「君はこんなワクワクする世界を見ずに死ねるか⁉」を読んで
田村耕太郎著「君はこんなワクワクする世界を見ずに死ねるか⁉」(発行所:朝日新聞出版)を読んだ。
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24517
読み始めて、二度目だと気付いた。
「面白そう」と思う本に、一定の傾向があるらしく、時々、二度買いしてる。単行本が文庫本になる時は要注意。してるつもりだけど。
本書は、前半がスピード感があって痛快。面白かった。
日本語で知ることの出来ない世界
本書を見たとき、昔、寺山修司が「書を捨てよ、町へ出よう」という本を出して、若者たちに呼びかけていたことを思い出した。そう言えば、一度目に買った時もそう思ってた。
何かで調べている時に、「日本語を理解できる人は世界で3億人くらい」と書いてあるのを見つけたことがある。世界の人口は80億人だから、4%に満たない。
そうだった。
日本のことも、英語で紹介していたりするが、たぶん、大半の人は日本を知らない。
英語や中国語を操れない日本人また、世界の大半を知らない事になる。
例えば、フィンランドに興味を持って、調べようと思ったけど、あまりに日本語の情報が少なく驚いた。英語で調べたら、もっとたくさんの情報が集まるかも知れないけど、フィンランド語やスウェーデン語なら、もっとリアルな情報が得られるはず。
言語の壁は、世界を狭くする。それは間違いない。
日本での「常識」や「ふつう」は、たった1億数千万人の常識や普通であって、78億人にとっては、どうか・・・。
日本では、学校でも社会に出ても、英語を学べと言われているけど、その英語圏ですら世界の中で25%程度でしかない。世界には、中国語圏、ヒンズー語圏など、異なる文化圏がたくさんある。
日本語では知り得ないことが、世界がたくさんある。
以前、「七色の虹」について調べたら、世界には「四色の虹」や「六色の虹」とか、いろいろな見方・言い方があることがわかって面白かった。日本にいるからこそ、レインボー・カラーは7色だけど、文化風習の違いから、「同じ虹を見ても、違う思いに至る」わけで、やっぱり、世界は広い。
僅か数%の日本語圏は、世界の片隅でしかない。それは事実。
けど、日本語圏が悪いわけではない。
他の文化圏がイイわけでもない。
でも、日本語で知り得ない世界がある。そこには、自分にとって、何か糧になるものがあるかも知れない。そう思ったら、「こんなワクワクする世界」を知らずにいられない。知らないのは、ちょっと口惜しい。
日本人だからこそ
著者は、本書で「日本人ほど世界でまんべんなく好かれている人たちはいない」と主張している。こんな調査結果を見た事もなし、そもそも、海外の目線で日本を見た事がないので、著者の主張が正しいのかどうかわからない。
けれど、狭い島国で「和を持って尊しとなす」とする日本には、思い遣りと配慮に溢れていて、いわゆる「イイ人」が多い。そう思いたい。
日本は、アメリカや中国のように、覇権争いすることは出来ないし、軍事力を強化することもない(たぶん)。かつての経済大国日本は、少子高齢が進み、人口減少が加速している。けど、過去の遺物を食い潰しながらも、まだまだ大国の一角で、再興のチャンスもある。
いずれ、日本で生涯を終えるとしても、「イイ人」を携えて、世界を見聞する旅に出ても、いいんじゃないか。そう思えてくる一冊だった。
(敬称略)
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