリンク衛星のうち、40基が大気圏に突入してしまうという事故も発生しています。直前に生じたフレアに伴って地球大気が膨張したことで、衛星の軌道が乱れたためとされています。
 実は、太陽は球体であり、黒点も表面で発生しながら自転運動により、太陽表面を回っています。この黒点が地球から見える位置にあり、そこから強力なフレアが発生した場合、フレアから放出された荷電粒子が地球に向けて高速で飛来するために、影響が懸念されることになります。

太陽フレアと地球 イメージ

今回24年5月8日から発生した巨大フレアは、国立研究開発法人情報通信研究機構から発信されている「宇宙天気予報」でも報じられています。

 この「宇宙天気予報」によりますと、日本時間5月8日(水)10時41分以降に、大規模な太陽フレア13回を含む複数回の太陽フレアの発生を確認し、太陽コロナガスが地球方向へ放出したことが確認され、コロナガスの第1波が、日本時間の5月11日(土)の1時半頃に地球周辺に到来し、地球周辺では大規模な磁気嵐・電離圏嵐が観測されたとしています。また、この影響が5月16日頃までに残る可能性を示唆していました。テレビ報道でも、高緯度の地域で、通常ではオーロラが観測されない地域でも、オーロラの観測があったことが報告されました。一方、幸運にも今回は、電子機器、情報網に大きな影響は聞いていません。しかしながら、活動の活発な時期は,後数年に渡ると考えられますので、注意は必要です。

地球温暖化

 フレアによる電子機器、情報網への影響も重大ですが、地球の温暖化も非常に気になります。単純には、太陽活動が活発になるということは、コロナを始め放射エネルギーが多くなるイメージがありますので、地球の温度上昇が気になります。太陽活動と地球の気温の関係については、科学的な議論が続いている様です。過去400年間の「太陽放射総量」と「平均気温」の比較を次の図に示します。

黒点数と世界平均気温

 黒点数は先のベルギー王立天文台のデータを使用し、世界平均気温は気象庁のデータ(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html)を用いています。この値は、基準値(1991〜2020年の30年平均値)からの偏差で表現されています。この図から、1980年代までは、太陽の活動が活発化するにつれて地球の平均気温が上昇したようにも見えています。即ち、黒点数のピーク時の高さに従って、世界平均気温も上昇しているように見えるということです。一方、1990年以降は、黒点数のピーク時の個数に関係無く単調に平均気温が上昇しているように見えます。このことから、太陽活動と独立した形で、世界の平均気温が上昇している様です。即ち、根本的な温暖化の侵攻であると考えていいのではないでしょうか? 怖いです。
 さて、この様な長期的な気温変動の陰に、もう一つの気温変動が隠されています。実は、太陽活動が活発な状態では、地球に到達する遠い星から飛来する宇宙線が減少するという現象があり、気温が影響を受けるという現象がある様です。これは、スベンスマルク効果といわれる理論に基づき、宇宙空間から飛来する銀河宇宙線が地球の雲の形成を誘起しているという仮説です。即ち、この飛来する宇宙線が減少すると、地球を覆っている雲の量が減少し、地表に到達する日射量が増加するとされています。したがって、太陽活動が活発になれば、地球の平均気温も上昇すると考えられています。先の黒点数の変動と世界平均気温の変化のグラフを見ると、黒点数のピーク時に平均気温も上昇し、黒点数の低下とともに若干ですが平均気温が減少する様な様子も伺えますが、その程度は小さく明確ではありません。学会でも、この現象は疑問視されている様です。

最後に

 この文章をまとめる前には、太陽活動が低調になれば、地球温暖化も若干抑制されるのでは無いかという淡い期待は在りましたが、20世紀までは、この可能性も残っていた感じではありますが、21世紀に入り、気温上昇のトレンドは、それとは異なっており、人間の活動自体を改める必要な状況に陥っていることを再確認した次第です。その人間は、国の利益を追求するための戦争や覇権争いに傾倒しており、温暖化対策はお座成りの状態です。ますます、市民生活は、温暖化による危機に脅かされることになります。市民の声を更に大きくしていかなければなりません。

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