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「映画ノベライズ ミステリィと言う勿れ」を読んで

 豊田美加著「映画ノベライズ ミステリィと言う勿れ」(発行所:株式会社小学館)を読んだ。原作:田村由美、脚本:相沢友子と書いてあった。原作者の田村由美さんは漫画家さんだそう。
 本書は、少し前に菅田将暉が主演のTVドラマを見た時、面白いと思った作品の映画版。その本が書店に平置きされていたのだ。
 その時、ふと思ったのだ。映像が思い浮かぶように本が読めば、映画を見なくてもいいか。浅はかにも程があるんだろうけど、なぜか、やってみようと思って本書を買った。

やっぱり映画を見にいこう

 でも、やっぱり、文字を読んで映像は浮かんでこない。
 読んだ小説が映画になって、見に行ったことはある。原作の一部を切り出して映像化しているので、やっぱり別モノ。知ってた。本作は、まだ映画は見ていないので、映像と書籍が同じなのかどうかもわからないけど。
 もちろん、文字から映像を思い浮かべるのは大変だろうと、YouTubeで、予告編を見て、映画の公開挨拶なんかで、出演者の顔ぶれを見て、可能な限りの映像を目に焼き付けておいた。そのくらいの予習はした。
 けど、やっぱり、私の力量では、映像には敵わない。
 例えば、「ハウライトという白いパワーストンでつくったブレスレット」は、白い石のパワーストンしか思い浮かばない。これじゃぁ、ね。ハウライトの事を知っていれば、たぶん、もっとイメージが沸き立ってきただろうけど、浅学にして知らず。
 そんな私でも、人の立ち振る舞いや車やモノの動きの描写のところは、なんだか活き活きとして読める。つもり。 ホントは間違ってるかも知れないけど。
 色や音、香りは、比喩的表現を使うことが多いわけだけど、例えられたものを知らなければ、ちょっと難しい。ワインのテイスティングの感想文なんか、私にはパッとしない。五感に訴える描写は、知識不足の私にとって、経験値がなければ、頭の中に思い描きようがないのだ。
 以前読んだ、伊藤亜紗著「目の見えない人は世界をどう見ているか」に、目が良く見えない人たちは、ほぼ正確に、音や言葉から、物事を正確に描き出していると、書いてあった。『耳で「見る」、目で「聞く」等』等が日常らしい。
 人によっては、映像が浮かび上がるように本を読む事が出来るのかも知れない。私も、もっと経験を積めば、映像が浮かび上がってくるんだろうか。どんなトレーニングをすればいいんだろう。

主人公の拘りが、心地よい刺激

 菅田将暉が演じる主人公(久能整)は、もじゃもじゃの天パがトレードマーク。若い学生だけど、観察眼に長け、記憶力抜群で、雑学が豊富。でも、非力なくせに、誰に対しても物おじしない性格で、控えめなおしゃべり。
 映画の内容は、ネタバレになるので書けないけど、こんな面白キャラが活躍するのだから、おもしろくないはずがない。少なくとも本書は一気に読んで、「モッタイナイ、もう終わってしまった」と思った。
 ビジネスでは、いち早く「気付き」、そして、何事からも「学ぶこと」が大切だった。今だって、「気付く力」と「学ぶ力」は、人生の中でも大事だと思っている。
 主人公は、観察眼に優れ、細かな事に気付いてしまい、記憶していく。「気付く力」と「学ぶ力」に長けている。気付いたことを口に出し過ぎて嫌われる場面もあるけど、ご愛敬。きっと、菅田将暉が演じると嫌みがないんだと思う。本作では、主人公の、気付く力と記憶力が、問題解決に大きな力になっていく。
 
 やっぱり、映画も見たいな。
                              (敬称略)

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