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「人生論としての読書論」

noteを利用されている方は、読書家の方も多いですね。私自身は、それほど量を読んでいるわけではありませんが、読んで気になった個所や、いつまでも心にしまっておきたい部分は、該当ページをコピーして、線を引いて、自分のノートに糊で貼っています。こうすることで、例えば、数年後に見返したときに、当時、何に自分が興味を持ち、あるいは、何に自分は悩み苦しんでいたかがよみがえってくるからです。

いままで、読書論に関する書物は読んできたのですが、一番、腹落ちしたのはタイトルの本でした。何がよかったかというと、読書を全面的に肯定している、その肯定の言い回しが英雄をたたえるかのごとく圧巻であること。

いくつか引用します。

しかるにひとたび、書物を読むというわずかなこと一事によって、われわれは直接経験している狭い範囲から、自己の往する社会的圏域を、いくらでも増大し拡大することができるのである。それは考えようによっては、一種の「奇跡」であり魔術だとさえ言えるであろう。
~中略~
そのような単純きわまる象徴の組み合わせによって、遠くギリシャやローマ時代の事象すら、ある程度窺い得るとしたら、これを一種の奇跡であり魔術と言うとしても、何ら言い過ぎではないとも言えるであろう。

人生論としての読書論 (p318)

わたくしは、わが子を失った嘆きとか、また小児麻痺のわが子を持つ深刻痛切な悩みを持つ人々でも、もしその人が読書の人であって、平素から二種の世界の住人になっていた場合には、一つの世界における現実的な苦悩を、今一つの他の世界において、超えることができるという趣について述べたわけであるが、しかしこれは必ずしもそのような深刻異例の場合のみでなくて、あらゆる種類の人間的な不幸や苦悩についても、当てはまると言ってよいであろう。
~中略~
だが、それらの如何なる苦悩の場合にも、もしその人にして、真に読書の人だったとしたら、その人は読書に導かれて、つねにその苦悩を超える一面に生きることが出来るであろう。

人生論としての読書論 (p326)

こんな感じです。本を読む方にとっては全面肯定されて、天にも昇る気持ちになれますよね? 笑


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